教皇ベネディクト十六世の2006年3月26日の「お告げの祈り」のことば 宣教者の記念について

教皇ベネディクト十六世は、3月26日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。 教皇 […]

教皇ベネディクト十六世は、3月26日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
教皇は3月23日(木)に枢機卿総会を招集し、翌24日(金)午前10時30分からサンピエトロ広場で行われた親任式で15名の新枢機卿を親任しました。また25日(土)午前10時30分から同じサンピエトロ広場で新枢機卿とともに教皇司式によるミサをささげました。今回の枢機卿親任により、枢機卿団は総数193名、教皇選挙権を有する枢機卿は120名となりました。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 数日前、15名の新枢機卿を任命するために行われた親任式は、教会の大きな経験でした。この経験によって、わたしたちは団体性がもつ霊的な豊かさを味わうことができました。わたしたちは自分たちが皆、キリストと教会への一つの愛に結ばれながら、出身を異にする兄弟たちとともにいることを見いだしました。
 ある意味でわたしたちは、最初のキリスト信者の共同体が経験した現実を再体験しました。最初のキリスト信者の共同体は、イエスの母マリアとペトロを中心として集まり、霊のたまものを受けました。それは、全世界に福音を広めるという任務を果たすためでした。自分のいのちを犠牲にしてまでこの使命を忠実に果たすことが、枢機卿の特徴となるしるしです。それは、枢機卿が行う誓いによって示されます。深紅の服が象徴するのも、そのことです。深紅は血の色だからです。
 摂理的な偶然の一致により、枢機卿親任式は3月24日に行われました。3月24日は、昨年、福音を宣べ伝え、地上のさまざまな地域の人に奉仕するための前線でいのちを落とした人びとを記念する日です。ですから、枢機卿親任式は、信仰のために迫害の苦しみに遭っているすべてのキリスト信者を、いっそう身近に感じる機会となりました。わたしたちが日々耳にする、これらのキリスト信者のあかしと、何よりも殺害された人びとがささげた犠牲は、わたしたちがますます真剣に、寛大な心で福音宣教に励むように教え、促します。 
 わたしの思いは特に、信教の自由がない国々に生きる共同体や、法律上は信教の自由が保障されていても、実際にはそれが著しく制限されている共同体に向かいます。こうしたすべての共同体の人びとに、わたしは心から励ましを送りたいと思います。彼らが忍耐とキリストの愛のうちに耐え忍ぶことができますように。彼らは神の国の種です。神の国は来ています。それどころか、すでに地上に実現しています。こうした困難な状況の中で福音に仕えるために働くすべての人びとに、わたしは全教会を代表して、深い連帯を表明したいと思います。同時にわたしは、これらの人びとを祈りの中で日々心にとめることを約束します。
 教会は、使徒の元后であるマリアに伴われながら、歴史の中を進み、地に広がっていきます。二階の広間におられたときと同じように、聖なるおとめはいつもキリスト信者に、イエスのことを生き生きと思い起こさせてくださいます。マリアはキリスト信者の祈りの力であり、その希望の支えです。わたしたちはマリアに祈り求めたいと思います。マリアが、わたしたちの日々の歩みを導いてくださいますように。そして、特別な愛をもって、きわめて困難で苦しい状況の中に置かれたキリスト信者の共同体を守ってくださいますように。

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