さいたま教区における東北関東大震災の被害と活動

1.教会の被害の状況 多くの教会で地震による被害が出ているが、甚大な被害を受けたのは水戸教会で、聖堂、司祭館、信徒会館、修道院(三位一体会)の建物が使用するには危険な状態になった。その他はひび割れなどで、現在も使用可能と […]

1.教会の被害の状況

多くの教会で地震による被害が出ているが、甚大な被害を受けたのは水戸教会で、聖堂、司祭館、信徒会館、修道院(三位一体会)の建物が使用するには危険な状態になった。その他はひび割れなどで、現在も使用可能と思われる。近日中に建築士による調査を行う予定。
さいたま教区が運営母体になっている、社会福祉法人「イースタービレッジ」の児童養護施設(足利)は地盤の崩れによって土地、建物に被害が発生、養護老人ホーム(那須)にも建物に被害が出ている。しかし、いずれも建物は使用可能で、利用者はそのまま生活している。
死亡者、人的被害はいまのところ報告されていない。3月13日に谷、矢吹事務局長で視察に出掛けたが、沿岸部の被害が甚大であった。大洗ではインドネシア人の労働者が多く働いていたが、津波の避難が迅速であったため、全員無事で避難所生活を始めていると確認した。
大洗、水戸、鹿島、日立教会の信徒の住宅などで全壊半壊の家屋も多いが、まだ詳細は分かっていない。

2.被災地域の状況

茨城県と栃木県北部の地域に大きな被害が発生した。水戸、大洗、日立、鹿島、北茨城など太平洋沿岸地域に津波が襲った。避難民も多く、発生当時、日立で2,000人以上、水戸で4000人以上が避難所生活を始めた。現在は福島、東北からの避難民もさいたま教区内で増えている。

3.被災者の状況

さいたま教区内のつくば市、大田原市、さいたま市などの多くの自治体で、福島県などからの被災者を受け入れている。
3月15日から17日にかけて、仙台教区に谷、菊池司教で視察し、仙台教区サポートセンターの立ち上げを手伝った。その時に仙台市内の3つの公的な避難所を視察したが、極めて厳しい状況にあることを確認した。なかでも子どもを抱えている母親は、気を使って夜中は車の中で寝ている人も出ている。
現在、子どもを抱えている家庭の受け入れをさいたま教区内の修道院、教会、黙想の家などを開放する準備を進めている。しかし、避難所では行方不明者の捜索などで、避難所からの移動を制限している。

4.福島第1原発事故の影響

原発事故の影響は深刻である。政府、東電などの避難等の指示は本来、最悪の事態を想定して指示を出すべきであるが、実際には最小限度の事態を想定しての指示をだしているので、30キロ圏内外の住民は不安のなかに閉じ込められている。
いわき市の情報では、多くの人々が県外にすでに避難している。教会委員長、白河教会の司祭は現地に残っている。
農作物の放射能被害も茨城、栃木、群馬で報告されている。

5.さいたま教区サポートセンターの活動

さいたま教区では3月11日に災害対策本部を立ち上げ、教区内の情報収集に努めた。私が仙台から戻った3月18日に「さいたま教区サポートセンター」を教区事務所内に設置し、被災者のサポート、復興支援に向けた活動を始めた。
サポートセンターでは次の3つの支援をおこなう方針をたてた。

  1. 仙台サポートセンターの立ち上げに協力する。
  2. サポートステーションを立ち上げ、現地の要望に合わせて、ボランティアを派遣し、物資を送る。
  3. 被災者のお年寄りを中心に訪問ボランティア活動を行う。(看護師+傾聴ボランティア)
  4. 避難所での弱者(子どもを抱えた家庭)に教区内の施設を開放する。
    現在のところ、次のように活動している。

    1. 3月19日に3名を仙台教区に派遣した。塩釜教会で活動を始めている。
    2. 3月22日に水戸、鹿島、日立の3カ所にサポートステーションを立ち上げた。神学生10名が先遣隊として派遣。助祭などがチームリーダーに。23日からボランティア募集を始める。
    3. 3月27日から仙台サポートセンターに訪問ボランティア(看護師、ケースワーカ)を派遣する予定。
    4. さいたま教区内の多くの教会では、信徒が避難所などのサポートを進めて始めている。

  • さいたま教区サポートセンター(さいたま教区事務所)090-9972-4946
    統括責任者 谷 大二  担当者  矢吹貞人事務局長
  • 鹿島サポートステーション(鹿島教会) 担当 ホアン助祭 090-1260-6596
  • 水戸サポートステーション(水戸教会) 担当 尹神学生 090-1260-6566
  • 日立サポートステーション(日立教会) 担当 トアン助祭 090-1260-6792

2011年3月22日
さいたま教区司教
谷 大二

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