1992年「世界広報の日」教皇メッセージ

1992年「世界広報の日」教皇メッセージ 「メディアにかかわり キリストを伝えよう」 親愛なる兄弟姉妹の皆さん メディアはすばらしい神の賜物  第2バチカン公会議の勧めにこたえ、教会は26年間、『世界広報の日』を実施し […]

1992年「世界広報の日」教皇メッセージ
「メディアにかかわり キリストを伝えよう」

親愛なる兄弟姉妹の皆さん

メディアはすばらしい神の賜物

 第2バチカン公会議の勧めにこたえ、教会は26年間、『世界広報の日』を実施し てきました。この日は、神の特別の贈り物、人類間のコミニュケーションを容易にし 、高め、豊かにする贈り物に感謝をするためにあります。

 この日、私たちは、心に生じる考えや感情を周りの人びとと交わしたり、孤独や寂 しさから抜け出させたりさせる、話すこと、聞くこと、見ることのできる恵みを感謝 します。この恵みによって私たちは、先祖の英知を知り、私たちの経験や反省を次の 世代に引き継ぐことができます。ところが、これらの素晴らしいことがらは、あまり 重要ではないかのように見られています。しかし私たちは「人間の英知が神の助けの もとに発見した技術上の驚嘆すべきこと」(『広報機関に関する教令』1)としてそ れらの価値を認めています。

 すべてのコミニュケーション・メディアは、現代市場への入場券のようです。この 市場では、考えていることが公に発表され、知識が交換され、あらゆる種類の情報が 伝達され、受容されています(『救い主の使命』37参照)。

 しかし、このメディアをとおして、私たちはしばしば、地球上に発生する暴虐に加 担する救いようのない傍観者の立場にいる自分を見いだします。それらは、歴史的抗 争や人種的偏見、復讐心、力への渇望、財産に対する貧欲、利己主義、あるいは人間 の生命や権利に対する尊敬の欠如からきています。キリスト者は、これらのことに心 を痛めるだけでなく、より積極的に、これらの悪に善をもって打ち勝つように(ロー マ12:21参照)呼びかけられています。

すばらしいメッセージを分かち合うこと

 このことに対するキリスト者のこたえは、よい便りに耳を傾け、イエス・キリスト における神の救いのメッセージをもっと現代人にわかりやすいものとすることです。 キリスト者は、語るための「すばらしいニュース」をもっています。私たちの喜びは 、キリストのメッセージを聞く耳をもったすべての善意の人とそれを分かち合うこと です。

 私たちは第一に、生活のあかしによってキリストのメッセージを語ります。なぜな ら、「現代人は、教師の言うことよりも、あかしする人の言葉を喜んで聞きます。教 師の言うことをを聞くときは、教師があかしをする人だからです」(『福音宣教』4 1)。

 より明白な告知が、キリストに従う人びとに求められています。私たちには、「日 の明るいうちに」「屋上から」(マタイ10:27、ルカ12:3)、恐れや妥協な しに、自分たちの信じていることを宣べ伝えるべき義務があります。また、神のメッ セージを、自然に、「人びとの話し方、考え方に適応させながら」(『コミニュケー ションと進歩』11)、宣べ伝える義務があります。私たちがなす告知は、いつも教 会が力説している二つの観点からなされなければなりません。一つは、人類皆が例外 なくもっている生きることについての深い問題に対する探求への応答という観点から 、もう一つは、すでにすべての人の心の中に神秘的に現存する霊の働きの観点からで す(『救い主の使命』29参照)。

 私たちは、キリストが、ご自分の教えを誰にも強制しないことを覚えていなければ なりません。キリストは、すべての人に例外なしに教えられますが、各自がキリスト の招きにこたえる自由を残しておられます。これは、私たちキリストに従う弟子の手 本です。すべての人びとにそれを伝えるのは私たちの権利であり、義務であると確信 をもって主張します。

メディアを使うことは私たちの義務

 この目的のために、「人類の技術が日ごとに発展していくこんにち、こうした有力 な手段を教会がつかわなければ、神のみ前に申し訳ないことです」(『福音宣教』4 5)。これらの「強力な道具」は、これらの「新しい言語」を用いて、わかりやすく 伝達するためには、特別の才能と適切なトレーニングが必要です。

 多くの男女信徒からなるカトリック教会のメディアの専門家団体は、この特別の日 に、自分たちに委ねられている大いなる責任を思い起こしてください。しかしそれと 同時に、全教会の霊的支援と信者たちの確固とした連帯があることの喜びを彼らが感 じなければなりません。私は、全てのカトリックの組織、修道会、教会的な運動、と くに各国、あるいは地域の司教協議会が、メディアにおける教会の存在を促進し、カ トリックの関係機関のよりいっそうの協力体制実現のために働くよう要請します。

 広報にかかわるすべてのカトリック信者が、神の明白な求めに応じて、自らを再奉 献するとき、神が、その力と支えになってくださいますように。神の現存と人びとの 努力への全能の神の助けのあかしとして、喜んで私の使徒的祝福を与えます。

1992年1月24日
サレジオの聖フランシスコの祝日に
   バチカンにて
教皇ヨハネ・パウロ二世

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