教皇ベネディクト十六世の2009年12月6日の「お告げの祈り」のことば 天から降った神のことば

教皇ベネディクト十六世は、待降節第2主日の12月6日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリ […]


教皇ベネディクト十六世は、待降節第2主日の12月6日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。

「お告げの祈り」の後、教皇は、7日(月)からデンマークの首都コペンハーゲンで開催される、気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)第15回締約国会議(COP15)に向けて、イタリア語で次のように述べました。
「明日からコペンハーゲンで、気候変動に関する国際連合の会議が始まります。この会議で国際社会は世界的な温暖化現象と戦うことを目指しています。この作業が、被造物を尊重しながら、人格の尊厳の尊重に基づき共通善へと方向づけられた社会の発展を推進するための活動を定めることに寄与することを願います。被造物の保護は、節度があり、特に貧しい人と将来の世代に対して責任をとる生活様式を採用することを求めます。このことに関連して、会議が完全に成功するために、わたしはすべての善意の人にお願いします。神が本性のうちに定めた法を尊重し、人間生活の道徳的側面を再発見してください」。


  親愛なる兄弟姉妹の皆様。
 
  今日の待降節第2主日の典礼は、聖ルカが、イエスが公に宣教を開始するためのいわば舞台を準備する福音の箇所を示します(ルカ3・1-6参照)。福音書記者は、メシアの先がけとなった洗礼者ヨハネにスポットライトを当て、その説教の行われた空間的・時間的座標軸をきわめて正確にたどります。ルカは述べます。「皇帝ティベリウスの治世の第15年、ポンティオ・ピラトがユダヤの総督、ヘロデがガリラヤの領主、その兄弟フィリポがイトラヤとトラコン地方の領主、リサニアがアビレネの領主、アンナスとカイアファとが大祭司であったとき、神のことばが荒れ野でザカリアの子ヨハネに降った」(ルカ3・1-2)。二つのことが注意を引きます。第一は、紀元27-28年のパレスチナのすべての政治的・宗教的権威者が、余すところなく言及されていることです。福音書記者は明らかに読者または聞き手にこう告げることを意図しています。すなわち、福音は伝説ではなく、本物の歴史を記述したものです。そして、ナザレのイエスはこの正確な状況に置かれた歴史的人物だということです。注目すべき第二の要素はこれです。この詳細な歴史的前置きの後、テーマは「神のことば」となります。この「神のことば」は、天から降り、洗礼者ヨハネの上にとどまる力として示されます。
  明日はミラノの偉大な司教、聖アンブロジオ(339頃-397年)の記念日です。この福音のテキストについてのアンブロジオの注解を引用します。アンブロジオはいいます。「神の子は、教会を集める前に、何よりもその謙遜なしもべのうちに働かれます。そのため、聖ルカはいみじくも述べます。神のことばは荒れ野でザカリアの子ヨハネに降ったと。なぜなら、教会は人間から始まったのではなく、みことばから始まったからです」(『ルカ福音書注解』:Expositio Evangelii secundum Lucam 2, 67)。それゆえ、これはこういう意味です。歴史を動かし、預言者に霊感を与え、メシアの道を整え、教会を集めるかたは、神のことばです。イエスご自身が神のことばです。この神のことばはマリアのおとめの胎内で肉となりました。このかたのうちに神は完全なしかたで示されました。このかたのうちに神はわたしたちに語りかけ、すべてのものを与えてくださいました。そして、ご自身の真理とあわれみの宝をわたしたちに開いてくださいました。聖アンブロジオは注解の中で続けていいます。「それゆえ、みことばが降ったのは、以前は荒れ野であった大地がわたしたちのために実りを生み出すためでした」(同:ibid.)。
  親愛なる友人の皆様。神のことばから咲いたもっとも美しい花は、おとめマリアです。マリアは、地上における神の園である教会から最初にとれた実りです。しかし、マリアが無原罪のかたであるのに対して――明後日、わたしたちが祝うとおりです――、教会は常に清めを必要としています。なぜなら、教会に属するすべての人を罪が待ち受けているからです。教会の中ではいつも荒れ野と園が戦っています。大地を干上がらせる罪と、聖性の豊かな実を結ばせるために大地を潤す恵みとが戦っています。それゆえ主の御母に祈ろうではありませんか。御母の助けによって、わたしたちがこの待降節に、わたしたちの道を「まっすぐに」し、神のことばによって導いていただくことができますように。

PAGE TOP