教皇レオ十四世、2026年10月21日、一般謁見演説 連続講話「第二バチカン公会議の諸文書」 Ⅳ.『現代世界憲章』(Gaudium et spes) 6.現代社会における家庭への取り組み(『現代世界憲章』47-52)(聖書朗読箇所:エフェ5・31-33)

 

教皇レオ十四世、2026年10月21日、一般謁見演説
連続講話「第二バチカン公会議の諸文書」

Ⅳ.『現代世界憲章』(Gaudium et spes)
6.現代社会における家庭への取り組み(『現代世界憲章』47-52)(聖書朗読箇所:エフェ5・31-33)

2026年10月21日(水)午前10時(日本時間同日午後5時)からサンピエトロ広場で行った一般謁見演説(原文イタリア語)。
講話の後、イタリア語で次のように述べた。

 先週の土曜日(10月17日)、スペインのイビサ島で、フアン・トーレス・トーレス神父と19人の同志が列福されました。この人々は20世紀の宗教迫害の中で信仰への憎悪のゆえに殺害されました(1936年)。かれらのあかしが、生涯を神と兄弟への愛の奉献とするようにわたしたちを励ましてくれますように。

 
 兄弟姉妹の皆様。おはようございます。ようこそおいでくださいました。

 まず皆様に申し上げたいことばはこれです。感謝します。皆様の祈りの支えのゆえに感謝します。その寛大さのゆえに神に感謝します。皆で神のいつくしみとあわれみへの信頼を新たにしたいと思います。

 第二バチカン公会議の『現代世界憲章』(Gaudium et spes)は、第一部で人格の尊厳と世界における人間の使命を明らかにした後、第二部で「福音と人間の得た経験に照らしつつ」、いくつかのもっとも緊急の現代の問題を考察します(『現代世界憲章』46参照)。何よりも結婚と家庭に注意が向けられます。それは、「個人ならびに人間社会とキリスト教社会の福祉は、夫婦および家庭の共同体の幸福な状態と密接に結びついている」(同47)と信じるからです。

 そのため『現代世界憲章』は、結婚の価値と目的を単に再確認するだけでなく、「いのちと愛の親密な夫婦の共同体」(『現代世界憲章』48)としての結婚の概念をあらためて提示します。契約としての結婚の法的次元を統合することにより、この結びつきの基盤が「夫婦の契約」のうちに認められます。この契約は「夫婦が互いに自分を与え受ける人間としての行為」(同)として理解されます。「もはや別々ではなく、一体である」(マタ19・6)夫と妻が互いに与え合うことは、夫婦の「完全な忠実」と「彼らの一致が不解消であること」の必要性を動機づけ、子どもの出産と育成のうちに生きた表現を見いだします(同参照)。三位一体の神の映しである夫婦愛と親子の愛は結婚の秘跡を通じて「キリストのあがないの力〔……〕によって導かれ、豊かにされる」ので、夫婦は、キリストが「ご自分が教会を愛し、教会のためにご自分を与えたように」(同)互いに愛し合うことができます。

 『現代世界憲章』は、人間的愛と神的愛の真理であるキリストの愛に照らして結婚の現実を明らかにした後、夫婦愛と結婚の豊かさに目を向けます。夫婦愛は、官能的な魅力に限られるものではなく――もちろんそれも含みますが――、夫婦の意志全体とかかわり、魂の愛情を新たにし、細やかな愛情と行動をもって表現されます(『現代世界憲章』49参照)。尊厳において平等な男女の人格全体の善を包むこの愛は、夫婦の全生活に浸透し、結婚に固有の行動によってのみ表現されます(同参照)。それは一人の人格がもう一人の人格に向かう完全な愛を意味するとともに、夫婦の独自の親密さは、夫婦が互いを与え合い、互いを豊かにする喜びをはぐくみます(同参照)。

 さらに、夫婦愛の豊かさは、子どもの出産という「結婚のもっとも貴重なたまもの」(『現代世界憲章』50)のうちに表されます。夫婦は、決して拒んではならない人間のいのちを伝達し育てることによって、「創造主である神の愛の協力者であり、いわばその解釈者」(同)となります。この人間的でキリスト教的な責務へと召された夫婦は、自分自身の福祉とともに、生まれた子ども、また将来生まれると予想される子どもの福祉に関する正しい判断に導かれなければなりません。夫婦が最終的に神の前で表明しなければならないこの判断は、彼らの良心が、福音の光のもとに教会の教導職が解釈する神のおきてに合致することを要求します(同参照)。

 結婚における愛の交わりと出産の豊かさを重んじた公会議は、「いのちの伝達に関する神のおきてと真正な夫婦愛を励ます神のおきてとの間に真の矛盾はありえない」(『現代世界憲章』51』)と考えるに至りました。反対に、公会議はこう述べます。「夫婦愛と生命伝達の責任との調和が問題になる場合、〔……〕真の愛のうちに行われる、互いを与え合うということと人間の出産との十全な意味を守」(同)らなければなりません。したがって、「いのちは妊娠したときから細心の注意をもって守られなければならない」。そして「堕胎と嬰児(えいじ)殺し」を避けなければなりません。また、「人間の真の尊厳にふさわしく行われる夫婦生活固有の行為に対しては、大いなる敬意を払わなければならない」(同)。

 それゆえ、夫婦と家庭の共同体に関する『現代世界憲章』の教えは、続けて家庭の社会的機能を明らかにします。家庭は「豊かな人間形成のための、いわば学校」、「社会の基礎」(『現代世界憲章』52)と定義されます。そしてとくに政治・文化の領域における社会の指導者は皆、「結婚と家庭の発展に効果的に寄与しなければならない」(同)と呼びかけます。

 愛する友人の皆様。この取り組みはこれまでにまして緊急を要するものとなっています。教会はこのことをよく知っています。それは、第二バチカン公会議以降の歴代の教皇の司牧的配慮、そして、教皇フランシスコが招集した二つの世界代表司教会議総会が示すとおりです。最近行われた、東方カトリック教会の指導者と司教協議会会長の会議もそうです。ナザレの聖家族がわたしたちの歩みを照らし、全世界の家族を守ってくださいますように。

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