2023年灌仏会に際しての教皇庁諸宗教対話省から日本へのメッセージ

教皇庁諸宗教対話省 「家庭−宗教的伝統の継承のために恵まれた場」 2023年花祭りに際してのメッセージ バチカン市国 親愛なる仏教徒の皆さまへ。    日本において釈迦の誕生を記念する「花まつり」を迎えられる皆さまに、心 […]

教皇庁諸宗教対話省
「家庭−宗教的伝統の継承のために恵まれた場」
2023年花祭りに際してのメッセージ
バチカン市国


親愛なる仏教徒の皆さまへ。
 
 日本において釈迦の誕生を記念する「花まつり」を迎えられる皆さまに、心よりお喜びを申しあげます。また、各ご家庭にも心よりごあいさつ申しあげるとともに、ご高齢の皆さまのご健康と、お子さまたちのためにもお祈りいたします。

 宗教的な祝祭は、家族のきずなを深め、自分たちの価値観を共有し伝えるための大切な場です。また諸宗教間の友好関係にとっては、それぞれの宗教的伝統の歴史的なルーツと、現代社会で直面する課題に対処する助けとなる方法を、いっそう意識させるものです。ですからわたしたちは、宗教的伝統の継承における、宗教的祝祭と家庭の役割について、皆さまと考えを共有することがふさわしいと考えました。皆さまのご意見もお聞かせ願えれば幸いです。

 教皇フランシスコは、不安を引き起こし、多くの人の生活の質に影響を及ぼす現象に、しばしば注意を促しています。教皇は、「人類と地球に影響を及ぼす諸変化の間断なき加速は、今や、生活や仕事のペースのさらなる激化と対になっています」(回勅『ラウダート・シ』18)と述べています。とりわけ、世界中の夫婦や家族の生活条件を変化させ、「長期化、多角化する種々の危機」(「教皇庁社会科学アカデミー総会での講話(2022年4月29日)」参照)を引き起こしている社会変動に起因する家庭生活への負担を憂慮しています。

 このように、かつてないほど猛烈なペースになっている社会生活と、わたしたちの世界、とりわけ経済的先進国における世俗化の進行は、重要な宗教的側面をも含んだ、家庭生活の多くの状況に影響を及ぼしています。家庭はつねに、宗教的価値と伝統の遺産が大切にされ受け継がれるに恵まれた場であるため、これはわたしたち皆にとってとくに憂慮すべきことです。急速な変化と、世俗化の進行によって、この家庭の重要な役割は危機に瀕しています。

 友好的な協力を通じて仏教徒とキリスト者は、宗教的な祝祭がいかに家庭生活を力づけ、自らの宗教共同体や社会全体の中で伝統を大切にし継承するうえでの重要な役割をいかに強調できるかを示すことができます。宗教的祝祭は、家族が集まる時間を作り、先祖から、また宗教伝統の創始者から受け取った宗教的な宝を、新しい世代に伝える機会を与えてくれます。宗教的祝祭を祝うことは、その家庭の特色を再確認する重要な手段となりえます。それを教皇フランシスコは、霊的伝統が世代から世代へと受け継がれる場、「親がその子どもの信仰の最初の教師となる場」(使徒的勧告『愛のよろこび』16)と定義しています。

 親愛なる仏教徒の兄弟姉妹の皆さま、毎年の花祭りを祝うことで豊かな祝福が受けられますように。また、この花祭りがご家庭にとって、皆さまの由緒ある宗教伝統の豊かな遺産を分かち合い、祝い、新たな世代へと継承する機会となりますようお祈り申し上げます。

教皇庁諸宗教対話省長官
ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿

同省次官
インドゥニル・ジャナカラトネ・コディトゥワック・カンカナマラゲ神父

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