教皇ベネディクト十六世の2008年12月21日の「お告げの祈り」のことば 神のお告げ

教皇ベネディクト十六世は、待降節第4主日の12月21日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイ […]

教皇ベネディクト十六世は、待降節第4主日の12月21日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
このことばの中で教皇は、「世界天文年2009」の開催に言及しました。「世界天文年2009」は、1609年にガリレオ・ガリレイが最初の望遠鏡による天体観測を行ってから400周年を記念して2009年に開催されます。国際連合、ユネスコ(国連教育科学文化機関)、国際天文学連合によって定められました。スローガンは「宇宙――解き明かすのはあなた(THE UNIVERSE: YOURS TO DISCOVER)」です(世界天文年2009日本委員会公式ウェブサイト参照)。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。
  今日の待降節第4主日の福音は神のお告げの物語をあらためて示してくれます(ルカ1・26-38)。わたしたちはこの神のお告げの神秘を毎日「お告げの祈り」で思い起こします。わたしたちは「お告げの祈り」によって、決定的なときを追体験します。すなわち、そのとき神はマリアの心の戸をたたきました。マリアが「はい」とこたえると、神はマリアのうちに、またマリアによって、肉となりました。今日のミサの集会祈願は、「お告げの祈り」の終わりに唱えるのと同じ祈りです。イタリア語では次のとおりです。「父である神よ、み使いのお告げによって御子が人となられたことを知ったわたしたちが、キリストの受難と十字架を通して復活の栄光に達することができるよう、恵みを注いでください」。数日後に迫った降誕祭のとき、わたしたちは言い表しがたい神秘を仰ぎ見るよう招かれます。それは神が人となるという神秘です。マリアはこの神秘を9か月の間、そのおとめの胎内で守りました。これがあがないの第一の要です。あがないの第二の要は、イエスの死と復活です。そして、この切り離すことのできない二つの要は、唯一の神の計画を示します。すなわち、人類とその歴史を救うという計画です。そのために神は、人類を苦しめるあらゆる悪を完全に身に負うまでに、徹底的なしかたで人類を受け入れます。
  この救いの神秘は、歴史的な側面だけでなく、宇宙的な側面ももっています。キリストは恵みの太陽です。キリストはその光によって「全宇宙を造り変え、希望で燃え上がらせます」(典礼文)。降誕祭がこの時期に祝われるのは、冬至と関連します。北半球では、冬至から一日が再び長くなり始めます。このことと関連して、ほとんどのかたはサンピエトロ広場も子午線であることに気づいておられないと思います。実際、巨大なオベリスクが落とす長い影の線は、敷石を通って、噴水を横切り、この窓の下に達します。そして、この影はこの数日間、1年でもっとも長くなっています。このことは、祈りの時を定めるために天文学が果たす役割を思い起こさせてくれます。たとえば、「お告げの祈り」は朝と正午と夕方に唱えられます。かつて「本当の正午」を知るために用いられた子午線は、時計の基準でした。
  今日12月21日のちょうど今が冬至であることは、さまざまなしかたで「世界天文年2009」という行事の開催に参加するすべてのかたがたにごあいさつする機会をわたしに与えてくれます。この行事は、ガリレオ・ガリレイ(1564-1642年)が望遠鏡によって最初に天体観測を行ってから400周年を記念するものです。わたしの敬愛すべき先任者の中にも天文学の愛好家がいます。たとえば、天文学を教えたシルヴェストロ二世(在位999-1003年)、現在わたしたちが用いている暦を作ったグレゴリオ十三世(在位1572-1585年)、そして、日時計の作り方を知っていたピオ十世(在位1903-1914年)です。詩編作者の美しいことばがいうとおり、「天は神の栄光を語り」(詩編19・2)ます。そうであるならば、過去数世紀に多くの科学者がわたしたちにその知識を深めさせてくれた自然法則も、主のわざを感謝をこめて仰ぎ見るための大きな刺激となります。
  今、イエスの降誕を待ち望むマリアとヨセフに目を向けたいと思います。そして、マリアとヨセフから、降誕祭の喜びを味わうために精神を集中する秘訣を学びたいと思います。来て、わたしたちのもとにとどまってくださるあがない主を、すべての時代の人類に対する神の愛のみことばを、信仰をもって迎え入れる準備をしようではありませんか。

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