教皇ベネディクト十六世の2011年1月9日の「お告げの祈り」のことば 主の洗礼

教皇ベネディクト十六世は、1月9日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。 「お告げ […]


教皇ベネディクト十六世は、1月9日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。

「お告げの祈り」の後、教皇はイタリア語で次のように述べました。
「マリアへの祈りをささげるにあたり、わたしはとくにハイチ国民を思い起こしたいと思います。恐ろしい地震から1年を迎えるハイチでは、残念ながらその後、深刻なコレラが流行しています。教皇庁開発援助促進評議会議長のロベール・サラ枢機卿は、わたしと全教会の連帯を表すために、今日、このカリブ海の島に向かいます」。
この日、教皇は午前10時からシスティーナ礼拝堂でミサを司式し、ミサの中で21名の新生児(男児13名、女児8名)に洗礼を授けました。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 今日、教会は主の洗礼を記念します。この主の洗礼の祭日をもって降誕節は終わります。主の洗礼という、キリストの生涯における神秘は、次のことを目に見える形で示します。すなわち、キリストが肉をもって来られたことは、三位一体の神の愛の最高のわざだということです。わたしたちはこういうことができます。主の洗礼という荘厳な出来事から始まって、至聖なる三位一体の神の創造とあがないと聖化のわざが、イエスの公の宣教、教え、奇跡、受難と死と復活の中で、ますます明らかに示されます。実際、聖マタイによる福音書の中には次のように書かれています。「イエスは洗礼を受けると、すぐ水の中から上がられた。そのとき、天がイエスに向かって開いた。イエスは、神の霊が鳩のようにご自分の上に降って来るのをご覧になった。そのとき、『これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者』という声が、天から聞こえた」(マタイ3・16-17)。聖霊は御子の上に「とどまり」、御子が神であることを示します。これに対して、天から来る御父の声は、愛の交わりを表します。「洗礼の最後の場面は、イエスが真の『塗油』を受けたこと、彼が期待されたメシアであること・・・・をわたしたちに伝えています」(Gesù di Nazaret, Milano 2007, pp. 47-48〔『ナザレのイエス』里野泰昭訳、春秋社、2008年、50頁〕)。こうしてイザヤの預言が証明されました。「見よ、わたしのしもべ、わたしが支える者を。わたしが選び、喜び迎える者を」(イザヤ42・1)。イエスはまことにメシア、いと高き者の子です。彼はヨルダン川の水の中から上がると、人々を聖霊によって生まれ変わらせ、望む人には神の子となる可能性を開くからです。実際、洗礼を受けた人が皆、「キリスト教的名前」を与えられることによって子としての性格をもつのは偶然ではありません。「キリスト教的名前」は、聖霊が人を教会の母胎から「新たに」生まれさせることを示す、まぎれもないしるしだからです。福者アントニオ・ロスミニ(1797-1855年)はいいます。「洗礼を受けた人は秘密の力あるわざにあずかる。このわざによって、その人は超自然的な秩序へと上げられ、神との交わりのうちに置かれるからである」(Del principio supremo della metodica …, Torino 1857, n. 331)。これらすべてのことが、今朝、システィーナ礼拝堂で行われた感謝の祭儀であらためて実現しました。この感謝の祭儀の中で、わたしは21名の新生児に洗礼の秘跡を授けたからです。
 親愛なる友人の皆様。洗礼は霊的生活の始まりです。霊的生活は教会を通じて完成されるからです。洗礼の秘跡という恵みのときに、教会共同体は祈りをもって新生児を神にゆだねます。そして両親と代父母は新たに洗礼を受けた者を、キリスト教的養成と教育をもって支えることを通じて、迎え入れようと努めます。それは重大な責務です。この責務は大きなたまものに由来するからです。それゆえ、すべての信者に勧めたいと思います。洗礼を受け、神の大家族に属することのすばらしさを再発見してください。そして自分の信仰を喜びをもってあかししてください。このあかしからいつくしみと一致の実りを生み出すことができますように。
 この恵みを、キリスト信者の助けである聖なるおとめマリアの執り成しを通じて願おうではありませんか。自分の子どもの洗礼を準備するご両親とカテキスタのかたがたをおとめマリアにゆだねたいと思います。全共同体が、水と聖霊によって生まれ変わる喜びにあずかることができますように。

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