教皇ベネディクト十六世の2010年5月9日の「アレルヤの祈り」のことば 聖母月

教皇ベネディクト十六世は、復活節第6主日の5月9日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「アレルヤの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリ […]


教皇ベネディクト十六世は、復活節第6主日の5月9日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「アレルヤの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。
教皇は5月11日(火)から14日(金)まで、ファティマの牧童ジャシンタ、フランシスコの列福10周年を記念してポルトガルへの司牧訪問を行います。ファティマはポルトガルの首都リスボンの北約150キロにあります。1917年5月13日から10月13日まで、ファティマのコヴァ・ダ・イリアの丘に囲まれた窪地で、3人の牧童、ルチア・ドス・サントス(Lúcia dos Santos 1907-2005年)、その従兄弟フランシスコ(Francisco Martos 1908-1919年)とジャシンタ(Jacinta Martos 1910-1920年)に6度マリアが出現しました。フランシスコとジャシンタは2000年5月13日、ファティマで教皇ヨハネ・パウロ二世により列福されました。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 5月は人々に愛された月です。5月の到来はさまざまな点で喜ばしいものです。北半球では、春は多くの色鮮やかな花々とともに過ぎていきます。春の気候は散歩や遠足に適しています。典礼では、5月は常に復活節に属しています。復活節は「アレルヤ」の季節です。復活と過越の信仰の光のもとでキリストの神秘が示される季節です。復活節は聖霊を待ち望むときでもあります。聖霊は聖霊降臨祭(五旬祭)に、初代教会の上に力をもって降るからです。「自然」と典礼の両方の理由から、教会の伝統が5月をおとめマリアにささげるのはたいへんふさわしいことです。実際、マリアは被造物の中でもっとも美しく咲いた花です。この「薔薇(ばら)」は時が満ちると現れました。神は、独り子を遣わすことにより、世に新しい春をもたらしたからです。マリアは、歩み出したばかりのキリスト教共同体の謙遜でつつましい代表者でもあります。マリアは初期のキリスト教共同体の霊的中心です。なぜなら、マリアが弟子たちのただ中にいることそのものが、主イエスの生き生きとした記念であり、イエスの霊が与えられることの保証だからです。
 聖ヨハネによる福音書の14章からとられた今日の主日の福音は、おとめマリアの霊的な姿を暗黙のうちに示してくれます。この箇所で、イエスはいわれます。「わたしを愛する人は、わたしのことばを守る。わたしの父はその人を愛され、父とわたしとはその人のところに行き、一緒に住む」(ヨハネ14・23)。このことばは弟子たちに向けていわれています。しかし、それはイエスの最初の完全な弟子であるマリアにも最高の意味で当てはまります。実際、マリアは御子のことばを最初に完全に守りました。こうしてマリアは、自分が、母としてだけでなく、まず謙遜で従順なはしためとして、イエスを愛することを示しました。だから父である神はマリアを愛し、至聖なる三位一体がマリアを住まいとされたのです。さらにイエスはご自分の友に約束されます。聖霊があなたがたを支え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせ、深く悟らせてくださると(ヨハネ14・26参照)。ここでわたしたちはマリアのことを考えずにいられるでしょうか。マリアは霊の神殿であるご自分の心のうちで、御子が話し、また行われたすべてのことを思い巡らし、その意味を解釈されたからです。こうして、すでに復活の前から、とくに復活の後に、イエスの母は教会の母また模範ともなられたのです。
 親愛なる友人の皆様。聖母月のただ中にあって、これから数日間、ポルトガルを訪問できることをうれしく思います。わたしは首都リスボンと、ポルトガル第二の大都市ポルトを訪問します。わたしの訪問の主要な目的は、二人の牧童、ジャシンタとフランシスコの列福10周年にあたって、ファティマを訪れることです。わたしはペトロの後継者として初めて、尊者ヨハネ・パウロ二世が深く愛したこの聖母巡礼所にまいります。すべての人にお願いします。この巡礼をわたしとともに歩み、祈りをもって熱心に参加してください。心と魂を一つに合わせて、教会のため、とくに司祭と世界の平和のために、おとめマリアの執り成しを祈り求めたいと思います。

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