教皇ベネディクト十六世の2010年10月10日の「お告げの祈り」のことば 中東特別シノドスの開催

教皇ベネディクト十六世は、年間第28主日の10月10日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。
この日、教皇は午前9時30分からサンピエトロ大聖堂で、177名のシノドス教父と69名の協力者の司祭とともに、10月10日(日)から24日(日)までバチカンで開催される第1回中東特別シノドスの開会ミサをささげました。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 たった今サンピエトロ大聖堂から戻りました。サンピエトロ大聖堂では、世界代表司教会議(シノドス)中東のための特別総会の開会ミサをささげました。これから2週間続く、このシノドス特別総会では、中東地域の教会の司牧者の皆様がバチカンに集まります。中東地域はきわめて多様性に富んだ世界です。実際、この地域で、キリストの唯一の教会は古代のさまざまな豊かな伝統によって自らを表現します。シノドスで考察するテーマは「中東のカトリック教会――交わりとあかし」です。実際、残念ながら、中東諸国は深刻な分裂を特徴とし、長年の紛争で苦しんでいます。この国々の中で、教会は、エルサレムの最初の共同体の模範に従って、一致と和解のしるしと道具となるよう招かれています。エルサレムの最初の共同体では「信じた人々の群れは心も思いも一つにしていた」(使徒言行録4・32)からです。聖ルカが述べるとおりです。これは難しい課題です。今、中東のキリスト信者は、個人、家族、共同体のいずれの次元でも、しばしば困難な生活状況を耐え忍んでいるからです。しかし、だからといって失望してはなりません。まさにこのような状況においてこそ、キリストの永遠のメッセージはいっそう必要かつ緊急性を帯びたものとなるのです。「悔い改めて福音を信じなさい」(マルコ1・15)。最近行ったキプロス訪問において、わたしはこのシノドス総会の「討議要綱」を示しました。総会が始まったこのときにあたり、皆様にお願いします。聖霊のたまものが豊かに注がれるよう、神に祈り願ってください。
 10月は「ロザリオの月」と呼ばれます。「ロザリオの月」は、10月7日に祝ったロザリオの聖母の記念日が与えてくれた、いわば「霊的な音調(イントネーション)」だといえます。それゆえわたしたちは、この古くてしかも永遠に新しい祈りを通して、マリアによって導かれるよう招かれます。ロザリオはマリアが特別に愛する祈りです。なぜなら、ロザリオは、わたしたちを直接イエスへと導くからです。わたしたちはイエスの救いの神秘を、喜び、光、苦しみ、栄えの神秘として観想するのです。尊者ヨハネ・パウロ二世の跡に従いながら(使徒的書簡『おとめマリアのロザリオ』参照)、ロザリオが聖書的な祈りであること、すなわち、完全に聖書とより合わされた祈りであることを思い起こしたいと思います。ロザリオは心の祈りです。心の中で「天使祝詞」を繰り返すことにより、思いと感情はキリストへと方向づけられます。こうしてわたしたちは、イエスの母であり、わたしたちの母でもあるかたに信頼をもって祈り求めます。ロザリオの祈りは、神のことばの黙想の助けとなり、また、マリアの模範に従って、聖体拝領と一つとなります。マリアは、イエスのすべての行いとことばを、そしてイエスの現存そのものを心に納められたからです。
 親愛なる友人の皆様。わたしたちは、中東の兄弟姉妹がどれほどおとめマリアを愛し、敬っているかを知っています。あらゆる苦しみに寄り添う優しい母であり、希望の星であるマリアに、すべての人が目を注ぎます。今日始まったシノドス総会をマリアの執り成しにゆだねたいと思います。どうか中東地域のキリスト信者が交わりのうちに強められ、愛と平和の福音をあかしすることができますように。

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