教皇ベネディクト十六世の2010年9月5日の「お告げの祈り」のことば 2011年「世界青年の日」メッセージ

教皇ベネディクト十六世は、年間第23主日の9月5日(日)正午に、夏季滞在先のカステル・ガンドルフォ教皇公邸の窓から、中庭に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳 […]


教皇ベネディクト十六世は、年間第23主日の9月5日(日)正午に、夏季滞在先のカステル・ガンドルフォ教皇公邸の窓から、中庭に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。教皇は、9月3日に発表した「第26回『世界青年の日』メッセージ」について解説しました。

この日の午前、教皇は、教皇レオ十三世(在位1878-1903年)の生地であるカルピネト・ロマーノを訪問し、9時30分からモンティ・レピーニ広場でミサをささげました。今年はレオ十三世(本名ヴィンチェンツォ・ジョアッキーノ・ベッチ)の生誕200周年を祝っています。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 まず、遅れたことをお詫び申し上げます。たった今、カルピネト・ロマーノから戻ったところです。このカルピネト・ロマーノで200年前、教皇レオ十三世、すなわちヴィンチェンツォ・ジョアッキーノ・ベッチが生まれました。この重要な記念の年に、カルピネト・ロマーノの市民の皆様とともに感謝の祭儀をささげられたことを主に感謝します。さて、今は、数日前、第26回「世界青年の日」のために世界中の若者に向けて発表したわたしの「メッセージ」を簡単にご紹介したいと思います。第26回「世界青年の日」は、1年もしないうちにマドリードで開催されます。
 この「メッセージ」のためにわたしが選んだテーマは、使徒パウロのコロサイの信徒への手紙のことばからとっています。「キリストに根を下ろして造り上げられ、信仰をしっかり守りなさい」(コロサイ2・7)。これは流行に逆らうようにというはっきりとした勧めです。実際、現代、だれが若者に「根を下ろし」、「しっかり守る」ことを勧めるでしょうか。むしろたたえられるのは、不確実、不安定、気まぐれであることです。こうした性格は皆、根本的な価値観や、自分の人生を方向づけ、支配する基盤となる原則に関してあいまいな態度をとる文化を反映しています。真実は、わたし自身、自分の体験や、若者とのさまざまな交流を通じてよく分かっていることです。すなわち、あらゆる世代の人、あらゆる個人は、人生の意味を見いだすために歩むよう、あらためて招かれているのです。だからこそわたしは、この「メッセージ」をもう一度示そうと望んだのです。この「メッセージ」は、聖書の表現方法に従って、木と家のたとえを用います。実際、若者は、成長しつつある木のようです。よく成長するためには、深く根を下ろすことが必要です。それは、暴風にさらされたとき、地面の上にしっかりと立っていられるためです。建築中の家のたとえも、しっかりとした基盤が必要であることを思い起こさせてくれます。それは、家が安定し、揺るがないためです。
 「キリストに」そして「信仰を」――メッセージの中心はここにあります。人格の完全な成熟や内面の安定の基盤となるのは、神との関係です。神との関係は、イエス・キリストとの出会いを通してもたらされます。イエスへの深い信頼、イエスとの真の友愛の関係は、若者に、人生にしっかりと立ち向かうために必要なものを与えてくれます。すなわち、心の落ち着きと内的な光、ものごとを積極的に考える態度、他者に対する寛大な心、よいこと、正しいこと、真実なことのために進んで自分をささげられる心構えです。最後に、もっとも重要な要素はこれです。若者は、信じるようになるために、教会の信仰によって支えられます。だれも孤島ではありません。キリスト信者はなおさら孤島ではありません。キリスト信者は教会のうちに信仰のすばらしさを見いだすからです。人はこの信仰を、兄弟愛と愛の奉仕を通じて、他の人とともに分かち合い、あかしします。
 青年に向けたこのわたしの「メッセージ」が書かれた日付は、主の変容の祝日である8月6日です。キリストのみ顔の光がすべての若者の心の中で輝くことができますように。おとめマリアが、2011年のマドリードでの大規模な集会に向けて歩む若者の共同体・グループを守り、ともに歩んでくださいますように。

PAGE TOP