教皇ベネディクト十六世の2006年6月18日の「お告げの祈り」のことば キリストの聖体の祭日にあたって

教皇ベネディクト十六世は、6月18日(日)の正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。 「 […]

教皇ベネディクト十六世は、6月18日(日)の正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
「お告げの祈り」の後、イタリア語で、教皇は6月20日(火)の「世界難民の日」に寄せて、次のように述べました。「今週の6月20日の火曜日に、国際連合の主催で『世界難民の日』が行われます。わたしは、深刻な形の暴力のために、自分の土地から逃げることを余儀なくされた多くの人びとの置かれた状況に対して、国際社会の注意を呼びかけます。このわたしたちの兄弟姉妹は、祖国に帰る望みや、少なくとも避難先で暖かく迎えられる希望に導かれて、他国に避難所を求めています。聖座はこの人びとのために祈り、また絶えず関心を向けることを約束します。そしてわたしは、難民の権利が常に尊重されることを求めるとともに、教会共同体が彼らの必要に応えてくださるように促します」。
「世界難民の日」は2000年12月に国連総会で開催が決議され、2001年から始まりました。今年の第6回「世界難民の日」のテーマは「希望」です。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 今日は、イタリアでも他の国々でも、キリストの聖体の祭日が祝われます。ローマでは、この祭日は、先週の木曜日に、ローマ市内での聖体行列によって、すでに盛大に祝われました。
 キリストの聖体の祭日は、キリストのからだと血の秘跡である聖体を、荘厳に、また公に祝う祭日です。この日、最後の晩餐で制定され、毎年、聖木曜日に記念される神秘が、聖体を囲む教会共同体の熱心な信仰と信心によって、すべての人に示されます。
 実際、聖体は教会の「宝」であり、主が教会に残してくださった尊い遺産です。教会はこの遺産を細心の注意をもって守ります。そのために教会は、聖なるミサによって毎日感謝の祭儀を行い、教会や聖堂において聖体を礼拝し、病者に聖体を与え、また、最後の旅路を歩む人には最後の糧として聖体を与えます。
 しかしながら、この宝は、洗礼を受けた人のためのものでありながら、そのわざの輝きは教会の枠の中に尽きることがありません。聖体は、「世を生かすため」(ヨハネ6・51)にご自身をささげた主イエスです。主イエスは、あらゆる場所で、あらゆる時に、人と出会い、神のいのちを与えようと望んでおられます。
 そればかりではありません。聖体は宇宙的な意味ももっています。実際、パンとぶどう酒がキリストのからだと血に変化することは、被造物そのものが神化される原理となるものです。だから、毎年、キリストの聖体の祭日には、特別に、行列で聖体を運びます。この行列は、豊かな意味をもった動作です。
 通りや広場を通って聖体を運ぶことによって、わたしたちは、天から降ったパンを、わたしたちの日々の生活の中に染み透らせようとします。わたしたちはイエスがわたしたちの歩むところを歩み、わたしたちが生きているところで生きてくださることを望みます。わたしたちの世が、わたしたちの生活が、イエスの神殿とならなければなりません。
 この祭日にあたり、キリスト教共同体は、聖体が自分たちのすべてであり、自分たちのいのちそのものであり、死に打ち勝つ愛の源泉であることを宣言します。聖体のキリストとの交わりから、愛が湧き上がります。この愛が、わたしたちの生活を変容させ、天の祖国への旅路を歩むわたしたちすべてを支えます。そのため、典礼は次のように歌うようにわたしたちを招きます。

よき牧者であるまことのパンよ、・・・・
全知全能にして、地上で死すべき者であるわたしたちを養ってくださるかた、
わたしたちを天上であなたの食卓にあずからせ、
あなたの相続人また友として
聖人たちとともに住まわせてください。
(「ラウダ・シオン」、教皇ヨハネ・パウロ二世回勅『教会にいのちを与える聖体』62に引用)

 教皇ヨハネ・パウロ二世が回勅『教会にいのちを与える聖体』ではっきりと述べたように、マリアは「聖体に生かされた女性」です。このおとめに祈りましょう。すべてのキリスト信者が聖体の神秘への信仰を深めることができますように。こうして、彼らが絶えずイエスとの交わりのうちに生き、力強くイエスをあかしすることができますように。

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