教皇ベネディクト十六世の2012年6月24日の「お告げの祈り」のことば 洗礼者聖ヨハネの誕生

教皇ベネディクト十六世は、洗礼者聖ヨハネの誕生の祭日の6月24日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です […]


教皇ベネディクト十六世は、洗礼者聖ヨハネの誕生の祭日の6月24日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。

「お告げの祈り」の後、教皇はイタリア語で次のように述べました。
「イタリアでは今日、聖ペトロの使徒座への献金が行われます。すべての小教区共同体、家庭、一人ひとりの信者の皆様に、困難のうちにある兄弟のために絶えず寛大な支援をしてくださることについて感謝します。このことに関連して、申し上げたいことがあります。神が許されるなら、明後日(6月26日)、北イタリアの最近の地震の被害に遭った地域への短い訪問を行います。この訪問が全教会の連帯のしるしとなることを願います。そのため、祈りをもってわたしに同伴してくださるよう皆様にお願いします」。
教皇は6月26日に、5月29日の地震の被害に遭ったエミリア・ロマーニャ州のモデナを慰問します。6月19日に教皇庁広報部が発表した当日のスケジュールは以下のとおりです。午前9時バチカン・ヘリポート発。午前10時15分モデナ県、サン・マルティーノ・ディ・カルピ競技場着。市民安全局の車両で被災地のロヴェレート・ディ・ノーヴィに向かう。同地のサンタ・カテリナ・ディ・アレッサンドリア教会堂を経て、10時50分ロヴェレート地区の競技場着。行政当局者、司教、主任司祭、実業界代表者、信者と会見。11時50分車でサン・マルティーノ・ディ・カルピ競技場に向かう。正午、ヘリコプターで同地発。午後1時15分バチカン・ヘリポート着。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 今日6月24日は洗礼者聖ヨハネの誕生の祭日です。おとめマリアを除けば、洗礼者聖ヨハネはその誕生を典礼で祝う唯一の聖人です。洗礼者聖ヨハネの誕生を祝うのは、それが神の子の受肉の神秘と密接に結びついているからです。実際、ヨハネは、母の胎内にいるときからイエスに先行する者でした。聖ヨハネの奇跡的な受胎は、「神にできないことは何一つない」(ルカ1・37)ことのしるしとして、天使によってマリアに告げられました。それは、聖霊のわざによる神と人間の一致という、偉大で驚くべき救いがわたしたちに示される6か月前のことでした。四人の福音書記者は洗礼者ヨハネの姿を強調します。ヨハネは、ナザレのイエスが主に聖別されたメシアであることを示すことにより、旧約を終わらせて新約を始める預言者です。実際、イエス自身、ヨハネについて次のことばで語ります。「『見よ、わたしはあなたより先に使者を遣わし、あなたの前に道を準備させよう』と書いてあるのは、この人のことだ。はっきりいっておく。およそ女から生まれた者のうち、洗礼者ヨハネより偉大な者は現れなかった。しかし、天の国で最も小さな者でも、彼よりは偉大である」(マタイ11・10-11)。
 ヨハネの父ザカリア(エリサベトの夫、マリアの親戚)は、旧約の礼拝の祭司でした。ザカリアは、自分が父親となるという思いもかけないお告げをすぐに信じなかったために、幼子が割礼を受ける日まで口が利けませんでした。ザカリアとその妻は、幼子に、神が示したヨハネという名をつけました。ヨハネは「主は恵みを与える」という意味です。そこでザカリアは、聖霊の霊感を受けて、わが子の使命を次のように語ります。
 「幼子よ、お前はいと高きかたの預言者と呼ばれる。
  主に先立って行き、その道を整え、
  主の民に罪のゆるしによる救いを知らせるからである」(ルカ1・76-77)。
これらすべてのことは30年後に示されます。そのときヨハネは、ヨルダン川で洗礼を授け、この悔い改めのわざによって、切迫したメシアの到来に備えるよう、民に呼びかけます。神はこのメシアの到来について、ヨハネがユダヤの荒れ野にとどまっているときに彼に示しました。そのためヨハネは「洗礼者」すなわち「洗礼を授ける者」と呼ばれました(マタイ3・1-6参照)。ある日、ナザレからイエスが洗礼を受けるために来たとき、ヨハネは最初、それを拒みましたが、やがて承諾しました。するとヨハネは、聖霊がイエスの上に降るのを見、これはわたしの子であると告げる天の父の声を聞きます(マタイ3・13-17参照)。しかし、洗礼者ヨハネの使命はまだ終わっていませんでした。間もなくヨハネは、むごたらしい死においてもイエスの先駆者とならなければなりませんでした。ヨハネはヘロデ王の命により首をはねられます。こうして彼は、自分が最初に認め、公に知らせた神の小羊を完全にあかししました。
 親愛なる友人の皆様。おとめマリアは、年老いた親戚のエリサベトが身ごもったヨハネを産むのを助けます。マリアが、すべての人が神の子、キリスト・イエスに従うための助けとなってくださいますように。このイエスを、洗礼者ヨハネは深い謙遜と預言者の熱意をもって告知したのです。

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