教皇ベネディクト十六世の2006年7月23日の「お告げの祈り」のことば 中東の平和を祈る日にあたって

教皇ベネディクト十六世は、7月23日(日)正午に、休暇先のヴァッレ・ダオスタ州レ・コーンブで、集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。 […]

教皇ベネディクト十六世は、7月23日(日)正午に、休暇先のヴァッレ・ダオスタ州レ・コーンブで、集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
教皇がことばを述べるのに先立って、ジュゼッペ・アンフォッシ・アオスタ司教が教皇に対してあいさつを述べました。
「お告げの祈り」のことばの中で、教皇は聖ビルジッタ(1303-1373年)のことを思い起こしました。ビルジッタはボニファチオ九世により1391年に列聖され、ヨハネ・パウロ二世により1999年にヨーロッパの守護聖女と宣言されています。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 このような暖かく心のこもった集いを開いてくださったことを皆様に感謝します。ご丁寧なあいさつのことばをくださった、ジュゼッペ・アンフォッシ司教様に感謝いたします。司教様がすでに述べられた通り、中東情勢の悪化を前にして、わたしは先週の木曜日に、今日の日曜日を祈りと悔い改めを行う特別な日とすることを求め、司牧者と信者とすべての宗教者の皆様に対して、平和のたまものを神に祈り求めてくださるようお願いしました。
 わたしは、すべての紛争当事者に対し、即時停戦を行い、人道的支援が行えるようにすることを、あらためて強く呼びかけます。それは、国際社会の助けによって、協議開始のための道を見いだすことができるようになるためです。
 この機会にわたしは、レバノン国民が自国の保全と主権に対する権利を有すること、イスラエル国民が自国内で平和に生活する権利を有すること、またパレスチナの人びとが自由で主権を伴う祖国をもつ権利を有することを、あらためて確認したいと思います。
 さらにわたしは、不当にも被害を受けた、すべての無防備な市民のかたがたのことを特に心にとめます。この人びとは犠牲者以外の何者でもありません。シェルターで生活することを余儀なくされているガリラヤの人びとにも、また、再び自国を破壊され、すべてのものを置いて、別の場所に避難しなければならないレバノンの多くの人びとにも、わたしは心をとめます。
 わたしは神に悲しみの祈りをささげます。どうか、責任のある人びとの一致した取り組みによって、多くの人びとの平和への願いが、一刻も早く実現しますように。わたしはまた、すべての人道支援団体が、被災者に対する共通の連帯を具体的に表すように、あらためて呼びかけます。
 昨日(7月22日)、わたしたちは、マグダラの聖マリアの記念日を祝いました。主の弟子であるマグダラのマリアは、福音書の中でたいへん重要な位置を占めています。聖ルカはマグダラのマリアを、「悪霊を追い出して病気をいやしていただいた」後、イエスに従った何人かの婦人たちの一人に数えています。ルカは彼女が「七つの悪霊を追い出していただいた」と詳しく述べています。
 マグダラのマリアは、イエスの母と他の婦人たちとともに十字架のそばにいました。マグダラのマリアは、安息日の後の週の初めの日の朝、墓が空なのを見いだします。マリアが墓のそばで泣いていると、復活したイエスが彼女に現れます(ヨハネ20・11参照)。
 マグダラのマリアの話はすべての人に、根本的な真理を思い起こさせてくれます。すなわち、マグダラのマリアは、キリストの弟子として、人間的な弱さを経験しながら、謙遜にキリストの助けを求め、キリストによっていやされ、そのもとを離れることなくキリストに従い、キリストのあわれみ深い愛の力をあかししました。このあわれみ深い愛は、罪と死よりも強いからです。
 今日、わたしたちは聖ビルジッタの記念日を祝います。ビルジッタは、ヨハネ・パウロ二世によってヨーロッパの守護聖人と宣言された聖女の一人です。ビルジッタはスウェーデンからイタリアに来て、ローマで生活し、聖地への巡礼を行いました。ビルジッタはそのあかしによって、諸民族と諸文化に開かれた姿勢についてわたしたちに語っています。現代の人類が偉大な平和の空間を築くことができるよう、ビルジッタの助けを願います。特に、ビルジッタが深い愛情と崇敬をささげた、聖地における平和を主が与えてくださいますように。
 わたしは全人類を、神の愛の力に委ねます。またわたしは、すべての人に次のように祈るよう願います。どうか、中東の愛すべき人びとが武力衝突の道を捨て、勇気ある対話によって、公正かつ持続的な平和を築くことができますように。平和の元后であるマリアよ、わたしたちのために祈ってください。

PAGE TOP