教皇ベネディクト十六世の2008年10月26日の「お告げの祈り」のことば シノドスの閉会にあたって

教皇ベネディクト十六世は、年間第30主日の10月26日(日)午前9時30分から、サンピエトロ大聖堂で世界代表司教会議(シノドス)第12回通常総会閉会ミサを司式した後、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者と […]

教皇ベネディクト十六世は、年間第30主日の10月26日(日)午前9時30分から、サンピエトロ大聖堂で世界代表司教会議(シノドス)第12回通常総会閉会ミサを司式した後、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
このことばの中で、教皇は、苦難のうちにある中東、とくにイラクと、インドのキリスト教徒への支援を呼びかけるとともに、2009年3月に教皇として初めてのアフリカ司牧訪問を行うことをあらためて発表しました。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。
  午前中、サンピエトロ大聖堂で行った感謝の祭儀をもって、「教会生活と宣教における神のことば」をテーマとする世界代表司教会議(シノドス)第12回通常総会が終わりました。シノドス総会はいつも、教会の交わりを力強く経験させてくれますが、今回は今までにましてそうだったといえます。なぜなら、わたしたちは関心の中心を、教会を照らし、導くもの、すなわち神のことばに置いたからです。神のことばはキリストご自身にほかなりません。わたしたちは毎日、敬虔に耳を傾けながら、キリストの弟子またしもべであることの恵みとすばらしさを心から感じました。わたしたちは「教会」ということばの元来の意味に従って、みことばによって呼び集められた喜びを体験しました。わたしたちは、とくに典礼において、みことばのうちに歩みます。みことばは、約束の地で味わわせてくださるのと同じように、わたしたちに天の国を前もって味わわせます。
  わたしたちが深く考察した点は、みことばとことばの関係、すなわち、神のことばと神のことばを表す聖書の関係でした。第二バチカン公会議が『神の啓示に関する教義憲章』(同12)の中で教えるように、優れた聖書釈義は歴史的・批判的方法とともに神学的方法を必要とします。なぜなら、聖書は人間のことばで書かれた神のことばだからです。それゆえ、あらゆるテキストは、聖書全体の統一性、教会の生きた伝統、そして信仰の光に心をとめながら読み、解釈されなければなりません。聖書も文学作品であり、普遍的文化の大いなる体系です。このことが本当なら、次のことも真実です。聖書から神的な要素を奪ってはなりません。また、聖書がそのかたのもとで書かれた、同じ聖霊のうちに聖書を読まなければなりません。それゆえ、学問的釈義と霊的読書(レクチオ・デヴィナ)は、文字どおりの意味を通して霊的な意味を探求するために、両方とも必要であり、ともに補い合います。神はこの霊的な意味を現代のわたしたちに伝えようと望まれるからです。
  シノドス総会の終わりに、東方教会の総大司教が呼びかけを行いました。わたしはこの呼びかけを自分のものとします。それは、国際社会と宗教指導者とすべての善意の人々に、中東諸国の人々が体験している悲劇に関心をもっていただくためです。中東諸国では、キリスト教徒が不寛容と残酷な暴力と殺害の犠牲となり、脅迫され、自分の家を捨て、避難所を求めてさまようことを強いられています。このときにあたって、わたしはとくにイラクとインドに思いを致します。わたしは、これらの国に古くから住む高貴な人々が、何世紀にわたる尊敬を伴った共存を通じて、数は少なくても、勤勉で優秀な少数派のキリスト教徒が、共通の祖国の成長のために貢献してきたことを認めてくださると確信しています。これらキリスト教徒は、特権を要求せず、ただ、これまでと同じように、同国人とともに自国に住み続けることを求めているだけです。わたしは、関係する国家・宗教界の権限のある人々にお願いします。法秩序と市民の共存を回復し、誠実かつ忠実な市民が国家機関からの適切な保護を当てにできると知ることができるように、いかなる努力も惜しまないでください。さらにわたしは願います。すべての国の国家・宗教指導者が、自らが人々の指導者また基準であることを自覚して、キリスト教またキリスト教以外の宗教の少数派の人々に対する友愛と尊重をはっきりとした行動で示し、これらの少数派の人々の正当な権利が尊重されるようにしてください。
  わたしはまた、たった今ミサの中で発表したことをここで皆様にもお知らせできることをうれしく思います。来年の10月、第2回アフリカ特別シノドスがローマで開催されます。このシノドス開催に先立って、神のお望みなら、3月にアフリカを訪問するつもりです。わたしはまずカメルーンを訪れます。わたしはカメルーンでシノドスの「討議要綱」をアフリカ大陸の司教の皆様に示します。次いでわたしは、アンゴラへの福音宣教500周年記念にあたって、アンゴラを訪れます。わたしは先に述べた苦難と、わたしたち皆が心に抱いている望み、とくにアフリカ特別シノドスの成功への望みを、至聖なるマリアの執り成しにゆだねます。

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