NICE-1から20周年 ― パウロ年と列福式を迎えて ―

第1回『福音宣教推進全国会議』開催20周年に際して 2008年の定例司教総会において、福音宣教推進全国会議20周年にあたっての振り返りに関する報告があり、その中でNICE「振り返り」担当司教三名が『NICE-1から20周 […]

第1回『福音宣教推進全国会議』開催20周年に際して

2008年の定例司教総会において、福音宣教推進全国会議20周年にあたっての振り返りに関する報告があり、その中でNICE「振り返り」担当司教三名が『NICE-1から20周年~パウロ年と列福式を迎えて~』というメッセージを2008年6月1日に以下のように発表しました。

NICE-1から20周年 
―― パウロ年と列福式を迎えて ――

NICE「振り返り」担当司教
岡田武夫大司教
池長 潤大司教
髙見三明大司教

親愛なる兄弟姉妹の皆様

 第二バチカン公会議の精神を受けとめ、さらには前教皇ヨハネ・パウロ二世の来日に鼓舞された日本カトリック司教団は、1984年に『日本の教会の基本方針と優先課題』を発表しました。そして、全国の司祭・修道者・信徒に呼びかけ、3年間の準備を経て、1987年に第1回福音宣教推進全国会議(NICE-1)「開かれた教会づくり」を、その6年後の1993年に第2回福音宣教推進全国会議(NICE-2)「家庭の現実から福音宣教のあり方を探る」を開催しました。しかしその評価と反省が十分になされないまま、20年の年月が流れました。今回「振り返り」を行うに際して、「今さら?」という声もありますが、「過去をふり返ることは、将来に対する責任を担うことです」(広島「平和アピール」)という前教皇のことばに力づけられて、司教団はNICEを振り返ることの重要性を認識いたしました。

 まず取り組んだことはその評価のために、司教団としての振り返りを呼びかけ、作業を行ったことです。手始めに日本カトリック司教協議会の諸委員会がNICE-1の「ともに喜びをもって生きよう」を受けて取り組んだ結果について、2007年度臨時司教総会(2008年2月開催)において報告し、とりわけ社会とともに歩む教会の姿が社会司教委員会を中心に顕著に現れていることが確認されました。
さらに、各教区、男女修道会・宣教会のご理解と協力を得て、NICEの反響、問題、課題について、また、現在「ともに喜びをもって生きよう」の精神がどのように生きているか、アンケート調査を行いました。NICEに直接関わったことのない方々も含めて、多くの方々がご回答をお寄せくださったことを、心より御礼申し上げます。

  さて、回答から浮かび上がったこととして、全体的にNICEは全国の教会、教区、修道会、学校、施設などにかなりの影響を与えたことが認められます。「聞き、吸い上げ、活かす」のスローガンのもと、司教・司祭・信徒・修道者が一堂に会して、これからの福音化について、率直で熱心な意見の交換を行うことができたのは、画期的なことでした。ただ、多くのところでこの熱意は持続せず、やがて失速し、中途半端な結果に終わってしまったことは素直に反省しなければなりません。16教区の中での影響と成果には、かなり隔たりとばらつきが見られました。NICEの方向性と精神、そして取り組みと展開の方法について、十分な理解と一致があったのか、問われています。

 NICE-1、NICE-2の提案はそれぞれ意味のある大切な課題でした。しかし、それを実行に移すには、日本の教会が十分準備されておらず、あまりにも多くの提案があったため、その取り組み方に無理があったことも否めません。NICE-1とNICE-2の関係、整合性がよく理解されなかったのも、NICEを曖昧にした原因だと思われます。

 NICE-1から20年が過ぎました。司教団が掲げた「ともに喜びをもって生きよう」と「分かち合い」の勧めは確実に浸透しつつあります。とくに近年、聖書の分かち合いが各地で頻繁に行われるようになってきたことは喜ばしいことです。また、外国籍信徒の増加がめざましく、信徒総数の50%を超えると思われ、韓国やフィリピンなど、アジアの人々との連帯も進んできました。他方、以前にも増して、多くの人が心身の重荷に苦しみ、福音に飢え渇いています。現代の荒れ野とも言うべき、厳しい社会・家庭環境において人々が悩み、苦しんでいる今、わたしたちは「神であるにもかかわらず兄弟の一人となられたキリストにならい、全ての人に開かれ、全ての人の憩い、力、希望となる信仰共同体を育てるよう努めたい」(「第1回福音宣教推進全国会議 参加者一同の宣言」参照)との決意を新たにし、それを未来につないでいきたいと思います。

 教皇ベネディクト十六世は2008年6月28日より2009年6月29日を「パウロ年」と制定されました。とくに、この一年、聖パウロに学びながら、これからの日本の福音宣教に尽したいと思います。また2008年11月24日には、ペトロ岐部と187殉教者の列福式を迎えます。400年前の殉教者の立派な信仰にならいつつ、現代の日本社会で福音の証しを立てることができるよう、聖霊の助けを祈り、聖パウロと日本の殉教者たちの取りなしを願い、皆さんと歩みをともにしていきたいと熱望しています。

 パウロ年を迎えるにあたり、ペトロ岐部と187殉教者の取り次ぎを願いながら。

2008年6月3日

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