教皇ベネディクト十六世の2006年7月2日の「お告げの祈り」のことば 第5回世界家庭大会に向けて

教皇ベネディクト十六世は、7月2日(日)の正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。 「お […]

教皇ベネディクト十六世は、7月2日(日)の正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
「お告げの祈り」の前に、教皇は、7月8日(土)から9日(日)の2日間の司牧訪問で参加する、スペイン・バレンシアでの第5回世界家庭大会について述べました。
「お告げの祈り」の後、イタリア語で行われた祝福の中で、教皇は、イラクとパレスチナ地方での治安の悪化を憂慮するとともに、モスクワで7月3日から三日間にわたって行われる宗教指導者会議のために祈りをささげました。
イラクでは、7月1日(土)にバグダッド東部サドルシティーの市場で起きた車の爆発により、少なくとも66人が死亡しました。パレスチナ自治区では、イスラエル軍によるガザ市への攻撃が続いており、2日夜、イスラム原理主義組織ハマスのメンバー3人が死亡しました。
モスクワで開催される宗教指導者会議には、カトリック教会から、教皇庁文化評議会議長のポール・プーパール枢機卿と、キリスト教一致推進評議会議長のヴァルター・カスパー枢機卿、またノボシビルスク東方典礼教区のジョセフ・ベルツ司教が参加します。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 次の土曜日と日曜日に、スペインのバレンシアで第5回世界家庭大会が開催されます。第1回世界家庭大会は、1994年、国連が国際家庭年を行ったのを機に、ローマで開催されました。
 第1回世界家庭大会が開催されたとき、わたしたちの敬愛すべきヨハネ・パウロ二世は、家庭に関する、長い、心のこもった考察を著しました。この考察は世界中の家庭に宛てた書簡の形で書かれました。世界家庭大会は、この大規模な第1回大会に続いて、1997年にリオデジャネイロで、2000年の家庭の聖年にローマで、2003年にマニラで開催されました。ヨハネ・パウロ二世はマニラでの大会に自ら参加できませんでしたが、ビデオによるメッセージを送りました。
 現代の家庭も、ヨハネ・パウロ二世が25年前に使徒的勧告『家庭――愛といのちのきずな』に書いた、記念すべき呼びかけを聞くことが重要です。「家庭よ、本来の姿になりなさい」(『家庭――愛といのちのきずな』17参照)。
 今回バレンシアで開催される大会のテーマは「家庭における信仰の伝達」です。バレンシアへの使徒的訪問のテーマは、この取り組みに従っています。「家庭よ、信仰を生き、また伝えなさい」。
 現代、きわめて多くの共同体が世俗化しています。そこで、キリスト信者にまず緊急に求められているのは、まさに、成人の信仰を刷新することです。それは、大人が新しい世代に信仰を伝えることができるようになるためです。
 他方で、子どもと青少年をキリスト教に導く過程は、両親が教会に戻り、福音のすばらしさと真理をさらに深く考察するための有益な機会となることができます。
 要するに、家庭は生きた有機体であり、その中でさまざまなたまものが互いに分かち合われます。何よりも大事なのは、神のことばを欠かさないことです。神のことばは信仰の炎を生き生きと保たせてくれるからです。入信式の中で特に大事な動作は、代父または代母が大きな復活のろうそくから、ろうそくに火をつけることです。復活のろうそくは復活したキリストの象徴です。それから司式者が次のようにいいます。「この光を守る務めが、両親と代父母の皆さんにゆだねられます。この子がキリストの光に照らされて、いつも光の子として生きることができますように」。
 家庭における信仰の伝達の意味をすべて表す、この動作が本当のものとなるために、それに先立って、またそれに伴って必要なことがあります。それは、両親が信仰についての知識を深め、また、さらなる熱意をもって、祈りを行い、また、ゆるしの秘跡と聖体の秘跡を熱心に受けるように努めることです。
 これから行われるバレンシアでの大会の成功のために、また世界中の家庭のために、おとめマリアに祈りましょう。家庭が真の意味で愛といのちの共同体となり、この共同体の中で世代から世代へと信仰の炎が伝えられますように。

(「お告げの祈り」の後にイタリア語で述べられたことば)

 わたしはイラクと聖地における出来事にますます強い関心をもち続けています。人びとの痛ましい死をもたらした無差別の暴力と、この数日間悲惨の度合いを増している事態の悪化への恐れを前にして、正義と、真剣で信頼に足る平和に対する取り組みが求められています。しかし、残念ながら、こうした努力の存在を感じることができません。
 それゆえわたしは、すべての人が、信頼をもって、粘り強く祈りをささげてくださるようにお願いします。どうか主が人びとの心を照らしてくださいますように。そして、平和的な共存を築く務めを、誰も放棄することがありませんように。どのような民族に属していても、すべての人が兄弟であることを認めることができますように。
 
 7月3日から5日までモスクワで、ロシアの諸宗教評議会の主催による宗教指導者の重要な会議が開かれます。
 モスクワ総主教座の招待により、カトリック教会の代表も会議に参加します。わたしはアレクシー二世とすべての会議参加者の皆様に心からごあいさつ申し上げます。世界のさまざまな宗教の多くの代表者によるこの重要な会議は、文明間の対話と、より公正で平和な世界秩序の探求を促進したいという共通の望みを表しています。
 わたしは、すべての人の真摯な取り組みによって、相互の尊重と理解における現代のさまざまな問題を解決するために、効果的な協力を行う上での場が見いだされることを願っています。キリスト者にとっては、人間の尊厳とその永遠の使命に照らして、相互の認識を深め、互いに評価し合うことが重要です。
 わたしは、神がこの宗教指導者会議の作業を実り豊かなものとしてくださるように祈ることを約束しながら、皆様すべてに天からの豊かな祝福を願い求めます。

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