教皇ベネディクト十六世の2012年10月28日の「お告げの祈り」のことば シノドス第13回通常総会を終えて

教皇ベネディクト十六世は、年間第30主日の10月28日(日)午前9時30分からサンピエトロ大聖堂で世界代表司教会議第13回通常総会閉会ミサを司式した後、正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに […]


教皇ベネディクト十六世は、年間第30主日の10月28日(日)午前9時30分からサンピエトロ大聖堂で世界代表司教会議第13回通常総会閉会ミサを司式した後、正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。

「お告げの祈り」の後、教皇はイタリア語で次のように述べました。
「呼びかけをもって始めます。
 数日前に、とくにキューバ、ハイチ、ジャマイカ、バハマを激しく襲い、猛威を振るったハリケーンは、多くの死者と深刻な損害をもたらし、多数の人が自宅から避難することを余儀なくされています。わたしは、この自然災害の被災者に寄り添い、彼らを思い起こすことを約束するとともに、すべての人の祈りと連帯を求めます。犠牲者のご家族の悲しみが和らげられ、けがをした多くのかたがたに支援が提供されますように」。
10月24日(水)から26日(金)までカリブ海諸国を襲ったハリケーン「サンディ」による大雨で、ハイチなどで26日までに死者が65人(うちハイチ51人)に上っています。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 今朝、サンピエトロ大聖堂でささげたミサにより、世界代表司教会議(シノドス)第13回通常総会が閉会しました。わたしたちは3週間にわたり、キリスト教信仰を伝えるための新しい福音宣教というテーマを考察しました。全教会の代表者が議論に加わりました。ですから、主の恵みによって、この議論が実を結ばないはずはありません。ところで、シノドスは何よりもまず、つねに教会の強い交わりのときです。それゆえ、皆様とともに神に感謝したいと思います。神はわたしたちにあらためて教会であることのすばらしさを体験させてくださったからです。それも現代において、人類の労苦と希望のただ中で、ありのままの姿で教会であることのすばらしさを。
 今回のシノドス総会が第二バチカン公会議開幕50周年と、それゆえ、「信仰年」開年と一致したのはたいへん意義深いことです。福者ヨハネ二十三世と、神のしもべパウロ六世と、公会議の会期を思い起こすのは有意義です。それは、新しい福音宣教がわたしたちの発明ではなく、とくに1950年代から教会の中で発展した動きであることを認識させてくれるからです。当時、古来のキリスト教的伝統をもつ国々さえもいわば「宣教地」となったのは明らかだと思われました。そこから、世俗化した社会の中で福音をあらためて告げ知らせる緊急の必要性が生じました。その前提となったのは次の二つの確信です。すなわち、第一に、現代人の期待にこたえるのは、真の意味で新しいかたであるイエス・キリストだけだということ。第二に、イエス・キリストのメッセージを変化した社会的・文化的状況に合わせた形で伝えなければならないということです。
 この充実した議論の日々の終わりに、わたしたちは何をいうことができるでしょうか。わたしも多くの考察と提案に耳を傾け、それを受け止めました。これらの考察と提案は、シノドス事務総局とわたしの協力者の助けのもとに、まとめられ、文章化されます。それは、全教会に向けて有機的な総括と一貫した教えを示すためです。今からわたしたちはこういうことができます。今回のシノドスから、教会の霊的刷新のための力強い取り組みが生まれます。それは、世俗化した世界を霊的に刷新するためです。そして、この刷新はイエス・キリストの再発見から生まれます。イエス・キリストの真理と恵みから、その人間的でありながら神的な「み顔」から生まれます。この「み顔」の上にすべてを超える神の神秘が輝くからです。
 終わったばかりのシノドス総会の議論の実りをおとめマリアにゆだねたいと思います。新しい福音宣教の星であるマリアが、勇気と喜びをもってすべての人にキリストを伝えられるよう、わたしたちを教え、助けてくださいますように。

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