世界代表司教会議(シノドス)第13回通常総会開催概要

世界代表司教会議(シノドス)第13回通常総会が、10月7日(日)から28日(日)まで開催されます。総会は10月7日午前9時30分からサンピエトロ広場で行われた、教皇ベネディクト十六世司式の開会ミサをもって始まりました。 […]

世界代表司教会議(シノドス)第13回通常総会が、10月7日(日)から28日(日)まで開催されます。総会は10月7日午前9時30分からサンピエトロ広場で行われた、教皇ベネディクト十六世司式の開会ミサをもって始まりました。
世界代表司教会議開催に先立って、シノドス事務総局のニコラ・エテロヴィッチ事務総長は、10月5日(金)、今回のシノドスの開催概要を発表しました。以下はその全文の翻訳です(原文イタリア語)。

はじめに

 「全世界に行って、すべての造られたものに福音をのべ伝えなさい」(マルコ16・15)。マルコによる福音書の結びに置かれた、この復活した主イエスのことばをもって、教会の宣教の時代は開始します。教会は、福音を告げ知らせるため、つねにどこにおいてもすべての善意の人に福音を知らせるために存在します。この命令は変わることがありません。福音の受け手と、彼らが生きる社会的、文化的、宗教的状況が変わっても、イエス・キリストとその福音が「きのうも今日も、また永遠に」(ヘブライ13・8)変わることがないのと同じです。罪と死に打ち勝った栄光の主の述べた宣教命令は、これから開催される世界代表司教会議(シノドス)第13回通常総会の活動の特徴でもあります。イエスのことばは、「新しい福音宣教の時代」というタイトルがつけられた、『討議要綱』の第2章の考察をも導きました。ご承知のとおり、シノドスは2012年10月7日から28日まで、「キリスト教信仰を伝えるための新しい福音宣教」をテーマとして開催されます。ところで、シノドスの議論の二つの側面を結びつけることが重要です。実際、このことが、新しい福音宣教の目的が、信仰の伝達であることを示します。他方で、現代、さまざまな障害に直面している信仰の伝達の過程は、新しい福音宣教という目的に向けて遂行されます。
 シノドスの準備と展開は複雑で骨の折れる過程です。それは、シノドスの開催と、とくに多くのシノドス参加者との協力の上で、シノドス事務総局の多くの仕事を要求します。一般的にいえば、この過程では相互に関連する3つの側面が区別できます。(1)霊的な次元、(2)神学的・司牧的考察、そして(3)技術的な開催準備です。

一 霊的次元

 シノドスの活動のすべてに伴い、これを生かすのは祈りです。いずれにせよ、キリスト信者は、主イエスの模範に従って、絶えず祈るよう招かれています(一テサロニケ5・17)。さらに、シノドスの主宰者であるローマ司教を囲んで集まった、全世界の司教団を代表する司教の集会は、祈りの雰囲気なしに進むことがありえません。シノドス準備に伴い、また2012年10月4日の教皇ベネディクト十六世のロレート巡礼で象徴される祈りは、シノドスの議論の中で第一の場を占めます。とくに教皇は4回の典礼を司式します。シノドス第13回通常総会は10月7日の荘厳な感謝の祭儀をもって開始します。このミサの中で、教皇は二人の教会博士の宣言を行います。アビラの聖ヨハネ(1499/1500-1569年)とビンゲンの聖ヒルデガルト(1098-1179年)です。シノドスの議論は、シノドスに参加したすべてのシノドス教父と司祭が共同司式して行われる10月28日の主日のミサで終わります。10月21日、教皇は7人の福者の列聖式を司式します。ジャック・ベルテュー(1838-1896年)、ペドロ・カルングソッド(1654-1672年)、ジョヴァンニ・バッティスタ・ピアマルタ(1841-1913年)、マリア・デル・モンテ・カルメロ・サレス・イ・バラングエラス(1848-1911年)、マリアンヌ・コープ(1838-1918年)、カテリ・テカクウィタ(1656-1680年)、アンナ・シェファー(1882-1925年)です。第二バチカン公会議開幕50周年と『カトリック教会のカテキズム』発布20周年を記念してささげられる10月11日のミサは特別に重要です。この日、教皇は「信仰年」を開始するからです。「信仰年」は2013年11月24日の王であるキリストの祭日に終わります。
 シノドス教父は、シノドスの初めに聖霊に祈り求めます。聖霊こそがシノドスの会議の主役だからです。毎朝、会議は朝の祈りで始まります。午後の会議の前にも短い祈りが唱えられます。午前と午後の会議の終わりには、教会の母であり新しい福音宣教の星である聖なるおとめマリアのご保護を心から祈ります。シノドス・ホールに隣接した礼拝堂には聖体が置かれています。それは、シノドス参加者が会議の前後に師である主のみ前でしばし黙想できるためです。主は福音を告げるために弟子たちを世界中に遣わしました。福音は現代人のためのものでもあります。

 

二 神学的・司牧的考察

 教皇ベネディクト十六世がカトリック教会の司教団への意見聴取の後にシノドスのテーマを選んだ後、シノドス事務総局は、シノドスの議論を考察した文書である『提題解説』を作成しました。『提題解説』はシノドス事務局通常顧問会と専門家の助けと協力によって作成されました。『提題解説』は2011年3月4日に発表されました。シノドス事務総局とかかわりのあるあらゆる教会機関は、『提題解説』の質問に対する回答を2011年11月1日までに送るよう求められました。90.5%に達した高い回答率は、部分教会と他の機関のシノドスのテーマに対する大きな関心を示すものです。回答結果は次のとおりです。13の自主権を有する東方カトリック教会のうち11が回答、ローマ教皇庁の26機関から25が回答。さらにシノドス事務総局は修道会総長連合からも回答を受け取りました。114の司教協議会から93が回答。大陸別では、オセアニア100%、アメリカ95.8%、アジア88.8%、ヨーロッパ81.25%、アフリカ66.6%です。シノドス事務局通常顧問会は回答結果を分析して、『討議要綱』に要約しました。『討議要綱』は2012年6月19日に発表されました。『討議要綱』はシノドスの議題となるため、シノドス教父は皆、発表の中でこれを参照しなければなりません。こうしてシノドスはすでにまとめられたテーマを深め、教会と社会にとって重要なテーマに新たな光を当てることができるのです。
 他の文書もシノドスの準備にとって重要な役割を果たしました。すなわち、第一に、教皇ベネディクト十六世のさまざまな発言における考察です。祈りに関する講話のほかに、2つの特別に重要な文書を思い起こす必要があります。すなわち、自発教令の形で書かれた2つの使徒的書簡です。一つは2010年9月21日の『ウビクムクエ・エト・センペル』です。教皇はこの書簡により教皇庁新福音化推進評議会を設立しました。第二は2011年10月11日の『信仰の門』です。教皇ベネディクト十六世はこの書簡で「信仰年」開催を告示しました。シノドスの準備に際してこの2文書がともに考慮されました。

 

三 技術的な開催準備

 『シノドス規則』に従い、自主権を有する東方カトリック教会とローマ教皇庁の代表者が職務上、シノドスに参加します。教皇が任命したシノドス教父に加えて、シノドス教父として、それぞれの司教協議会と、(25人以上の司教がいる)自主権を有する東方カトリック教会、そして(10名の代表を選出する権利を有する)修道会総長連合の代表者が選ばれました。シノドス事務総局は、選出されたシノドス教父の教皇による承認に協力しました。
 いうまでもなく、シノドス事務総局の職員もシノドスの進行にとってたいへん重要です。

 

四 シノドス参加者

 シノドス第13回通常総会には262名のシノドス教父が参加します。これはシノドス史上最大の数です。うちヨーロッパから103名、アメリカから63名、アフリカから50名、アジアから39名、オセアニアから7名です。シノドス教父の大半の182名は選出された代表者です。うち172名は司教協議会の、10名は修道会総長連合の代表です。自主権を有する東方カトリック教会の代表者は3名、職務上の参加者は37名、教皇による任命者は40名です。全体の内訳は、総大司教6名、枢機卿49名、首位大司教6名(うち1名は枢機卿)、大司教71名、司教120名、司祭14名です。自主権を有する東方教会の代表者は10名、司教協議会会長32名、ローマ教皇庁の責任者は26名、裁治権者211名、補佐司教11名です。
 ご存じのとおり、教皇ベネディクト十六世は2011年10月22日に総書記としてワシントン(米国)大司教のドナルド・ウィリアム・ヴュール枢機卿を、特別秘書としてモンペリエ(フランス)大司教のピエール=マリー・カレ師を任命しました。
 2012年6月29日付で教皇は議長代理として、香港(中国)司教のジョン湯漢(トンホン)枢機卿、グアダラハラ(メキシコ)大司教のフランシスコ・ロブレス・オルテガ枢機卿、キンシャサ(コンゴ民主共和国)大司教のローラン・モンセングオ・パシンヤ枢機卿を任命しました。
 シノドス総会には45名の専門家、49名のオブザーバーも参加します。これらは多くの専門家と5大陸で福音宣教に携わる人々から選ばれた男性・女性です。
 カトリック教会とまだ完全な交わりをもたない15の教会・教会共同体の友好使節も参加します。このことに関して特記すべきなのは、カンタベリー大主教で英国教会と世界聖公会の主座主教であるローワン・ダグラス・ウィリアムズ師がシノドスの中で発表を行うことです。さらに、コンスタンチノープル大主教・世界総主教のバルトロマイ一世も10月11日のミサに参加します。二人の存在はシノドスにとって特別のエキュメニカルな貢献です。
 シノドスには3名の特別招待者が参加します。テゼ(フランス)の院長のブラザー・アロイス、アメリカ聖書協会の総主事のラマール・ヴェスト師、バーゼル大学(スイス)バイオセンター微生物学教授で教皇庁科学アカデミー会長のヴェルナー・アーバー博士です。
 メディア関係者への記者発表は通常5名の広報担当者が行います。5名はそれぞれシノドスの5言語を担当します。広報担当者は、10月8日(月)、18日(木)、26日(金)、27日(土)を除く毎日、記者発表を行います。これらの日にはシノドス教父も参加した記者会見が予定されています。
 シノドス教父を32名のアシスタントと30名の通訳がサポートします。シノドス通常総会には総計400名以上の人間が参加します。

 

五 重要な行事

 教皇の承認したシノドスの日程によれば、23回の全体会議、8回の分団会が予定されています。最初の会議で、シノドスの公式言語に従って分けられた12の分団会のメンバーが分団会議長と報告者を選出します。名称が示すとおり、分団会議長は議論を司会し、報告者は10月19日(金)の全体会議で分団会の議論のおもな内容を報告します。
 重要な行事のうち、次のものを挙げるのが適切と思われます。
 10月8日(月):事務総長と総書記が報告を行う予定です。午後、5大陸の司教団の代表者がシノドスのテーマに関して短い発表を行います。これらの発表はシノドスのテーマがそれぞれの大陸の部分教会でどのように受け止められたかを要約します。
 10月9日(火):午後の全体会議で教皇庁福音宣教省長官のマルク・ウエレット枢機卿が2008年10月に行われた第12回通常シノドスから生まれたシノドス後の使徒的勧告『主のことば』の受容を報告。
 10月10日(水):ローワン・ダグラス・ウィリアムズ・カンタベリー大主教・英国と世界聖公会主座主教が午後の全体会議で、新しい福音宣教とキリスト教信仰の伝達という問題に関する聖公会の見解を発表。
 10月12日(金):バーゼル大学(スイス)バイオセンター微生物学教授、教皇庁科学アカデミー会長のヴェルナー・アーバー博士が科学と信仰の関係の考察を発表。同博士は午後の全体会議でも発表。
 これらの発表は毎日、午後の全体会議の終わりに予定される自由討議を活発なものとすることが期待されています。
 10月11日(木)のミサの中で、世界総主教バルトロマイ一世がローマ司教べネディクト十六世とミサ参加者全員に「信仰年」開年に際してのあいさつを行います。
 会議の初めに、シノドス教父は12人から成るメッセージ委員会委員を選出します。同委員会委員長のフィレンツェ(イタリア)大司教のジュゼッペ・ベトーリ枢機卿と副委員長のマニラ(フィリピン)大司教のルイス・アントニオ・G・タグレ師は教皇によって任命されています。教皇は他の2名の委員も任命し、残りの8名の委員がシノドス教父によって選出されます。メッセージ委員会は「最終メッセージ」を起草します。同メッセージは、シノドス教父の承認を得た後、発表され、シノドスで扱われたテーマについて神の民に知らせます。

六 結び

 これまでのシノドスの経験を検討した結果、教皇ベネディクト十六世が2005年に改訂したシノドスの方法は基本的に変わりません。それゆえ、シノドス教父はそれぞれ全体会議で5分間の発表を行います。午後の全体会議の6時から7時まで予定される自由討議では、シノドス教父の発言は3分以内とします。それは交わりと団体性の感覚の表現として、できるだけ多くの人の参加を促すためです。
 友好使節とオブザーバーの発表は4分以内です。
 シノドス教父の用意するテキストは長くてもよく、事務総長に提出されます。いずれにせよ、「シノドス便覧」の指示に従ってそれぞれのシノドス教父が用意した短い要約が発表されます。発表時間の制限は、できるだけ多くの参加者が発表し、シノドスの考察をいっそう豊かなものとすることを可能にします。
 作業を簡便にし、時間を節約するために、第13回通常総会と同じように、電子投票機が使用されます。しかし、提言に対する投票の重要性を考慮して、通常の投票方法も残します。したがって、投票は筆記形式と電子形式の両方で行われます。提言に対する投票は、電子投票が行われる全体会議に参加できないシノドス教父によって行われることにご留意ください。それゆえ、正式な投票数は票数を計算する特別委員会が計算します。特別委員会はしかるべきときに設立され、筆記投票の計算を行います。
 シノドス第13回通常総会の活動日程は、シノドス教父が一致して参加する行事の重要性を示します。ともに熱心に祈り、耳を傾け、考察することは、司教の間の、また司教団と司教団の頭であるローマ司教との団体的な愛を深めます。さらに、神の民から選ばれた相当な数の人々のシノドスへの参加も、カトリック教会のすべての構成員の間のきずなを強めます。友好使節のシノドス出席は、シノドス総会に重要なエキュメニカルな性格を与えます。このことは世界総主教のバルトロマイ一世とカンタベリー大主教で英国と世界聖公会の主座主教のローワン・ダグラス・ウィリアムズ師の参加によってさらに強化されます。わたしたちは主イエスの祈りが早く実現することをともに祈ります。「父よ、あなたがわたしのうちにおられ、わたしがあなたのうちにいるように、すべての人を一つにしてください。彼らもわたしたちのうちにいるようにしてください。そうすれば、世は、あなたがわたしをお遣わしになったことを、信じるようになります」(ヨハネ17・21)。現代世界で福音を告げ知らせ、新しい福音宣教を行うという途方もない仕事は、教会・教会共同体全体の一致を必要とします。わたしたちはこの歩みをともに行います。祈りと、キリスト教的生活のあかしをもって。そして、新たな力で使徒聖ペトロの264代目の後継者である教皇ベネディクト十六世との交わりのうちに次のように告白しながら。「あなたはメシア、生ける神の子です」(マタイ16・16)。 

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