教皇ベネディクト十六世の2006年1月29日の「お告げの祈り」のことば 愛と聖性

教皇ベネディクト十六世は、1月29日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、雨の中、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語) […]

教皇ベネディクト十六世は、1月29日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、雨の中、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
1月29日は世界ハンセン病の日でした。お告げの祈りの後、教皇はイタリア語で次のように述べました。「今日は世界ハンセン病の日です。世界ハンセン病の日は、50年以上前にラウル・フォルローによって始められました。この日は、慈善活動に携わるさまざまな団体によって行われています。わたしはハンセン病を患っているすべての方々に特別にごあいさつ申し上げます。また、この、人間への奉仕の中での最前線で活動しておられる宣教者、保健従事者、ボランティアの皆様を励ましたいと思います。ハンセン病は、貧困という、さらに深刻な、蔓延している病の徴候です。そのため、わたしは、わたしの前任者の諸教皇と同じく、諸国の指導者の皆様にあらためてお願いいたします。人類の多くの人々を今なお苦しめている深刻な不平等をなくすために、最大限の努力を払ってください」。
世界ハンセン病の日は、1954年にフランスの著述家のラウル・フォルロー(1903‐1977年)によって始められました。世界保健機構(WHO)によると、2001年のハンセン病患者は763,262人でしたが、2004年には407,791人に減少しています。
また、ポーランド語での祝福の中で、教皇は次のように述べました。「ポーランドから見えた巡礼者の皆様にごあいさつ申し上げます。わたしは昨晩カトウィツェで起きた痛ましい事故に思いを致します。この事故で多くの方がいのちを落とされました。亡くなったすべての方々を神のいつくしみに委ねるとともに、亡くなった方のご家族と、すべてのけがをされた方々のためにお祈りいたします。すべての皆様に心からの祝福をお送りします」。
ポーランド南部カトウィツェでは、28日夕方(日本時間29日未明)、レース用のハトの見本市が開かれていた展示場の屋根が崩落し、地元警察の発表では66人が死亡、140人が負傷しました。
祝福の最後に、教皇はイタリア語で、5,000人のカトリック・アクションの少年たちに向けて、次のように述べました。「『平和月間』の終わりにサンピエトロ広場に集まっておられる、ローマのカトリック・アクションの少年の皆様に、深い愛情をこめてごあいさつ申し上げます。わたしの隣にいる皆様の代表者と一緒に、わたしはこれから、平和の象徴である2羽のハトを放ちます。親愛なる少年の皆様。皆様は、偉大な教育者であるイエスに導かれて、「平和を学ぶ」決意をなさったと聞いております。そこでわたしは、カトリック・アクションの少年の皆様に、わたしが1月1日のメッセージですべての人にお願いした課題を委ねます。いつも真理を述べ、真理を行うことを学んでください。こうして皆様は平和をつくる人になるのです」。
教皇は2羽のハトを放ちましたが、1羽はすぐに同じ窓から教皇公邸書斎の中に戻ってしまったので、あらためて外に放たれました。教皇は笑いながら、こう述べました。「ハトは教皇のところにとどまっていたいようです。ですが、ハトも自分が自由であることがわかるでしょう」。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 先週の水曜日に公布した回勅の中で、わたしは、キリスト信者と教会の生活の中で愛が第一に重要であることをあらためて強調しました。わたしは、愛が第一に重要であることの特別な証人は、聖人たちであることについて述べたいと思います。聖人たちは、その生涯をもって、何千の声を用いて神に賛美をささげたからです。
 わたしたちは典礼によって、毎年、聖人たちのあかしを記念しています。たとえば、わたしは、この数日、わたしたちが記念している次のような人々のことを思い起こします。使徒パウロと、その弟子のテモテとテトス、聖アンジェラ・メリチ(1470-1540年)、聖トマス・アクィナス(1225-1274年)、聖ヨハネ・ボスコ(1815-1888年)。この聖人たちは、それぞれまったく違う人々です。最初に挙げた人々は初代教会の時代に属します。彼らは最初に福音を宣べ伝えた宣教者でした。
 中世のトマス・アクィナスは、カトリック神学者の模範です。彼はキリストのうちに真理と愛の最高の統一を見いだしました。ルネサンス期のアンジェラ・メリチは、信徒の生活を送る人にも聖性の道を歩むことを勧めました。近代のヨハネ・ボスコは、良い羊飼いであるイエスへの愛に駆られながら、貧しい少年を世話し、彼らの父また教師となりました。
 まことに、教会の歴史の全体は、聖性の歴史です。この聖性の歴史は、神から発する唯一の愛に導かれています。実際、キリストのみ心から常に新たに流れ出る、超自然的な愛のみが、何世紀にもわたって、男女修道会やさまざまな形の奉献生活が驚くほど繁栄してきたことを説明できるのです。その愛徳によって知られた聖人として、わたしは回勅の中で、次の人々を挙げました(『神は愛』40参照)。ヨハネ・ア・デオ(1495-1550年)、カミロ・デ・レリス(1550-1614年)、ヴァンサン・ド・ポール(1581-1660年)、ルイーズ・ド・マリヤック(1591-1660年)、ジュゼッペ・コットレンゴ(1786-1842年)、ルイジ・オリオーネ(1872-1940年)、カルカッタ(コルカタ)のテレサ(1910-1997年)。
 キリストの霊によって形づくられたこれらの人々は、福音への献身の模範となりました。こうして彼らは、奉献生活が、愛の表現、また愛を学ぶ学校として、重要な意味をもつことを考えるように、わたしたちを促します。第二バチカン公会議は、貞潔、清貧、従順によってキリストに倣うことが、徹底的に完全な愛に達することをめざすものであることを強調しました(『修道生活の刷新・適応に関する教令』1参照)。奉献生活の重要性と価値を示すために、教会は、2月2日の主の奉献の祝日に「奉献生活の日」を記念します。教皇ヨハネ・パウロ二世が好んで行っていたように、わたしも2月2日の午後、サンピエトロ聖堂でミサを司式します。このミサには、特にローマに住む奉献生活者の方々をお招きします。
 奉献生活の恵みを、ともに神に感謝しましょう。そして、奉献生活が、世において神の憐れみ深い愛を雄弁にあかしするしるしであり続けることができるように、祈りたいと思います。
 愛の鏡である、至聖なるマリアに祈りたいと思います。マリアの母としての助けによって、キリスト信者が、また特に奉献生活者が、聖性の道を速やかに、また喜びのうちに歩んでいくことができますように。

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