教皇ベネディクト十六世の2006年7月30日の「お告げの祈り」のことば 中東の平和を求めて

教皇ベネディクト十六世は、7月30日(日)正午に、夏季滞在先のカステル・ガンドルフォ教皇公邸の窓から、中庭に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイ […]

教皇ベネディクト十六世は、7月30日(日)正午に、夏季滞在先のカステル・ガンドルフォ教皇公邸の窓から、中庭に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
この「お告げの祈り」のことばの中で、教皇はあらためて、戦闘の続く中東地域で平和がすぐに実現することを祈りました。
イスラエルとレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラが7月12日に戦闘を始めてから30日で19日が経過し、レバノン人の死者は750人以上にのぼっています。なお、7月30日、イスラエルは、レバノン南部カナのビルへの空爆で子ども37人を含む57人以上が死亡したことを受けて、48時間空爆を中断し、空爆の調査を行うことに合意しました。
教皇は7月28日(金)に、休暇を過ごしていたヴァッレ・ダオスタ州レ・コーンブからカステル・ガンドルフォに移りました。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 二日前、わたしはヴァッレ・ダオスタ滞在を終えて、直接このカステル・ガンドルフォに来ました。わたしはここに夏の終わりまでとどまるつもりです。ただし、9月にバイエルンへの使徒的訪問を行うため短期間不在にします。まずわたしは、この美しい町の教会共同体と住民の皆様に心からごあいさつ申し上げたいと思います。わたしはこの町に来られるのをいつもたいへんうれしく思っているからです。
 アルバノの司教、小教区と司祭の皆様、また、市長と市役所、その他の行政当局者の皆様にも心より感謝申し上げます。わたしは特に、教皇公邸の管理局と職員、また警察の皆様のことを思います。皆様の貴重な奉仕に感謝しています。
 さらに、熱心にお集まりくださった、多くの巡礼者の皆様にごあいさつ申し上げます。――これ以上熱心に集まっていただくことはできません。――皆様は、この夏の公邸のきわめて家庭的な雰囲気においても、このマリアへの祈りが、普遍教会の広がりの中で行われていることをはっきりと表してくださるからです。
 この時においてわたしは、中東で続いている、これまでにもまして深刻かつ悲惨な状況のことを考えずにはいられません。何百人という死者、多くの負傷者、膨大な数の罹災者と避難民。破壊された家と町と生活関連施設。多くの人の心の中では、憎しみと復讐への望みが強まっているように思われます。
 これらのことは、暴力という手段に訴える限り、正義を回復し、新たな秩序を築き、真の平和を作ることができないことを、はっきりと示しています。
 わたしたちは、これまでにもまして、教会の声がどれほど預言的であり、かつまた現実的であるかを理解します。教会は、あらゆる戦争と紛争を前にして、真理と正義と愛と自由の道を指し示しているからです。福者教皇ヨハネ二十三世の不滅の回勅『地上の平和』で述べられた通りです。人類は今日も、真の平和への心からの望みを実現するために、この道を歩まなければなりません。
 神の名において、わたしは、この暴力の連鎖を引き起こしたすべての人びとに呼びかけます。どうか双方が、すぐに武器を置いてくださいますように。わたしは政治指導者と国際機関にお願いします。必要とされる停戦をもたらし、そこから、対話を通して、中東のすべての人びとにとっての永続的で安定した共存を実現するために、けっして努力を惜しまないでください。
 わたしはすべての善意の人びとに呼びかけます。大きな試練と困窮のうちにある人びとへの人道支援の送付を、継続し、また増強してください。何よりもわたしは、すべての人が、いつくしみと憐れみに満ちた神に信頼をもって祈ってくださることをお願いします。どうか神が、中東地域と全世界に、ご自身の平和を与えてくださいますように。
 この悲しみに満ちた願いを、マリアのとりなしに委ねたいと思います。マリアは平和の君の母であり、平和の元后として、中東の国々でもあがめられているからです。主イエスは和解のためにその尊い血をささげられました。わたしたちは中東において、この和解がすぐにゆきわたることを希望しています。

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