教皇ベネディクト十六世の2007年5月20日の「アレルヤの祈り」のことば 世界広報の日にあたって

教皇ベネディクト十六世は、5月20日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「アレルヤの祈り」(復活祭から聖霊降臨の主日まで「お告げの祈り」の代わりに唱えられる祈り)を行いました。以下は […]

教皇ベネディクト十六世は、5月20日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「アレルヤの祈り」(復活祭から聖霊降臨の主日まで「お告げの祈り」の代わりに唱えられる祈り)を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
教皇は5月9日(水)から14日(火)まで行われたブラジル司牧訪問を無事終えました。
5月20日は、主の昇天の祭日に合わせて、「世界広報の日」が行われました。なお、主の昇天の祭日は、バチカンでは5月17日(木)に祝われました。日本のカトリック教会では、「世界広報の日」を復活節第6主日(今年は5月13日)に行っています。

「アレルヤの祈り」を唱えた後、教皇はイタリア語で、最近のパレスチナ情勢に関して次の呼びかけを行いました。
「ガザ地区での党派間の衝突と、イスラエルの都市近郊の住民へのロケット攻撃、そしてそこから引き起こされた武力攻撃による報復は、流血の事態の悪化と恐怖を招いています。
 わたしはあらためて神の名によって、この悲惨な暴力が中止されることを求めます。そして、苦しみの内にあるパレスチナとイスラエルの人びとと連帯し、彼らを祈りの中で心にとめることを約束したいと思います。
 わたしはパレスチナのあらゆる政治家の責任感に訴えます。どうか対話と堅固な精神によって、合意による暴力の中止に向けた困難な道を歩んでください。わたしはイスラエル政府の自制を促すとともに、国際社会が交渉再開のためにいっそう努力することを促します。主が平和を実現する人びとを生み、支えてくださいますように」。
パレスチナ解放機構(PLO)主流派のファタハとパレスチナ自治区ガザのイスラム原理主義組織ハマスとの間では衝突が続き、19日(土)には5度目の停戦合意が行われたものの、これまでの1週間で少なくとも50人が死亡しています。また、ハマスによるイスラエルへのロケット攻撃に対する報復として、イスラエルが17日(木)から行ったガザへの空爆で20日までに20人以上の死者が出ています。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 何よりもまずわたしは、去る5月9日から14日まで行ったブラジルへの使徒的訪問についてあらためて主に感謝したいと思います。同時にわたしは、祈りによってわたしとともに歩んでくださった多くの人びとに感謝します。ご存知の通り、わたしの司牧訪問の目的は、第5回ラテンアメリカ・カリブ司教協議会総会の開会を行うことでした。しかし、この教会の大きな行事の前に、わたしはブラジルのカトリック共同体との集会を行いました。実際、多くの信者が、特にブラジル出身の最初の福者の列聖のために、サンパウロ市に集まりました。すなわち、福者フレイ・アントニオ・ディ・サンタンナ・ガルヴァンです。わたしはこの司牧訪問について水曜日の一般謁見で詳しくお話ししたいと思います。いずれにせよわたしは、アパレシーダで行われている司教協議会総会のため、また、ラテンアメリカで暮らす神の民の旅路のために祈り続けてくださるよう皆様にお願いします。
 今日はもう一つ、考察し祈らなければならないことがあります。すなわち、毎年恒例の「世界広報の日」です。今年の「世界広報の日」のテーマは「子どもとメディア――教育における課題」です。現代世界の教育の課題はしばしばマス・メディアの影響と関連しています。マス・メディアは学校、教会、さらに家庭と競合しているからです。こうした状況の中で、メディアを正しく用いるための適切な教育が何よりも大切です。両親、教師、教会共同体は協力して、メディアを選び、批判的な態度を養い、美的・道徳的に有益なものを感じることのできる力を培えるように、子どもと青少年を教育するよう求められています。しかし、メディアもこの教育の課題のために役立てなければなりません。すなわち、メディアは人間の人格の尊厳、結婚と家庭、文明の進歩と目的を推進します。暴力や反社会的行動を促したり、人間の性をおとしめたりする番組を受け入れることはできません。ましてそれが若者に提供される場合はなおさらのことです。それゆえわたしはあらためてメディア産業の責任者やマス・メディアで働く人びとに呼びかけます。どうか共通善を保証し、真理を尊重し、人格と家庭の尊厳を保護してください。
 親愛なる兄弟姉妹の皆様。典礼は主の昇天の祭日を先週の木曜日に記念しましたが、ある地域ではそれを今日祝います。復活したイエスは父のもとに帰られました。こうしてイエスはわたしたちに永遠のいのちへの道を開き、聖霊のたまものが与えられるようにしてくださいます。わたしたちも使徒たちと同じように、主の昇天の後、祈るために集まり、おとめマリアと心を合わせて、聖霊が注がれるのを願い求めます(使徒言行録1・12-14参照)。マリアの執り成しによって、全教会に新たな聖霊降臨が行われますように。

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