世界代表司教会議(シノドス)第12回通常総会開催概要

世界代表司教会議(シノドス)第12回通常総会が、10月5日(日)から26日(日)まで開催されます。総会は10月5日午前9時30分からサン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ大聖堂で行われた、教皇ベネディクト十六世司式の開会ミサを […]

世界代表司教会議(シノドス)第12回通常総会が、10月5日(日)から26日(日)まで開催されます。総会は10月5日午前9時30分からサン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ大聖堂で行われた、教皇ベネディクト十六世司式の開会ミサをもって始まりました。
世界代表司教会議開催に先立って、シノドス事務総局のニコラ・エテロヴィッチ事務総長は、10月3日(金)、今回のシノドスの開催概要を発表しました。以下はその全文の翻訳です(原文はイタリア語)。


  「むしろ、幸いなのは神のことばを聞き、それを守る人である」(ルカ11・28)。イエス・キリストはこのように女にこたえました。女はイエスが権威をもって行った(ルカ4・32参照)奇跡と、その教えに驚き、自慢すべき息子をもったその母をたたえようと望みました。しかし主はこう宣言します。幸いなのは、神のことばを聞き、それを守る人である。神のことばを聞くとは、告げ知らされたことを理解し、黙想して、このことばが具体的な生活の一部となるようにすることです。別のときに、主イエスは、あらゆる誤解を避けるために、はっきりとこういわれました。「わたしの母、わたしの兄弟とは、神のことばを聞いて行う人たちのことである」(ルカ8・21)。
  それゆえ、イエス・キリストの家族、すなわち教会の一員となるためには、神のことばを聞いて、それを実行しなければなりません。ところで、神のことばとはイエスご自身です。イエスは肉となった永遠のみことばであり(ヨハネ1・14参照)、永遠のいのちのことばをもっておられるからです(ヨハネ6・68参照)。イエス・キリストの神秘を理解するには、聖書を知らなければなりません。すなわち、イエスの到来を準備した旧約聖書と、新約聖書、とくに4福音書です。4福音書はイエスの生涯を語り、過越の神秘を述べ――主イエスはこの過越の神秘によって世を救いました――、イエスが創立した教会の始まりを物語るからです。
  教皇ベネディクト十六世の招集により、シノドス参加司教は2008年10月5日から26日までローマで開催される世界代表司教会議(シノドス)第12回通常総会に集まります。それは、神のことばと、教会生活において神のことばがもつ中心的な意味と、神のことばがキリスト者を宣教へと促す力を考察するためです。キリスト者は、ことばと生活の模範をもって、復活した主イエスがわたしたちのただ中におられるという福音を告げ知らせます。御父から遣わされたイエスは「神のことばを話される。神が〝霊〟を限りなくお与えになるからである」(ヨハネ3・34)。聖霊の恵みによって、信じる者はイエスが教会の中に、祈りの中に、みことばの祭儀の中に、そして特別なしかたで聖体の中におられるのを見いだすことができます。
  教皇ベネディクト十六世が司式する感謝の祭儀は、重要な機会においてシノドスに同伴します。シノドスの主宰者である教皇は、4回の感謝の祭儀を司式します。シノドスの開会式は、10月5日にサン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ大聖堂で行われます。シノドスがサンピエトロ大聖堂以外の場所で開会されるのは初めてのことです。この理由ははっきりしています。シノドス第12回通常総会は教皇が2008年6月29日に開始したパウロ年の期間中に行われるからです。シノドス閉会式は10月26日にサンピエトロ大聖堂で行われます。同じ枠組の中で2回の感謝の祭儀が行われます。10月12日、4名の福者が列聖されます。この4名は神のことばを聞いて、実行する上で優れていたからです。すなわち、司祭ガエタノ・エリコ(1791-1860年)、2名の修道女の、マリア・ベルナルダ・ビュトラー (1848-1924年)と無原罪の御宿りのアルフォンサ(1910-1946年)、信徒のナルキサ・ディ・ヘス・マルティッヨ・モラン(1832-1869年)です。これは、神のことばによって聖霊に導かれながら、大変ではあるけれども心をかきたてる、至福と聖性の道を歩みなさいという、シノドス参加司教と信者を含めたすべての人に対する招きです。10月9日、ローマ司教は神のしもべピオ十二世(1876-1958年、在位1939-没年)の50回目の命日祭を記念するミサを司式します。ピオ十二世は何よりも聖書研究に対する関心の刷新に貢献しました。10月19日に、ポンペイの聖なるロザリオの聖母の教皇巡礼所でささげられるミサも、教皇がシノドス参加司教のためにおとめマリアの執り成しを祈る機会となります。それは、司教たちが、神のことばを聞き、これに仕え、これを心に納めて黙想した、イエス・キリストの弟子であるかたの模範に従うことができるためです(ルカ2・19参照)。
  恒例のように予定されている24回の全体会議は、祈りに始まり、祈りで終わります。とくに午前の会議では3時課の典礼と、シノドス参加司教による短い説教が行われます。
  2008年10月18日(土)のエキュメニカル集会でも祈りが行われます。教皇ベネディクト十六世と世界総主教バルトロマイ一世は年間第29主日の前晩の祈りを司式します。続いて二人は、とくにパウロ年との関連において、神のことばというテーマについて講話を行います。世界総主教がシノドス参加司教に講話を行うのは初めてです。世界総主教は、異邦人への使徒がローマに来て殉教する前に創立した部分教会を代表してあいさつを行います。ローマ司教である教皇ベネディクト十六世も、世界総主教を歓迎しながら、聖パウロがローマで行った宣教の重要性を示します。ローマは、ペトロとパウロという教会の二つの柱の亡骸と、二人が伝えた豊かな使徒伝承を大切に誇りをもって守ります。
  祈りと、神のことばに敬虔に耳を傾けるこのような雰囲気の中で、第12回通常総会は行われます。13の自主権を有するカトリック東方教会、113の司教協議会、25の教皇庁省庁、修道会宣教会総長連盟を代表する253名のシノドス参加司教が会議に参加します。
  253名のシノドス参加司教の内訳は、アフリカから51名、アメリカから62名、アジアから41名、ヨーロッパから90名、オセアニアから9名です。シノドス参加司教はさまざまな資格で通常総会に参加します。173名は選出された参加者、38名は職務上の参加者、32名は教皇の任命による参加者、10名は修道会宣教会総長連盟によって選出された参加者です。それゆえシノドス参加司教の72.3%が選出された参加者、15%が職務上の参加者、12.6%が教皇の任命による参加者です。253名のうち総大司教8名、枢機卿52名(いくつかの分類は重複して数えられます。なぜなら、たとえば、枢機卿は4名の総大司教と1名の〔東方カトリック教会の〕上級大司教を含むためです)、上級大司教2名、大司教79名、司教130名です。職務上の参加者は、自主権を有する東方教会の長10名、司教協議会会長30名、ローマ教皇庁省庁代表24名、裁治権者185名、補佐司教17名です。
  シノドス参加司教の最高齢は88歳(マロン典礼教会の総主教ピエール・ナスララー・スフェイル枢機卿)、最年少は39歳(オーストリア・ザンクト・ペルテン補佐司教のアントン・ライヒトフリート師)です。それゆえシノドスの考察は、高齢の兄弟の経験と若い兄弟の力に支えられます。ちなみにシノドス参加司教の平均年齢は約63歳です。
  21か国の専門家41名、26か国のオブザーバー37名もシノドス総会に参加します。専門家のうち6名は女性です。またオブザーバーのうち19名は女性で、男性より1名多くなっています。
  10の教会・教会共同体を代表する友好使節もシノドス総会に参加します。これらの友好使節はカトリック信者ととともに聖書を愛し礼拝するからです。(コンスタンチノープルの)世界総主教のほか、モスクワ、セルビア、ルーマニアの総主教、ギリシア正教会とアルメニア使徒教会、聖公会、ルーテル世界連盟、ディサイプルズ教会、世界教会協議会が参加します。
  教皇ベネディクト十六世が招いた4名の特別招待者も参加します。一人はハイファ首席ラビのシェアル・ヤシュヴ・コーヘン師です。コーヘン師は10月6日午後、ユダヤ人が聖書――律法と預言者と知恵の書――をどう読み、解釈しているかについて発表します。これらの聖書の大部分は、旧約聖書と名づけられて、キリスト教徒が共有しているからです。ラビ、また非キリスト者がシノドス参加司教に演説を行うのは初めてのことです。次にイエズス会のアルベール・ヴァンホイエ枢機卿が、キリスト教徒によるユダヤ教の聖書の扱い方について発表します。そして、2001年の教皇庁聖書委員会文書『キリスト教徒の聖書におけるユダヤの民とその聖書』の規定を説明します。
  もう二人の特別招待者は聖書協会世界連盟の事務総長のミラー・ミロイ博士と、テゼ共同体のブラザー・アロイスです。
  報道関係者に対しては5名の広報担当者からフランス語、英語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語でシノドスの議事について定期的に発表が行われます。もちろん他の記者会見も行われます。
  シノドスの議論はアシスタント、通訳、技術担当者、そしてとくにシノドス事務総局によって可能となります。総計400名がシノドスに参加することになります。
  シノドス第12回通常総会では、2006年に改訂された『シノドス規則』が始めて実施されます。改訂された『シノドス規則』は、40年間の経験を積んだシノドスの方法の発展を反映させて、それを法的規則に表そうとしたものです。もちろんこの改訂は1983年に公布された教会法と1990年に公布された東方教会法の規則を適用したものです。
  変更点の詳細を説明するには長い時間が必要ですが、とくに教会制度の発展に関して法律の専門家が関心をおもちと思われます。この点については『規則』序文を注意深く読むのが有益です。序文は40年にわたるシノドスの方法が証明した、シノドスの神学的・法的側面を簡潔に述べます。ここでは以下の点を強調すれば十分だと思われます。
  総書記と特別秘書の役割が明確化されました。今回の総書記はカナダ・ケベック大司教のマルク・ウーレット枢機卿です。カナダの司教が総書記を務めるのは今回が初めてです。
  特別秘書はコンゴ民主共和国のキンシャサ大司教ローラン・モンセンゴ・パシンヤ師です。モンセンゴ師はアフリカの司教として初めてシノドス通常総会の特別秘書を務めます。モンセンゴ師は、最近亡くなったボルツァーノ=ブレッサノーネ司教ヴィルヘルム・エミール・エッガー師の代わりに特別秘書となりました。
  上記の改訂『規則』で、自主権を有するカトリック東方教会の位置づけが明確になりました。自主権を有するカトリック東方教会は、それぞれの教会の長、もしくは、長がシノドス総会に参加できない場合は、自主権を有するカトリック東方教会の司教会議の合意によって長から選ばれた代理者が代表として参加します。さらに、25名以上の司教のいるカトリック東方教会はシノドス総会のためにもう一人の代表者を選ぶことができます。それゆえ、今回初めて、カトリック東方教会は3種類の代表者を参加させることになります。職務上の代表者、指名による代表者、そして選挙による代表者です。
  シノドスの規定により、シノドス参加司教の文書による発表以外に、いわゆる自由討議が行われます。自由討議はすべての午後の全体会議の午後6時から7時まで行われます。さらに、シノドス参加司教に正式な発表の時間を5分しか与えないことによって、たとえば、基調講演、中間報告、最終メッセージの発表の後に行う、シノドス中の自由討議の時間が長くなりました。
  5つの10分間の報告の後にも自由討議の時間が設けられます。この5つの報告の中では、5名の司教が、神のことばというテーマが五大陸でどのように受け取られたかを発表します。これは今回のシノドスの方法のもう一つの新しい点です。10月6日に予定されるこの報告によって、各大陸の部分教会の状況に関する正確な情報を知ることができます。
  教皇ベネディクト十六世による最初のシノドス後の使徒的勧告『愛の秘跡』の受容に関する約30分間の報告も予定されています。報告者は、総書記を務めるヴェネツィア総大司教のアンジェロ・スコラ枢機卿です。報告の後、このテーマに関する自由討議が行われます。
  「教会生活と宣教における神のことば」をテーマとした世界代表司教会議第12回通常総会のいくつかの側面を示しました。わたしはすべてのかた、とくに奉献生活者に、シノドスの成果が神のことばへの新たな愛を生み出すことができるよう、熱心に、また粘り強く祈ってくださるようお願いします。この愛は、聖書のうちに、確かなあかしと、未来に向けた教会の力と、福音宣教と人間性の推進という教会の使命とを見いだすからです。
  終わりに、聖書の最後の書から引用したいと思います。それは、イエス・キリストを愛し、父である神から遣わされ、聖霊に導かれながら、諸聖人の交わりのうちに天の国に向けて歩む人々に、永遠のいのちへの希望を開きます。「この預言のことばを朗読する人と、これを聞いて、中に記されたことを守る人たちとは幸いである。時が迫っているからである」(黙示録1・3)。

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