霊雲院で開催される諸宗教会議・平和会議(2004年10月9日)へ

霊雲院で開催される諸宗教会議・平和会議(2004年10月9日)へのメッセージ 則竹 秀南 様  貴下ならびに、霊雲院開祖大寂常照禅師500年御遠諱を記念して貴下が開催される諸宗教会議・平和会議の参加者の皆様にこのメッセー […]

霊雲院で開催される諸宗教会議・平和会議(2004年10月9日)へのメッセージ

則竹 秀南 様

 貴下ならびに、霊雲院開祖大寂常照禅師500年御遠諱を記念して貴下が開催される諸宗教会議・平和会議の参加者の皆様にこのメッセージをお送りできることを、たいへん喜ばしく存じます。貴下が呼びかけられた重要な会議がここに開催されますことを、心からお喜び申し上げます。この会議は、世界平和の前進に奉仕するために行われる、仏教・キリスト教間の相互理解と協力にかならずや寄与するものと思われます。

 去る2004年5月に、私どもは教皇庁諸宗教対話評議会設立40周年を祝いました。実にこの40年という時期の中で、キリスト教と仏教はきわめて真摯に、また開かれた態度で出会ったのでした。この出会いが行われたのは、人類の歴史の中で平和がこれほど脅かされたことがないような時期でもありました。私たちの出会いが、この時代がもたらす挑戦をともに乗り越えるという使命に応えるために、大いに寄与してきたことを、私は確信しています。

 戦争と流血が絶え間なく起こるこの世界の中で、今日、皆様は再びここに集まり、どれほどささやかなしかたであれ、平和の前進のために寄与しようとしておられます。私はこの集まりが、こうした世界の深刻な状況を改善しようとして、私たちが共に、またそれぞれに行う努力を強めてくれることを心から望んでおります。

 キリスト教徒にとって、平和はなによりもまず、神から与えられるたまものであり、私たちはそれが与えられるよう祈り求めます。私は、仏教徒の皆様も、同じように平和のために祈る必要があると感じておられると確信致します。このような思いに基づいて、教皇ヨハネ・パウロ二世は自ら、仏教徒をはじめ他の宗教指導者を、世界平和を祈るためにイタリアのアッシジに招きました。この世界平和祈祷集会は、1986年10月に続いて、2002年1月にも行われました。

 平和は同時に、人間の努力がもたらす結果でもあります。平和のための祈りも、平和を築く上で宗教者が果たす重要な役割を示しています。この新しい千年期の初めに起こった悲劇的出来事と、それに続く戦争、民族・国家間で止むことのない緊張、テロリストの攻撃と戦闘――こうしたすべての現象は、平和を築き、守るために諸宗教が果たすべき役割をあらためて明らかにしました。

 キリスト教徒として、また仏教徒として、私たちは今日の困難な状況のただ中で、何よりも平和への強い確信と希望を持たなければなりません。この状況を見て、人びとは、紛争や戦争が人の世でほとんど避けがたいものと考えがちだからです。

 平和をもたらすことは常に可能です。

 私たちは恐怖に圧倒されてはなりません。恐怖に導かれて、人びとは自分のことだけを考え、個人や集団の心に巣食う利己主義を強めるようになるのです。むしろ私たちは、勇気を持って、平和に対して私たちが抱いている希望と確信を世界中に広げていかなければなりません。私たちは、人を凌駕(りょうが)しようとする人類の欲望を打ち滅ぼし、生活と文化の中に蒔かれた憎しみや偏見の種を根絶やしにするよう、渾身(こんしん)の努力を傾けなければなりません。そのために、私たちは、すべての人が持つ、この上ない尊厳について教え、人類が一つの家族であることをはっきり感じる意識を広めていかなければなりません。これこそ、私たちキリスト教徒と仏教徒が、世界平和のために行うことができる特別な奉仕でありましょう。
 皆様の会議が成功し、実り豊かなものとなりますように。全能の神の祝福が貴下とすべての参加者の皆様の上に豊かに注がれますように祈ります。

2004年9月15日、バチカン市国
教皇庁諸宗教対話評議会議長
マイケル・L・フィッツジェラルド大司教

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