教皇ベネディクト十六世の2010年1月24日の「お告げの祈り」のことば キリスト者の一致

教皇ベネディクト十六世は、年間第3主日の1月24日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。
最後に言及されたように、「2010年『世界広報の日』メッセージ」は1月23日(土)に発表されました。「2010年『世界広報の日』メッセージ」のテーマは「司祭とデジタル世界における司牧――みことばに仕える新しいメディア」です。今年の「世界広報の日」は5月9日(復活節第6主日)です。


親愛なる兄弟姉妹の皆様。

  今日の典礼の聖書朗読には、聖パウロのコリントの信徒への手紙の有名な箇所が含まれています。この箇所で、教会は人間のからだにたとえられます。使徒パウロはいいます。「からだは一つでも、多くの部分から成り、からだのすべての部分の数は多くても、からだは一つであるように、キリストの場合も同様である。つまり、一つの霊によって、わたしたちは、ユダヤ人であろうとギリシア人であろうと、奴隷であろうと自由な身分の者であろうと、皆一つのからだとなるために洗礼を受け、皆一つの霊をのませてもらったのです」(一コリント12・12-13)。教会はからだだと考えられます。このからだが、頭であるキリストとともに一つの全体を形づくります。しかし、使徒パウロが伝えたいのは、カリスマの多様性における一致という考えです。カリスマとは聖霊の与えるたまもののことです。このたまもののおかげで、教会は、画一的なものではなく、豊かな生きた有機体として自らを示します。教会は唯一の聖霊の実りです。聖霊はすべての人を深い一致へと導きます。その際、聖霊は、違いを廃止せず、むしろそれを取り入れながら、調和のある一致を実現します。教会は、歴史の中で、復活した主の現存を延長します。それはとくに、諸秘跡と、神のことばと、共同体の中で割り当てられたさまざまなカリスマと奉仕職を通じて行われます。ですから、教会は、まさにキリストと霊において唯一で聖なるもの、すなわち人間的な力を超えた親密な交わりとなります。
  わたしはこの側面を、「キリスト教一致祈祷週間」を行っているこのときに強調したいと思います。「キリスト教一致祈祷週間」は、明日の聖パウロの回心の祝日に終わります。恒例に従って、わたしは明日の午後、サン・パオロ・フオリ・レ・ムーラ大聖堂で晩の祈りを司式します。ローマにある他の教会・教会共同体の代表者のかたがたもこの晩の祈りに参加されます。この晩の祈りで、わたしたちはキリストのすべての弟子が完全に一致する恵みを神に祈り求めます。とくにわたしたちは、今年のテーマに従って、十字架につけられて復活した主をともにあかしするという務めを新たにします(ルカ24・48参照)。実際、キリスト者の一致は、福音の告知を、いっそう信頼の置ける効果的なものとします。イエスご自身が亡くなる前の晩、御父に祈りながらいわれたとおりです。「すべての人を一つにしてください。・・・・そうすれば、世は・・・・信じるようになります」(ヨハネ17・21)。
  親愛なる友人の皆様。わたしは聖フランシスコ・サレジオ(1567-1622年)の姿を思い起こしたいと思います。聖フランシスコ・サレジオの記念日は1月24日だからです。1567年にサヴォアで生まれた彼は、パドヴァとパリで法律を学んだ後、主の招きによって司祭になりました。彼は説教と信者の霊的教育に献身して、多くの実りを生み出しました。聖フランシスコはこう教えました。聖性への招きはすべての人に向けられています。そして、聖パウロがからだのたとえを用いて述べたように、すべての人には教会の中で自分の持ち場があります。聖フランシスコ・サレジオはジャーナリストとカトリックの報道機関の守護聖人です。わたしは「『世界広報の日』メッセージ」をこの聖人の霊的な助けにゆだねます。毎年「世界広報の日」のためにわたしが書くこのメッセージは、昨日バチカンで発表されました。
  教会の母であるおとめマリアの助けによって、わたしたちが一致のためにますます前進することができますように。それは、わたしたちが父と子と聖霊の一致のうちに唯一であることのすばらしさを伝えることができるためです。 

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