教皇ベネディクト十六世の2008年7月20日の「お告げの祈り」のことば マリアの生涯

教皇ベネディクト十六世は2008年7月20日(日)、オーストラリア・シドニーのランドウィック競馬場でささげた第23回ワールドユースデー・シドニー大会閉会ミサの終わりに、35万人の青年とともに「お告げの祈り」を行いました。 […]

教皇ベネディクト十六世は2008年7月20日(日)、オーストラリア・シドニーのランドウィック競馬場でささげた第23回ワールドユースデー・シドニー大会閉会ミサの終わりに、35万人の青年とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前後に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文は英語)。
このことばの中で、教皇は、2011年に開催される次回第24回ワールドユースデー国際大会を、スペインのマドリードで開催することを正式に発表しました。


親愛なる友人である若者の皆様。
  これから唱える美しい祈りの中で、わたしたちはマリアのことを考えます。若い女性であるマリアは、きわめて特別な形で主に自分の生涯をささげるようにという主の呼びかけを受けました。それは、女性として、母として、自分を寛大にささげることを含むものでした。マリアがどのように感じたかを想像してください。マリアは恐れに満たされ、自分の前途についてまったく途方にくれました。
  天使はマリアが不安を抱いたことがわかり、すぐに彼女を安心させようとしました。「マリア、恐れるな。・・・・聖霊があなたに降り、いと高きかたの力があなたを包む」(ルカ1・30、35)。主の招きにこたえる力と勇気をマリアに与えたのは、聖霊でした。自分を通じて実現される偉大な神秘を理解できるようにマリアを助けたのは、聖霊でした。マリアを愛で包み、胎内に神の子を宿らせたのは、聖霊でした。
  おそらくこの情景は、神と神の民の関係の歴史においてもっとも重要な瞬間です。旧約の中で、神はご自分を部分的に、少しずつ示しました。わたしたちが皆、自分の人間関係の中で行うのと同じようにです。選ばれた民が自分たちの神との関係を深めるのには時間がかかりました。イスラエルとの契約は、いわば求婚の時期、すなわち長い婚約のようなものでした。それから、決定的な瞬間である、結婚の時、新しい永遠の契約を結ぶ時が訪れました。主の前に立ったマリアは、人類全体を代表しました。天使の告げたことばの中で、あたかも神は人類に結婚を申し込んだかのようです。そして、マリアはわたしたちを代表して、「はい」とこたえました。
  おとぎ話なら、物語はそこで終わります。そして、皆は「いつまでも幸せに暮らします」。現実の人生は、それほど単純ではありません。マリアが主に「はい」とこたえた結果を生き抜くには、多くの苦難が待ち受けていました。シメオンは、剣がマリアの心を刺し貫くだろうと預言しました。イエスが12歳のとき、マリアはあらゆる親にとって最悪の出来事を経験しました。子どもが三日間、行方不明となったからです。イエスの公生活が始まると、マリアはイエスが十字架にかけられて死ぬのを目にする苦しみを味わいました。マリアはどんな試練の中でも、聖霊の力に支えられながら、自分の約束を忠実に守り抜きました。こうしてマリアは栄光のうちに報いを受けました。
  親愛なる若者の皆様。わたしたちも主の友愛への呼びかけに対してこたえた「はい」ということばに忠実であり続けなければなりません。わたしたちは、主がけっしてわたしたちを見捨てることがないことを知っています。わたしたちは、主が聖霊のたまものによってわたしたちをいつも支えてくださることを知っています。マリアはわたしたちを代表して主の「プロポーズ」を受け入れました。ですから、マリアに向かって願い求めようではありませんか。どうか、いのちを与えるために神がわたしたち一人ひとりと結んでくださった関係を忠実に守ろうと努めるわたしたちを導いてください。マリアはわたしたちの模範であり、力です。マリアは御子とともに、わたしたちのために執り成してくださいます。そして、母としての愛をもってわたしたちを危難から守ってくださいます。

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親愛なる友人の皆様。
  「さようなら」、あるいはむしろ、「またお会いしましょう」というべき時が来ました。このシドニーで、ワールドユースデー2008に参加してくださった皆様に感謝します。そして、3年後にまた皆様とお会いできるのを楽しみにしています。ワールドユースデー2011はスペインのマドリードで開催されます。それまで、互いに祈り合い続けましょう。喜びをもって、世にキリストをあかしし続けましょう。神が皆様を祝福してくださいますように。

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