教皇ベネディクト十六世の2006年10月1日の「お告げの祈り」のことば ロザリオ月と宣教の月である10月の初めにあたって

教皇ベネディクト十六世は、10月1日(日)正午に、夏季滞在先のカステル・ガンドルフォ教皇公邸の窓から、中庭に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイ […]

教皇ベネディクト十六世は、10月1日(日)正午に、夏季滞在先のカステル・ガンドルフォ教皇公邸の窓から、中庭に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
「お告げの祈り」の後、教皇は、イラクの平和のために、イタリア語で次のように述べました。「昨日、エマヌエル三世デリー・カルデアのバビロン総大司教と会見できたことをうれしく思います。総大司教は、愛すべきイラクの人びとが日々直面しなければならない悲惨な現実についてわたしに話してくださいました。イラクでは、14世紀にわたり、キリスト教徒とイスラーム教徒が、同じ土地の子らとして共生してきました。わたしは、両者の間で、この友愛のきずなが弱まることのないことを願います。わたしはまた、わたしの霊的な連帯の心をこめて、この殉教の地に平和と和解のたまものを与えてくれることを、わたしとともに全能の神に祈り求めてくださるよう、皆様にお願いします」。
教皇は2か月間滞在したカステル・ガンドルフォから、今週始めにバチカンに移ります。教皇は終わりに、イタリア語で、次のあいさつを行いました。「今日はわたしがカステル・ガンドルフォで夏季滞在を行う最後の日曜日です。アルバノの司教、市長、小教区の司祭、そしてこの美しい町に住む親愛なるすべての住民の皆様。わたしは、心からの『またお会いしましょう』ということばをもって、あらためて愛情をこめてごあいさつ申し上げます。皆様、どうかよい日曜日をお過ごしください」。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 今日の10月の最初の日曜日にあたり、わたしは、教会共同体の中で10月を特徴づける二つの側面について考えてみたいと思います。すなわち、ロザリオの祈りと、宣教への取り組みです。
 次の土曜日の10月7日に、わたしたちはロザリオの聖母の記念日を祝います。あたかも、聖母は毎年、このきわめて単純でありながら深みのある祈りのすばらしさを再発見するように、わたしたちを招いているかのようです。
 わたしたちの敬愛すべき教皇ヨハネ・パウロ二世は、偉大なロザリオの使徒でした。わたしたちは、教皇がロザリオを手にしてひざまずきながら、キリストの観想に専心していた姿を思い起こします。教皇自身、使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』によって、わたしたちにもそうするように招きました。
 ロザリオは、観想的で、キリストを中心とした祈りであるとともに、聖書の黙想と切り離すことができないものです。それは、マリアを先導者としながら、イエスに従って、信仰の旅路を進む、キリスト信者の祈りです。親愛なる兄弟姉妹の皆様。わたしは皆様が、教皇の意向のために、すなわち、教会の宣教と、世界の平和のために、今月、家族でも、共同体でも、また小教区でも、ロザリオを祈ってくださるようお願いします。
 10月は宣教の月でもあります。10月22日は世界宣教の日です。教会は、本来の性格として、宣教するものです。「父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなたがたを遣わす」(ヨハネ20・21)。復活した主は、二階の広間で使徒たちにこういわれました。
 教会の宣教は、キリストの宣教の延長です。それは、すべての人に神の愛をもたらし、ことばと具体的なあかしをもって、愛を告げ知らせることです。今年の世界宣教の日のメッセージの中で、わたしは愛をまさに「宣教の心」として示そうと望みました。
 異邦人の使徒である聖パウロはこう述べています。「キリストの愛がわたしたちを駆り立てている」(二コリント5・14)。すべてのキリスト信者がこのことばを自分のものとすることができますように。彼らが、摂理が自分を置いた地で、愛の宣教者となる喜びを味わい、謙遜と勇気をもって、何の下心もなく隣人に奉仕し、祈りのうちに、喜びと熱心さに満ちた愛の力を得ることができますように(教皇ベネディクト十六世回勅『神は愛』32-39参照)。
 聖フランシスコ・ザビエルとともに、幼いイエスの聖テレジアは、全世界の宣教者の守護聖人です。テレジアはカルメル会のおとめで、教会博士です。わたしたちは今日、彼女を記念します。テレジアは、神の愛に信頼をもって身を委ねる、聖性への「単純な」道を示しました。テレジアの助けによって、わたしたちが愛の福音の信頼の置けるあかしとなることができますように。ロザリオのおとめにして、宣教者の元后である、至聖なるマリアが、わたしたちすべてを救い主キリストへと導いてくださいますように。

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