世界代表司教会議(シノドス)第13回通常総会 最終メッセージ(要約)

世界代表司教会議第13回通常総会は、10月26日(金)午前9時から始まった第20回全体会議で「最終メッセージ」を承認し、これを同日発表しました。以下に訳出したのはその「要約」の全文です(原文イタリア語)。  「最終メッセ […]

世界代表司教会議第13回通常総会は、10月26日(金)午前9時から始まった第20回全体会議で「最終メッセージ」を承認し、これを同日発表しました。以下に訳出したのはその「要約」の全文です(原文イタリア語)。


 「最終メッセージ」の初めに、シノドス参加司教は、井戸のほとりで行われたイエスとサマリアの女の出会いについて語るヨハネによる福音書の箇所を思い起こします。それは空の桶をもって神を渇き求める現代人の象徴です。教会はこのような現代人のところに行き、主を現前させなければなりません。サマリアの女と同じように、イエスと出会う人は、福音の救いと希望を告げ知らせる証人とならずにはいられません。
 シノドスは新しい福音宣教が行われる特別な状況を考察して、信仰を活性化させなければならないと呼びかけます。信仰は現代文化の中であいまいなものとなっているからです。また、洗礼を受けた多くの人の信仰が弱まっているからです。神は愛です。この神を現す主との出会いは、教会の中でのみ起こります。教会は人々を受け入れる共同体であり、交わりの体験です。さらにキリスト信者は他の場所でも証人となります。しかし教会は、福音をのべ伝えるには、まず自分が福音化されなければならないことを強調します。そこで教会は、自分自身から始めて、回心を呼びかけます。イエスの弟子の弱さは、宣教が信頼されるための重荷になっています。シノドス参加司教は、主が歴史の導き手であり、悪が最終的に勝利を収めることがないことを自覚しながら、キリスト信者を招きます。信仰をもって恐れに打ち勝ち、落ち着いた勇気をもって世に目を向けなさい。矛盾と問題に満ちていても、神は永遠に世を愛されるからです。それゆえ、悲観することはありません。グローバル化、世俗化、社会の新たな状況、移住は、たとえ困難と苦しみを伴うものであっても、福音宣教の機会とすべきです。市場の商品のように福音を広める戦略を見いだす必要はありません。むしろ人がイエスに近づく方法を再発見すべきです。
 「メッセージ」は、家庭が福音宣教を行う自然な場であると考え、教会と政治と社会が家庭を支えなければならないことを再確認します。家庭において女性が果たす特別な役割を強調します。そして、離婚して再婚した人々の痛ましい状況を思い起こします。秘跡を受けるための規律を再確認しながら、このような人々が主から決して見捨てられないことを強調します。教会はすべての人を受け入れる家だからです。「メッセージ」は奉献生活にも言及します。奉献生活は人生の地上を超えた意味のあかしです。小教区は福音宣教の中心です。「メッセージ」は司祭と奉献生活者の生涯養成の重要性も思い起こします。そして信徒(運動団体と新しい会)に、教会との交わりを保ちながら福音宣教を行うよう促します。新しい福音宣教は他の教会・教会共同体とも協力します。これらの教会・教会共同体も福音をのべ伝える同じ霊に導かれるからです。「メッセージ」は若者に特別な注意を向けます。若者の熱意を制限するのではなく、解放するために、彼らに耳を傾け、対話することを勧めます。
 さらに「メッセージ」はさまざまな対話に目を注ぎます。すなわち、文化との対話(それは信仰と理性の協働を必要とします)、教育との対話、科学との対話(科学は、人間を唯物論に閉じ込めないかぎり、生活をより人間らしいものとするための協力者となります)、芸術との対話、経済と労働の世界との対話、病者と苦しむ人との対話、政治家との対話(政治家は、私心がなく透明な共通善への奉仕を行うことが求められます)、他の宗教との対話です。とくにシノドスは、諸宗教対話が平和に役立ち、原理主義を拒絶し、宗教者に対するあらゆる暴力を非難することを強調します。「メッセージ」は、「信仰年」、第二バチカン公会議と『カトリック教会のカテキズム』の記念が与える可能性を述べます。最後に、新しい福音宣教にとってとくに重要な、信仰生活の二つの表現を示します。すなわち、観想(沈黙は神のことばをいっそう受け入れることができるようにします)と、貧しい人への奉仕です(貧しい人の顔の上にキリストが見いだされるからです)。
 「メッセージ」の最後の部分は、世界の諸地域の教会に目を向け、福音をのべ伝えるよう励まします。中東の教会には、平和と信教の自由のうちに信仰を実践できるようになることを願います。アフリカの教会には、新旧の文化との出会いの中で福音宣教を推進することを求め、さらに、政府が紛争と暴力をやめるよう要請します。福音からかけ離れたさまざまな文化表現の中で生きている北アメリカの教会のキリスト信者は、回心して、移民と難民を広く受け入れなければなりません。ラテンアメリカには、貧困、暴力、新たな宗教の多元化現象といった現代の問題に対して、継続的な宣教を行うよう招きます。少数者でありながら、しばしば社会から疎外され、迫害されているアジアの教会には、信仰を固く守るよう励まします。攻撃的な世俗化を特徴とし、過去の政治体制によって傷ついたヨーロッパは、人間の尊厳を定義し、共通善の構築を可能にした人文的文化を創造してきました。ヨーロッパのキリスト信者は、現在の問題にくじけることなく、それを課題として受け止めるべきです。最後にオセアニアに対して、あらためて福音をのべ伝える務めを感じるよう求めます。「メッセージ」は、新しい福音宣教の星であるマリアへの信頼をもって結ばれます。

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