[二〇〇〇年大聖年の祈り] キリスト降誕二〇〇〇年の大聖年 ――日本の教会の共通典礼に寄せて――

キリストにおいて結ばれている兄弟、姉妹の皆さん 新年おめでとうございます。 いよいよ、新しい年とともに、今年一年を大聖年として祝うことになりました。 私たち全世界のキリスト信者は、全ての人の救い主イエス・キリストが、この […]

キリストにおいて結ばれている兄弟、姉妹の皆さん

新年おめでとうございます。

いよいよ、新しい年とともに、今年一年を大聖年として祝うことになりました。
私たち全世界のキリスト信者は、全ての人の救い主イエス・キリストが、この世に私たちの一人としてベトレヘムにお生まれになってから、二千年の時が経ったことを思い起こしています。

すでに、教会は三年前から、ヨハネ・パウロ二世教皇様の強いリーダーシップに導かれて準備を重ねて参りましたが、昨年のクリスマスの夜、教皇様がローマの聖ペトロ大聖堂の「聖年の扉」を開き入堂されるという、伝統的な習慣による象徴的な行為によって、大聖年が始まりました。
私たちも全世界の教会と心を合わせて、この年が真に聖なる年となるように務め、また、私たち一人一人、私たちの家庭、家庭を基盤として作られている私たちの社会、そして、ますます互いに隣人としての協力を求められている私たちの世界が、神様の愛と正義に生かされるものとなるように努力を重ねて参りましょう。

大聖年には、信者一人一人が神様の溢れるばかりの慈しみのなかで生かされ、各人が召されたお召に相応しく生きるように招かれています。信徒は信徒として、修道者・宣教者は修道者・宣教者として、司祭は司祭として、司教は司教として、形こそ異なりますが、キリストの体の健全な成長、発展、聖化のために努力することが求められています。このように、それぞれが自分の生活の中で信仰を生きていくとき、神の国の喜びが自然に溢れ出て、現代社会で救いを求めている方々に光をもたらすことができるのではないでしょうか。ルカ福音書には、ファリサイ派の人々の質問に答えられたイエスのことばがあります。「神の国は、『そこにある』『あそこにある』と言えるものではない。実に、神の国はあなたがたの間にある」(ルカ十七・二十一参照)。この私たちの間にすでにある「神の国」を、それぞれの方法で分かち合うとき、飢え渇いている世界に喜びの福音をもたらすことができるのです。

また、父である神によって、かけがえのない者として創造されたすべての人が大切にされ、人間として相応しく生きられる世界、人間が民族や思想、宗教の違いなどを乗り越えて、互いに愛し合い、尊重し合い、助け合い、皆で共存できる平和な世界を築いていくことこそ、神様が望まれていることです。

私たち日本の教会は、大聖年の直接の準備の三年間、年に一回、同日に共通の典礼を行い、連帯の心を深めて参りましたが、今年は特別な思いを込めて、ともに恵みの年の到来を祝いましょう。年の始め、神の母聖マリア、主の公現の祭日と続きますが、このとき、イエスの誕生によって、救いの喜びが始まったことを祝い、東方の博士たちとともに喜ばれた聖母マリアの取り次ぎを願って、大聖年を真に喜びの年とすることができるよう、努めて参りましょう。また、いつの時代にも、誰とでも、ともに歩んでくださっているイエス・キリストによって、聖霊のうちに、御父に至る救いの秘義を、深く悟る恵みを願いましょう。

終わりに、日本のカトリック教会が心を一つにして、この大聖年を祝い、キリストの愛の福音に生き、そのメッセージを隣人に伝えていくものとなることを願ってやみません。
慈しみ深い神様の恵みが、皆様の心を満たしてくださいますように。

二〇〇〇年 大聖年 
―大聖年の祈り―

◇ 父よ、あなたをたたえます。
 あなたは限りない愛をもって、御ひとり子を遣わしてくださいました。
 二千年前、
 聖霊によっておとめマリアのうちに宿り、
 ベトレヘムでお生まれになった御子キリストは、
 わたしたちとともに生き、 
 歴史に新たな意味を与えてくださいました。
 苦しみと困難にあっても、愛と忠実のうちに、
 新しい天、新しい地に向かって、ともに旅してくださいます。
 そこでは もはや死は克服され、
 父よ、あなたこそすべてにおいてすべてとなられます。
 
            ▲三位の神、唯一であるあなたをたたえます。

◇ 父よ、あなたの恵みによって、大聖年が深い回心のとき、
 あなたに立ち帰る喜びのときとなりますように。
 人々が和解し、国々の間に平和が回復されるとき、
 剣(つるぎ)が鋤(すき)に打ち直され、
 戦闘の音が平和の歌に道を明け渡すときとなりますように。
 父よ、わたしたちが聖霊の導きに従い、あなたのことばを熱心に聞き、
 恵みの泉に近づき、
 この大聖年をキリストに忠実に生きることができますように。
 
            ▲三位の神、唯一であるあなたをたたえます。

◇ 父よ、教会が新しい福音宣教に、
 力強く取り組むことができるように強めてください。
 わたしたちが生活を通してキリストを告げ知らせ、
 この地上の旅路を、光輝く天の都に向かわせることができるよう、
 わたしたちの歩みを聖霊によって導いてください。
 キリストに従う者が、貧しい人や圧迫されている人々に愛を示し、
 困難にある人々と一つになり、愛のわざを行うことができますように。
 すべてにあわれみ深くなり、
 わたしたちもあなたからの赦(ゆる)しと免償(めんしょう)をいただくことができますように。  
 
            ▲三位の神、唯一であるあなたをたたえます。

 
◇ 父よ、キリストの弟子たちが過去を省(かえり)み、過(あやま)ちを認め、
 皆が一つになることによって、世があなたを信じるようになりますように。 
 さまざまな宗教を信じる人々の間に対話が広がり、
 すべての人が、あなたの子どもである喜びを見出すことができますように。
 全教会とわたしたち一人一人が、
 信じる者の母であるマリアのとりなしにより、
 使徒と殉教者、
 あらゆる民族、あらゆる時代の神の前に正しく生きた人々と
 心を一つにして、
 この聖なる年を新たな希望のとき、
 聖霊による喜びのときとすることができますように。
 
            ▲三位の神、唯一であるあなたをたたえます。

◇ 生ける神、時と歴史の主であるキリストによって、
 すべてのものを聖とする聖霊のうちに、
 全能の父、世界と人類の創造主であるあなたに、
 賛美と誉れと栄光が
 今もいつも世々にありますように。アーメン

※この祈りは、教皇庁大聖年準備中央委員会から一九九九年五月三十一日付けで送られてきた「二〇〇〇年大聖年のための教皇ヨハネ・パウロ二世の祈り」を邦訳したものです。ご自由にコピー、印刷などをしてご使用ください。大聖年準備特別委員会

二〇〇〇年一月一日 神の母聖マリアの祭日

日本カトリック司教協議会
大聖年準備特別委員会 委員長 白 柳 誠 一

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