教皇ベネディクト十六世の2005年10月9日の「お告げの祈り」のことば クレメンス・アウグスト・フォン・ガレン列福について

教皇ベネディクト十六世は、10月9日(日)正午に、教皇庁公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場を埋め尽くした信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。 […]

教皇ベネディクト十六世は、10月9日(日)正午に、教皇庁公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場を埋め尽くした信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
この日は、午前9時30分から、サンピエトロ大聖堂内で、ドイツの枢機卿クレメンス・アウグスト・フォン・ガレン(1878-1946年)の列福式が行われました。列福式は教皇庁列聖省長官のホセ・サライバ・マルチンス枢機卿が司式し、教皇自身は司式しませんでしたが、式の終わりに、教皇は、告白の祭壇(中央祭壇)で、枢機卿の聖遺物に祈りをささげました。
また、「お告げの祈り」の後、英語で述べられた祝福の挨拶の中で、教皇は、10月8日午前にパキスタン北東部を襲った地震に言及し、災害復旧のために祈りました。この地震による死者は19,000名を超えるといわれ、パキスタンのムシャラフ大統領は国際社会に支援を要請しています。教皇は次のように述べました。「昨日、南アジアで起こった地震が、パキスタン、インド、アフガニスタンで大きな被害をもたらし、多数の人命を奪ったことを知り、深い悲しみを覚えています。亡くなったすべてのかたを、神のあわれみ深いいつくしみに委ねます。また、怪我をしたり、家族を失った数千の人々に、心から御見舞申し上げます。この災害に対して、国際社会が迅速かつ寛大な支援を行ってくださるよう祈ります。また、救援・復興活動にあたる人々に、勇気と力を与えてくださるよう、主に願います」。
さらに、スペイン語による祝福の挨拶の中で、教皇は、メキシコ中部ベラクレス付近に上陸したハリケーン「スタン」がもたらした大雨による、洪水や土砂崩れの災害に言及しました。10月5日早朝に起きたグアテマラでの大規模な土砂崩れでは、パナバ村の村民1,400名が行方不明となっています。教皇は次のように述べました。「この機会に、わたしは親愛なる中米諸国とメキシコ、特にエルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグアのことを思い起こしたいと思います。これらの諸国は、大雨と洪水の被害により、多くの犠牲者を出し、また深刻な被害を受けました。亡くなったかたがたに永遠の安息が与えられますように、主に祈ります。また、住まいと仕事の手段を奪われたかたがたに対して、心からの御見舞を申し上げます。さらにわたしは、善意の機関と人々が、真の兄弟としての連帯精神をもって、効果的な支援をしてくださるようにお願いしたいと思います」。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。
  今日の午前中に、サンピエトロ大聖堂で、クレメンス・アウグスト・フォン・ガレンの列福式が行われました。フォン・ガレンは、ナチ支配に対して勇敢に反対した、ミュンスターの司教・枢機卿です。フォン・ガレンは1904年に司祭叙階され、ベルリンの小教区で長く奉仕職を務めた後、1933年にミュンスター司教になりました。フォン・ガレン司教は、神の名において国家社会主義の新異教主義的思想を非難しました。こうして彼は、深刻な侵害を受けていた、教会の自由と人権を擁護し、ユダヤ人と弱い立場の人々を守りました。当時、彼らは抹殺されるべき存在と考えられていたからです。
  この勇敢な牧者が1941年に行った、三つの有名な説教はよく知られています。教皇ピオ十二世は、1946年2月にフォン・ガレンを枢機卿に親任しました。その一か月後に、枢機卿は、彼を勇気あるキリスト者の模範とたたえる信者に囲まれながら亡くなりました。福者フォン・ガレンの与えるメッセージは、いつの時代にも常に当てはまるものです。すなわち、信仰は、個人的な感情にすぎないものではありません。信仰は、人にうとまれて隠れていることがあるかもしれません。しかし、信仰は、公共の場で、人間と正義と真理を守るために、一貫したあかしを行うことを意味するのです。わたしはミュンスター教区とドイツの教会に対して、心からお喜びを申し上げたいと思います。この新しい福者の取り次ぎによって、皆様の上に主の豊かな恵みが与えられることを祈り求めます。
  ご存知の通り、この数日間、バチカンにおいて、世界代表司教会議(シノドス)が開催されています。この世界代表司教会議は、教会生活と宣教における聖体(エウカリスチア)というテーマを深く考察しています。わたしは最初の一週間、会議を主宰しましたが、会議はこれからさらに二週間続きます。世界代表司教会議は、わたしの主要な任務です。シノドスが所期の成果を達成することができるように、皆様が引き続きお祈りくださることをお願いいたします。特にこの10月は、教会共同体全体が、その宣教の使命を更新するように招かれています。この月にあたって、ヨハネ・パウロ二世が使徒的書簡『主よ、一緒にお泊まりください』第4章に書いていることを読み直してくださることを皆様にお勧めします。そこには「宣教の原理であり計画」である聖体についてこう書かれています(24-28節)。「キリストとの出会いは、聖体において常に強められ、深められます。この出会いによって、教会と、すべてのキリスト者は、ただちにあかしと福音宣教に向かうように促されます」(24節)。それは、ミサの終わりに行われる、派遣の祝福によって強調されていることです。「行きましょう」(Ite, missa est)。このことばによって、わたしたちはあらためて「宣教」の使命を思い起こします。感謝の祭儀にあずかった者は、自分たちに与えられたよい知らせを、すべての人に伝え、このよい知らせによって社会を生かす使命を帯びているのです。
  この意向を、至聖なるマリアと、明日(10月10日)、わたしたちが記念する聖ダニエレ・コンボーニ(1831-81年)の取り次ぎに委ねましょう。聖コンボーニは、アフリカ大陸の有名な宣教者であり、守護者です。聖コンボーニが、教会が現代においても、信頼と勇気をもって、復活した主の命令に答えることができるように、助けてくださいますように。主は、すべての民に神の愛を告げ知らせるように教会を招いておられます。

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