教皇ベネディクト十六世の2009年3月1日の「お告げの祈り」のことば イエスに仕える天使

教皇ベネディクト十六世は、四旬節第1主日の3月1日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリ […]

教皇ベネディクト十六世は、四旬節第1主日の3月1日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文はイタリア語)。
教皇が祈りの前のことばで述べたように、この四旬節第1主日の3月1日(日)から、教皇と教皇庁の四旬節の黙想会が行われます。今年の黙想会のテーマは「イエスと出会い、イエスに従う司祭」です。黙想会を指導するのは前教皇庁典礼秘跡省長官のフランシス・アリンゼ枢機卿(76歳)です。黙想会は午後6時から、聖体顕示と晩の祈りと最初の黙想と聖体礼拝と聖体賛美式をもって開始されます。黙想会のスケジュールは以下の通りです。午前9時から朝の祈りと黙想。午前10時15分から三時課と黙想。午後5時から黙想。午後5時45分から晩の祈りと聖体礼拝と聖体賛美式。黙想会は3月7日(土)午前9時の朝の祈りと結びの黙想をもって終了します。黙想会中、3月4日(水)の一般謁見を含めてすべての謁見は行われません。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。
  今日は四旬節第1主日です。聖マルコによる福音は、その抑制した簡潔な文体で、四旬節の雰囲気へとわたしたちを導き入れます。「それから〝霊〟はイエスを荒れ野に送り出した。イエスは四十日間そこにとどまり、サタンから誘惑を受けられた」(マルコ1・12)。聖地のヨルダン川西岸のエリコのオアシスの西にユダの荒れ野があります。ユダの荒れ野は石だらけの渓谷を通り、高度約100メートルの高地となってエルサレムに続きます。ヨハネから洗礼を受けた後、イエスは聖霊そのものに導かれてこの人里離れたところに入りました。聖霊はイエスの上に降り、イエスを聖別し、イエスが神の子であることを示したかたです。荒れ野は、イスラエルの民の経験が示すとおり、試みの地です。この試みの地で、きわめて劇的なしかたで、「ケノーシス(へりくだり)」、すなわちキリストの自己無化が現されます。キリストは神の身分を捨てたからです(フィリピ2・6-7参照)。罪を犯さず、また犯すことのできないかたが、自らを試みにゆだねました。だからこのかたはわたしたちの弱さに同情することができます(ヘブライ4・15参照)。イエスは敵対する者であるサタンの誘惑を受けました。サタンは初めから人間のための神の救いの計画に敵対したのです。
  短い記事の中で、主を試みようとする暗い闇の存在に対して、光り輝く神秘的な存在である天使が、ほんの束の間ではありますが、姿を現します。福音は、この天使がイエスに「仕えていた」(マルコ1・13)と述べます。天使はサタンと対をなす存在です。「天使」とは「遣わされた者」を意味します。天使の存在は旧約全体を通じて見いだされます。天使は神の名をもって人間を助け、導きます。トビト記を思い起こすだけで十分です。トビト記の中では、天使ラファエルが現れて、多くの苦難に遭う主人公を助けます。ともにいて力を与えてくれる主の天使は、順境のときにも逆境のときにもつねにイスラエルの民に同伴します。新約の初めに、ガブリエルがザカリアとマリアのもとに遣わされて、わたしたちの救いの開始となる喜ばしい出来事を告げます。また、その名が語られることのない天使が、不安なときにヨセフに警告を与えて、彼を導きます。天使の群れは羊飼いたちに、救い主が生まれた喜ばしい知らせをもたらします。主の復活の喜びの知らせを婦人たちに告げたのも天使です。世の終わりに、イエスが栄光のうちに来られるとき、天使たちはイエスに伴います(マタイ25・31参照)。天使はイエスに仕えます。イエスが天使より優れたかたであることは当然だからです。そしてこのイエスの威厳が、控えめな形ではあれ、福音の中ではっきりと告げ知らされます。実際、サタンの試みを受けた、極度な貧困とへりくだりの状況の中にあっても、イエスは神の子、メシア、主であり続けます。
  親愛なる兄弟姉妹の皆様。神がわたしたちの間にともにおられることを告げ、そのしるしとなるために神から遣わされた、この天使という存在を見過ごすなら、わたしたちは福音から重要な部分を奪うことになります。天使にしばしば祈り求めようではありませんか。どうか、イエスと同じ者になるまでにイエスに従うという務めを果たすわたしたちを支えてください。とくに今日、天使に願いたいと思います。どうかわたしとローマ教皇庁におけるわたしの協力者を心にとめてください。わたしたちは今日の午後から、例年のように、一週間の黙想を始めるからです。天使の元后であるマリア、わたしたちのために祈ってください。

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