教皇ベネディクト十六世の教皇公邸書斎の窓からの最初の祝福

教皇ベネディクト十六世は4月30日(土)にドムス・サンクタエ・マルタエから教皇公邸に移り、5月1日(日)午後0時に公邸の書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった10万人近くの信者とともに「アレルヤの祈り」(復活祭から聖霊 […]

教皇ベネディクト十六世は4月30日(土)にドムス・サンクタエ・マルタエから教皇公邸に移り、5月1日(日)午後0時に公邸の書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった10万人近くの信者とともに「アレルヤの祈り」(復活祭から聖霊降臨の主日まで「お告げの祈り」の代わりに唱えられる祈り)を唱えました。以下は、祈りの前後に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。教皇は「アレルヤの祈り」の後に、特にトーゴの内戦について言及しました。西アフリカのトーゴ共和国では、4月24日に大統領選挙が行われ、26日に与党「トーゴ人民連合」のニャシンベ氏の当選が発表されましたが、選挙結果を批判する市民が首都ロメなどで警官隊と衝突し、少なくとも20人が死亡したと報じられています。その後、5月4日の国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の発表では、トーゴから隣国のベナンとガーナに20,000人以上の難民が避難したとのことです。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 初めてこの窓から皆様にご挨拶申し上げます。この窓は、敬愛すべきわたしの前任者によって、世界中の数えきれない人びとによく知られるようになったものです。ヨハネ・パウロ二世は、毎日曜日、約束を守って、この窓辺から祝福を送る習慣を大事にしました。ヨハネ・パウロ二世は、四半世紀以上にわたって、教会と世界の歴史をともに生きてこられました。わたしたちはヨハネ・パウロ二世をこれまで以上に親しく感じ続けています。わたしがまずあらためて感じているのは、この数日間、わたしを祈りによって支えてくださっている人びと、また、世界中からわたしにメッセージやご好意を送ってくださっている人びとに対する感謝です。
 わたしは特別な愛情を込めて、正教会と東方教会に対して祝福をお送りしたいと思います。皆様はまさにこの主日にキリストの復活を祝っておられるからです。この愛する兄弟の皆様に対して、わたしは伝統的に用いられる喜びの挨拶を申し上げます。「クリストス・アネスティ(キリストは復活された)」。そうです、キリストは復活されました。キリストはまことに復活されたのです。わたしは、復活祭が、皆様にとって、キリストに対する信仰と賛美のための一つの祈りとなることを、心から希望しております。キリストは、わたしたちの共通の主であり、完全な交わりを目指して歩むようわたしたちを招いておられるからです。
 今日、わたしたちはキリスト信者にたいへん親しまれている祝日をもって五月という月を開始します。すなわち労働者聖ヨセフの祝日です。この祝日は、敬愛すべき教皇ピオ十二世によってちょうど50年前に定められました。この祝日が定められたのは、労働の重要性と、労働の世界におけるキリストと教会の現存の重要性を強調するためでした。現代社会においても、ヨハネ・パウロ二世が回勅『働くことについて』で述べた、「労働の福音」をあかしすることが必要とされています。わたしは特に若者たちにとって仕事が不足することがないことを、また、労働条件がますます人間の人格の尊厳を尊重したものとなることを、希望しています。
 わたしはすべての労働者に、愛情を込めて思いを致しています。そして、サンピエトロ広場に集まってくださった、多くの団体の皆様に祝福をお送りします。特にイタリア・キリスト教労働者協会(ACLI)の友人の皆様に祝福をお送りします。皆様は今年創立60周年を迎えられます。また、皆様は、労働と社会生活の分野に受肉させるべき価値として「キリスト教的友愛」を選択されました。皆様がこの選択を生き続けられることを励ましたいと思います。連帯と正義と平和が、人類家族の統合がその上に築かれる柱となるためです。
 最後に、わたしの思いはマリアに向かいます。今月は特別にマリアにささげられた月です。そのことばと、それ以上にその模範によって、教皇ヨハネ・パウロ二世はわたしたちに、マリアの目を通してキリストを観想することを教えました。ヨハネ・パウロ二世は、特に聖なるロザリオを大事にされました。「アレルヤの祈り」を唱えながら、教会と人類が必要とするすべてのことをおとめマリアに委ねたいと思います。

(「アレルヤの祈り」の後に述べられたことば)
 この数日、わたしは戦争、病気、貧困によって苦しんでいるすべての人のことをたびたび考えております。特に今日、わたしの心は、痛ましい内戦に苦しむトーゴの愛する人びとのことを強く思っています。苦しむすべての諸国のために、和解と平和のたまものが与えられるよう祈ります。

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