教皇ベネディクト十六世の280回目の一般謁見演説 WYD(ワールドユースデー)マドリード大会を振り返って

8月24日(水)午前10時30分から、夏季滞在先のカステル・ガンドルフォ教皇公邸中庭で、教皇ベネディクト十六世の280回目の一般謁見が行われました。この謁見の中で、教皇は、8月18日から21日まで第26回WYD(ワールド […]


8月24日(水)午前10時30分から、夏季滞在先のカステル・ガンドルフォ教皇公邸中庭で、教皇ベネディクト十六世の280回目の一般謁見が行われました。この謁見の中で、教皇は、8月18日から21日まで第26回WYD(ワールドユースデー)マドリード大会に際して行ったスペイン司牧訪問を振り返りました。以下はその全訳です(原文イタリア語)。なお、この講話の中で、教皇は、第27回と第28回のWYD(ワールドユースデー)のテーマを発表しました。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 今日は第26回WYD(ワールドユースデー)のためにマドリードで過ごした特別な日々を思いと心をもって振り返りたいと思います。ご存じのとおり、WYD(ワールドユースデー)は感動的な教会行事でした。すべての大陸から来た約200万人の若者が、喜びをもって、兄弟愛と、主との出会いと、分かち合いと、信仰の成長を特別なしかたで体験しました。それはまことに光の洪水でした。この貴重なたまものを与えてくださったことを神に感謝します。このたまものは教会の未来に希望を与えてくれました。すなわち、キリストに根ざして生き、信仰に堅くとどまり、教会の中でともに歩みたいという、堅固で真実な望みをもった若者たちです。今回のWYD(ワールドユースデー)のために惜しみなく働いてくださったすべてのかたがたに感謝します。マドリード大司教の(アントニオ・マリア・ロウコ・バレラ)枢機卿と補佐司教、スペインと他の世界の国々の司教、教皇庁信徒評議会、司祭、男女修道者、そして信徒の皆様です。スペイン政府当局、諸機関と団体、ボランティア、そして祈りをもって支えてくださったすべてのかたがたにあらためて御礼申し上げます。(フアン・カルロス一世)スペイン国王と(ソフィア)王妃、そしてスペイン全土が温かく歓迎してくださったことも忘れることができません。
 わたしたちが体験した充実した時をわずかなことばで述べるのはもちろん不可能です。第一日(8月18日)にシベレス広場で若者たちが抑えがたい熱狂をもってわたしを歓迎してくださったことを憶えています。彼らは期待に満ちて語り、深い真理に向かい、この真理に根ざしたいという強い望みを表しました。神はわたしたちがこの真理をキリストのうちに知ることができるように与えてくださったのです。豊かな歴史と霊性と文化をもつ、壮大なエル・エスコリアル修道院で、わたしは若い修道女と若い大学教員の皆様とお目にかかりました(8月19日)。わたしは若い修道女の皆様に、自分の召命を忠実に生きることのすばらしさと、使徒的奉仕と預言的なあかしを行うことの重要性を語りました。わたしのうちには、彼女たちの熱心さと、未来への勇気と人類に奉仕したいという望みに満ちた若々しい信仰から受けた印象が、今も残っています。わたしは教授の皆様に申し上げました。新しい世代の真の教育者となってください。そのために、ことばだけでなく、生活をもって、真理を探求するよう彼らを導いてください。真理はキリストご自身であることを自覚してください。わたしたちはキリストと出会うことによって真理と出会うのです。その日の晩、十字架の道行の中で、種類を異にする多くの若者がキリストの受難と死の情景を深く体験しました。キリストの十字架は、それが要求する以上のものを与えてくれます。それはすべてのものを与えてくれます。なぜなら、十字架はわたしたちを神へと導いてくれるからです。
 翌日(8月20日)、マドリードのアルムデナ大聖堂で神学生の皆様とともにミサをささげました。神学生は、将来キリストの奉仕者となるために、キリストに根ざして生きることを望む若者です。わたしは、司祭職への召命が深まることを願います。そこにいた神学生の中には、これまでに行われたWYD(ワールドユースデー)の中で主の招きを聞いた人がたくさんおられました。マドリードでも、主が多くの若者の心の戸をたたいてくださったと確信しています。司祭職あるいは修道生活を通して、惜しみない心をもってわたしに従いなさいと。障害をもった若者のためのセンター(フンダシオン・インスティトゥート・サン・ホセ)訪問によって、わたしは一人ひとりの人に深い尊敬と愛が示されているのを目にすることができました(同日)。そして、この機会に愛といのちの福音を静かにあかしする大勢のボランティアのかたがたに感謝することができました。前晩の祈り(同日)と翌日(8月21日)の大規模な閉会ミサは、二つともたいへん感動的な時となりました。夜、喜びに満ちた多くの若者は――雨と風を恐れることなく――、聖体のうちにおられるキリストを沈黙のうちに礼拝しました。それは、キリストに賛美と感謝をささげ、助けと光を願うためです。次いで主日に、若者たちは、満ち溢れる喜びをもって、みことばと聖体のうちに主を記念しました。それは、ますますキリストに接ぎ木され、信仰とキリスト教生活を強めるためです。わたしは熱狂的な雰囲気の中でボランティアの皆様にお会いし、その惜しみない奉仕に感謝しました。そして送別式をもって、大きな恵みとしてこの日々を心にとめながら、スペインを離れました。
 親愛なる友人の皆様。マドリードでの集会は、何よりもまず、スペインと世界に対する驚くべき信仰のあかしでした。世界中から来た多くの若者にとって、それは、考察し、対話し、よい体験を分かち合い、何よりも、ともに祈り、忠実な友であるキリストに根ざして生きようとする決断を更新するための特別な機会となりました。わたしは、家に帰る若者たちが、堅固な目的を抱いて帰って行くことを確信しています。それは、信仰から生まれる希望をもって、大衆社会の中でパン種となるということです。わたしも祈りをもって若者たちとともに歩み続けます。どうか若者たちが、自分の決断を忠実に果たすことができますように。今回のWYD(ワールドユースデー)の実りをマリアの母としての執り成しにゆだねます。
 ここでわたしはこれからのWYD(ワールドユースデー)のテーマを発表したいと思います。各教区で行われる来年(2012年)の「世界青年の日」のテーマはフィリピの信徒への手紙4・4からとった「主において常に喜びなさい」です。2013年のWYD(ワールドユースデー)リオデジャネイロ大会のテーマは、イエスの次の命令です。「あなたがたは行って、すべての民を弟子にしなさい」(マタイ28・19参照)。今からわたしはこの重要な行事の準備をすべての人々の祈りにゆだねます。ご清聴ありがとうございます。

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