教皇ベネディクト十六世の2009年11月1日の「お告げの祈り」のことば 聖徒の交わり

教皇ベネディクト十六世は、諸聖人の祭日の11月1日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア […]


教皇ベネディクト十六世は、諸聖人の祭日の11月1日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。

「お告げの祈り」の後、教皇は、ローマ・カトリック教会/ルーテル世界連盟『義認の教理に関する共同宣言』調印10周年にあたって、次のように述べました。
「ルーテル世界連盟とカトリック教会の代表者が1999年10月31日にアウグスブルクで『義認の教理に関する共同宣言』の調印を行ってからちょうど10年経ちました。その後2006年に世界メソジスト協議会もこの共同宣言に加わりました。この文書は、ルーテル教会とカトリック教会の義認の教理の根本的な真理についての合意をあかしします。この真理は、福音の中心とわたしたちの生活の本質的な諸問題へとわたしたちを導きます。わたしたちは神によって受け入れられ、あがなわれました。わたしたちの人生は恵みの地平に記され、憐れみ深い神によって導かれます。この憐れみ深い神はわたしたちの罪をゆるし、御子に従って新しく生きるようわたしたちを招きます。わたしたちは神の恵みを生き、神のたまものにこたえるよう招かれます。これらすべてのことがわたしたちを恐れから解放し、不確実、不安定で苦しみに満ちた世にあるわたしたちに希望と勇気を注ぎます。『共同宣言』の調印の日、神のしもべヨハネ・パウロ二世は、この共同宣言は『キリスト者の間に完全な一致を回復する容易ならぬ道のりの里程標』(「お告げの祈り(1999年10月31日)」)だと述べています。それゆえ、この10周年は、共同であかしした人間の義認についての真理を思い起こし、エキュメニカルな祭儀のために集まり、このテーマや、エキュメニカル対話の対象となる他のテーマをさらに深く考察するための機会となります。この重要な記念が、すべてのキリストの弟子の完全な目に見える一致に向かう歩みを前進させるために役立つことを心から望みます」。


  親愛なる兄弟姉妹の皆様。

  今日の主日は諸聖人の祭日と重なりました。諸聖人の祭日は、地上を旅する教会が天の集いの終わりのない祭りを前もって味わい、永遠のいのちへの希望を新たにするよう招きます。今年は、ローマ最古で、もっとも有名な遺跡の一つである「パンテオン」がキリスト教の崇敬の対象となり、おとめマリアとすべての殉教者にちなんで「サンクタ・マリア・アド・マルテュレス(Sancta Maria ad Martyres)」と名づけられてから1400周年を記念します。こうして異教のすべての神々の神殿は、黙示録に書かれているように「大きな苦難を通って来た者で、その衣を小羊の血で洗って白くした」(黙示録7・14)人々を記念する場所に変わったのです。その後、すべての殉教者の記念は、すべての聖人へと広げられました。すなわち、「あらゆる国民、種族、民族、ことばの違う民の中から集まった、だれにも数えきれないほどの大群衆」(黙示録7・9)です。これも聖ヨハネが述べているとおりです。今年の「司祭年」にあたり、特別な崇敬をこめて聖なる司祭たちを記念できることをうれしく思います。これらの司祭には、教会が霊的・司牧的美徳の模範として示すために列聖した人もいれば、もっと数の多い、主にだけ知られている人もいます。わたしたちは皆、わたしたちの信仰の成長を助け、神のいつくしみと近さを感じさせてくれたこれらの人々を感謝をもって思い起こし続けなければなりません。
  さらに、明日、わたしたちはすべてのキリスト信者の死者の記念を行います。真のキリスト教的精神をもって、すなわち、過越の神秘から出る光のもとで、この記念日を過ごしてくださるようにお願いしたいと思います。キリストは死んで復活し、いのちと平和が支配する、父の家への入口をわたしたちに開いてくださいました。この世でイエスに従う人は、キリストがわたしたちに先立って行かれたところに受け入れられます。それゆえ、墓地を訪れるとき、終わりの日の復活を望んで墓の中に安置されているのは親族の亡骸にすぎないことを思い起こしたいと思います。聖書が述べるとおり、彼らの魂はすでに「神の手で守られ」(知恵3・1)ています。それゆえ、死者を敬うためのもっともふさわしく効果的な方法は、彼らのために祈り、信仰と希望と愛のわざをささげることです。わたしたちは、聖体のいけにえと結ばれることにより、死者の永遠の救いのために執り成し、もっとも深い交わりを体験することができます。わたしたちが再びあいまみえて、わたしたちを造り、あがなってくださった愛であるかたを永遠に喜ぶことを待ち望みながら。
  親愛なる友人の皆様。聖徒の交わりは、なんとすばらしく、慰めに満ちていることでしょうか。この現実は、わたしたちの生活全体に別の次元を与えてくれます。わたしたちは決してひとりきりではありません。わたしたちは、深い連帯に支配された、霊的な「友愛」にあずかります。一人ひとりの人の善はすべての人の利益となります。逆に、共通の幸福が一人ひとりへと広がります。わたしたちはある意味でこの神秘をすでにこの世で味わいます。すなわち、家族、友人、特に教会の霊的共同体の中で。至聖なるマリアの助けによって、わたしたちが聖性への道を速やかに歩むことができますように。憐れみの母が死者の魂にご自身を示してくださいますように。

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