教皇ベネディクト十六世の2012年11月25日の「お告げの祈り」のことば 王であるキリスト

教皇ベネディクト十六世は、王であるキリストの祭日の11月25日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です( […]


教皇ベネディクト十六世は、王であるキリストの祭日の11月25日(日)正午に、教皇公邸書斎の窓から、サンピエトロ広場に集まった信者とともに「お告げの祈り」を行いました。以下は、祈りの前に教皇が述べたことばの全文の翻訳です(原文イタリア語)。

前日の11月24日(土)、教皇は新たに6名の枢機卿の叙任を行い、この日午前9時30分からサンピエトロ大聖堂で新枢機卿とともにミサをささげました。


 親愛なる兄弟姉妹の皆様。

 今日、教会は全宇宙の王であるわたしたちの主イエス・キリストを記念します。この祭日は典礼暦の終わりに置かれ、「死者の中から最初に生まれ、地上のすべての力を治めるかた」(B年の集会祈願)であるイエスの神秘を要約します。そして、わたしたちの目を神の国の完全な実現へと向けます。そのとき神はすべてにおいてすべてとなられます(一コリント15・28参照)。エルサレムの聖キュリロス(Kyrillos 315頃-386/387年)はいいます。「わたしたちはキリストの第一の到来だけでなく、第二の到来をも告げ知らせます。第二の到来は第一の到来よりもさらにすばらしいものです。実際、第一の到来は苦しみを表しますが、第二の到来は神の支配の王冠をもたらします。・・・・キリストは第一の到来においては十字架のへりくだりに服し、第二の到来においては天使の群れによって囲まれ、たたえられます」(『カテーケーシス(教話)』:Catechesis XV, 1 Illuminandorum, De secundo Christi adventu, PG 33, 869A)。イエスの全使命とそのメッセージの内容は、神の国を告げ知らせ、しるしと奇跡によって人々の間にそれを実現することです。第二バチカン公会議が述べるとおり、「しかし、すべてに先立って神の国は・・・・キリストご自身において現れている」(『教会憲章』5)。キリストはご自分の十字架上の死と復活によって神の国を築かれました。そして復活により、キリストは永遠の主、メシア、祭司であることが現されたからです。このキリストの国は教会にゆだねられました。教会は神の国の「芽生え」と「開始」であり、聖霊の力によってすべての民に神の国を告げ知らせ、広める使命を帯びています(同)。定められた世の終わりに、主はみ国を父である神に引き渡し、愛のおきてに従って生きたすべての人を神に示します。
 親愛なる友人の皆様。わたしたちは皆、神の救いのわざを引き継ぐよう招かれています。そのために、福音へと回心し、仕えられるためではなく仕えるために、また真理をあかしするために来た王(マルコ10・45、ヨハネ18・37参照)に従おうと決心しなければなりません。このことに関連して、昨日叙任した6名の新枢機卿のために祈ってくださるよう、皆様にお願いします。どうか聖霊が彼らの信仰と愛を強め、ご自身のたまもので満たしてくださいますように。それは、彼らがキリストとその国にさらに献身するという新たな責務を果たすためです。新たに枢機卿団に加えられたこの人々は教会の普遍的な次元をよく表します。彼らは、レバノン、インド、ナイジェリア、コロンビア、フィリピンの教会の司牧者であり、一人は長い間、聖座に奉仕しておられました。
 新枢機卿の一人ひとりと、彼らにゆだねられた信者のかたがたの上に至聖なるマリアのご保護を祈り求めたいと思います。聖なるおとめの助けによって、わたしたちが皆、主の再臨を待ち望み、「み国が来ますように」と神に力強く願いながらこの世を生きることができますように。そして、わたしたちを天へと引き寄せる光のわざを行うことができますように。わたしたちは、歴史の苦難に満ちた出来事の中でも、神が愛のみ国を築き続けてくださることを知っているからです。

略号
PG  Patrologia Graeca

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