教皇ベネディクト十六世の2006年4月23日の「アレルヤの祈り」のことば 神のいつくしみの主日について

教皇ベネディクト十六世は、4月23日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「アレルヤの祈り」(復活祭から聖霊降臨の主日まで「お告げの祈り」の代わりに唱えられる祈り)を行いました。以下は […]

教皇ベネディクト十六世は、4月23日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「アレルヤの祈り」(復活祭から聖霊降臨の主日まで「お告げの祈り」の代わりに唱えられる祈り)を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
この日、サンピエトロ広場には5万人を超える信者が集まりました。
4月23日は復活節第2主日で、今は「神のいつくしみの主日」と呼ばれます。「神のいつくしみ」への信心はポーランドの修道女ファウスティナ・コヴァルスカ(1905-1938年)によって始まりました。教皇ヨハネ・パウロ二世はファウスティナを2000年4月30日に列聖し、同日、世界中で復活節第2主日を「神のいつくしみの主日」と呼ぶことにすることを発表しました。
なお、東方正教会では、ユリウス暦に従い、今年は4月23日に復活祭を祝います。教皇は「アレルヤの祈り」(レジナ・チェリ)を歌って唱えた後、イタリア語で、正教会に向けて次のように復活祭の祝いのことばを述べました。「わたしの思いは今、心から、今日、復活祭を祝っておられる東方教会の兄弟の皆様に向かいます。復活した主が、すべての人にその光と平和のたまものをもたらしてくださいますように。キリストは復活されました(Christos anesti! Christos vaskries!)。しかし今日の喜びの雰囲気のうちに、わたしはまた、最近、洪水の被害に遭ったセルビア、ルーマニア、そしてブルガリアの多くの人びとのことを思い起こさずにはいられません。すべての人の助けによって、この困難な時を乗り越えることができることを心から願いながら、わたしは祈りをもってこれらの国の人びとを支えます」。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 今日の主日に朗読されたヨハネによる福音書が述べているように、復活したイエスは「週の初めの日の夕方」(ヨハネ20・19)、二階の広間に集まっていた弟子たちに現れました。そしてイエスは、「八日の後」(ヨハネ20・26)、同じ場所で再び弟子たちの前に姿を現しました。
 ですから、キリスト者の共同体は最初から、週を周期として生きることを始めました。この週の周期は、復活した主との出会いによって区切られていました。
 このことを、第二バチカン公会議の『典礼憲章』も次のように述べて強調しています。「教会は、キリストの復活の当日にさかのぼる使徒伝承により、復活の神秘を八日目ごとに祝う。その日は、それゆえにこそ、主の日、または主日と呼ばれている」(『典礼憲章』106)。
 福音書記者ヨハネはまた、いずれの出現においても、主イエスが弟子たちに、ご自分が十字架につけられたしるしを示したと述べています。十字架のしるしは、主の栄光のからだにおいても、目で見、手で触れることのできるものでした(ヨハネ20・20、27参照)。この手と足とわき腹の聖なる傷痕は、信仰と希望と愛を尽きることなく生み出す源です。誰でも、特に神のいつくしみに渇く魂は、そこから飲むことができます。
 このことを考えて、神のしもべヨハネ・パウロ二世は、謙遜な修道女の聖ファウスティナ・コヴァルスカの霊的な経験を生かしながら、復活祭後の最初の主日を特別なしかたで神のいつくしみにささげることを望みました。そして、摂理によって、ヨハネ・パウロ二世がまさにこの神のいつくしみの主日の前晩に亡くなりました。
 神のいつくしみ深い愛の神秘は、わたしの敬愛すべき前任者ヨハネ・パウロ二世の教皇職の中心にあるものでした。特に1980年に出された回勅『いつくしみ深い神』と、ヨハネ・パウロ二世が2002年にクラクフで神のいつくしみの聖堂を新たに献堂したことを思い起こしたいと思います。
 この最後のポーランド訪問の際に述べられたことばは、ヨハネ・パウロ二世の教皇職を要約しています。このことばの中でヨハネ・パウロ二世は、神のいつくしみへの信心がけっして重要度の低いものではなく、むしろキリスト教の信仰と祈りの不可欠な部分をなすことを明らかにしました。
 わたしたちは今、「アレルヤの祈り」で、教会の母である至聖なるマリアに呼びかけます。マリアの助けによって、すべてのキリスト信者が「週ごとの復活祭」である主日を完全なしかたで生きることができますように。こうして、復活した主との出会いのすばらしさを味わい、主のいつくしみ深い愛の源から飲むことによって、主の平和の使徒となることができますように。

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