教皇ベネディクト十六世の2012年5月27日の「アレルヤの祈り」のことば 聖霊降臨

教皇ベネディクト十六世は、聖霊降臨の主日の5月27日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「アレルヤの祈り」(復活祭から聖霊降臨の主日まで「お告げの祈り」の代わりに唱えられる祈り)を行 […]


教皇ベネディクト十六世は、聖霊降臨の主日の5月27日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「アレルヤの祈り」(復活祭から聖霊降臨の主日まで「お告げの祈り」の代わりに唱えられる祈り)を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。

「アレルヤの祈り」の後、教皇はイタリア語で次のように述べました。
「今朝、フランスのヴァンヌで、18世紀から19世紀にかけて生きた、サン=ルイの愛徳姉妹会の創立者のサン=ルイ、俗名ルイーズ=エリザベト・モレ(Saint-Louis; Louise-Élisabeth Molé 1763-1825年)が列福されました。この神への愛と隣人愛を模範的にあかしした人のゆえに神に感謝したいと思います。
 さらに今週の金曜日の6月1日、わたしがミラノに赴くことを思い起こします。このミラノで第7回世界家庭大会が開催されるからです。この行事を見守り、成功を祈ってくださるよう、皆様にお願いします」。

この日教皇は午前9時30分からサンピエトロ大聖堂で聖霊降臨の主日のミサを司式しました。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 今日わたしたちは聖霊降臨の大祭日を祝います。復活の主日から五十日後のこの祭日をもって復活節は終わります。聖霊降臨の祭日は、上の部屋でおとめマリアとともに集まって祈っていた使徒と他の弟子たちの上に聖霊が注がれたことをわたしたちに想起させ、追体験させてくれます(使徒言行録2・1-11参照)。復活して天に上られたイエスは、教会にご自身の霊を遣わします。それは、すべてのキリスト信者がご自身の神のいのちにあずかり、世におけるイエスの信頼の置ける証人となることができるためです。歴史を満たす聖霊は、渇きをいやし、心を希望へと開き、わたしたちを駆り立てて、神と隣人との関係を内的に成長させます。
 「預言者たちによって語られた」霊は、知恵と知識のたまものをもって人々に霊感を与え続けます。これらの人々は、真理を探求し、神と人間と世界の神秘を知り、深める根源的な道を提示しようと努めます。このことに関連して、来る10月7日、世界代表司教会議(シノドス)の開催にあたり、アビラの聖ヨハネ(Juan de Avila 1499/1500-1569年)とビンゲンの聖ヒルデガルト(Hildegard von Bingen; Hildegardis Bingensis 1098-1179年)を教会博士として宣言することをお知らせできることをうれしく思います。この二人の偉大な信仰の証人は、まったく異なる歴史的な時期と文化的な背景を生きた人々です。ヒルデガルトはドイツの中世盛期のベネディクト修道女であり、神学の真正な教師、自然学と音楽の熱心な研究者でした。スペイン・ルネサンス期の教区司祭のヨハネは、近代初頭の教会と社会組織の文化的・宗教的改革事業に参加しました。しかし、聖なる生活と深い教えが、二人に永遠の現代的意味を与えます。実際、聖霊の恵みが、神の啓示を奥底まで理解し、世界と知的対話を行うという体験へと二人を導きました。このような理解と対話が、教会の生活と活動の永遠の地平を築くのです。
 とくに今述べたシノドスのテーマである新しい福音宣教という計画に照らして、そして「信仰年」を前にして、この二人の聖なる教会博士はきわめて重要で現代的な意味をもつと思われます。現代においても、二人の教えを通じて、復活した主の霊はそのみ声を響き渡らせ、わたしたちを真理へと導く道を照らし続けます。真理のみがわたしたちを自由にし、人生に完全な意味を与えることができるのです。
 今、ともに「アレルヤの祈り」を唱えながら、おとめマリアの執り成しを願おうではありませんか。マリアの執り成しによって、教会が聖霊に力強く導かれ、福音の大胆さをもってキリストをあかしし、完全な真理へとますます心を開くことができますように。

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