教皇フランシスコの2014年4月2日の一般謁見演説:結婚の秘跡

4月2日(水)午前10時15分から、サンピエトロ広場で、教皇フランシスコの一般謁見が行われました。この謁見の中で、教皇は、1月8日から開始した「秘跡」に関する連続講話の9回目として、「結婚の秘跡」について解説し、連続講話を終えました。以下はその全訳です。

親愛なる兄弟姉妹の皆さん、おはようございます。

 今日は結婚についてお話しして、秘跡に関する連続講話を終えます。結婚の秘跡はわたしたちを神の計画の中心へと導きます。神の計画とは、ご自分の民との、すなわちわたしたち皆との契約による計画です。交わりの計画です。聖書の第一の書である創世記の初めに、創造の物語を完成するものとして、こう語られています。「神はご自分にかたどって人を創造された。神にかたどって創造された。男と女に創造された。……こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、二人は一体となる」(創世記1・27、2・24)。神の像は、結婚した夫婦なのです。男と女なのです。男だけでも、女だけでもなく、その両方なのです。これが神の像です。神がわたしたちを愛し、わたしたちと契約を結んだことが、この男と女の契約のうちに表されるのです。これはとてもすばらしいことです。わたしたちは、神とその愛の映しとして、愛するために造られました。そして、男と女は、結婚の結びつきにより、相互の愛と完全で決定的ないのちの交わりの計画への召命を実現します。

 1 男と女が結婚の秘跡を祝うとき、神はいわば彼らのうちに「映し出され」ます。神は彼らのうちに、ご自分の特徴と、消し去ることのできないご自分の愛の証印を刻みます。結婚はわたしたちに対する神の愛のイコン(映し)です。実際、神も交わりです。父と子と聖霊の三つのペルソナは、つねにまた永遠に完全な一致のうちに生きています。神は夫婦を唯一の存在とします。これこそが結婚の神秘です。聖書は力強い表現を用いて、「一体(一つの肉)」といいます。結婚における男女の一致はきわめて深いからです。ともに生きることを決意した夫婦のうちに映し出された神の愛――これこそが結婚の神秘です。だから男は家、すなわち両親の家を離れ、妻とともに住み、妻と深く結ばれます。そのため、聖書がいうとおり、二人は一体となるのです。
 しかし、夫婦の皆さん、このことを覚えているでしょうか。主が皆さんにこの偉大な贈り物を与えてくださったことを自覚しておられるでしょうか。これこそ「結婚の贈り物」なのです。皆さんの一致のうちに至聖なる三位一体が反映されるのです。皆さんはキリストの恵みにより神とその愛の生きた信頼できるイコン(映し)となるのです。  

 2 聖パウロはエフェソの信徒への手紙の中で、キリスト者の夫婦のうちに偉大な神秘が反映していることを強調します。すなわち、キリストが教会との間に打ち立てた、結婚の関係です(エフェソ5・21-33参照)。教会はキリストの花嫁です。これがキリストの打ち立てた関係です。このことは、結婚が特別な召命にこたえるもので、一種の聖別とみなされなければならないことを意味します(第二バチカン公会議『現代世界憲章』48、教皇ヨハネ・パウロ二世使徒的勧告『家庭――愛といのちのきずな』56参照)。それは聖別です。男と女は彼らの愛によって聖別されるのです。実際、夫婦は、秘跡の力により、真実、固有の使命を帯びます。そのため彼らは、単純で日常的なことから始めて、忠実と奉仕を通じて、キリストがご自分の教会を愛する愛――それも、教会のためにいのちを与え続ける愛――を目に見えるものとすることができるのです。

 3 まことに結婚の秘跡には驚くべき計画が含まれています。しかもこの計画は、単純でこわれやすいものでもある人間的な条件のうちに実現されるのです。夫婦生活がいかに困難で試練に満ちているかを、わたしたちはよく知っています。神とのきずなを生き生きと保つことが大切です。これこそが結婚のきずなの土台だからです。そして、主とのきずなはつねに真実です。家族が祈るとき、このきずなは保たれます。夫が妻のために祈り、妻が夫のために祈るとき、このきずなは強められます。夫婦は互いに祈り合うのです。確かに、結婚生活には多くの、本当に多くの困難が存在します。仕事、金銭的な不自由、子どもの問題です。多くの困難があります。夫婦が神経質になり、口論することもしばしばです。結婚には口論が付き物です。時にはお皿が飛ぶこともあります。しかし、このことで落ち込む必要はありません。人間的な条件とはこのようなものです。神秘とは、愛が、互いに言い争うときよりも強いことです。だからわたしはいつも夫婦の皆さんにこう勧めます。喧嘩した日の終わりには、必ず仲直りしてください。必ずです。仲直りするために家に国連を呼ぶ必要はありません。ちょっとした優しいしぐさと、あいさつだけで十分です。次の日には、またやり直せばよいのです。人生とはこのようなものです。このように人生を前に進んでいきましょう。ともに人生を生きる勇気をもって、人生を前に進んでいきましょう。これはとても偉大で、すばらしいことです。結婚生活はとてもすばらしいものです。だからわたしたちは結婚生活を守り、子どもを守らなければなりません。別の機会に、この広場で、結婚生活に大いに役に立つことをお話ししたことがあります。いつもいうべき三つのことばです。家の中にあるべき三つのことばです。すなわち「いいですか」、「ありがとう」、「ごめんなさい」です。それは三つの魔法のことばです。「いいですか」というのは、夫婦生活の中で図々しくならないためです。「いいですか」。このことばはどのように聞こえますか。「いいですか」。「……してもよいですか」。「ありがとう」というのは、夫または妻に感謝するためです。わたしにこういうことをしてくれて、ありがとう。これをありがとう。感謝するのはすばらしいことです。そして、わたしたちは皆、誤りを犯すので、すこしいうのがむずかしいですが、いわなければならない、もう一つのことばがあります。「ごめんなさい」です。「いいですか」、「ありがとう」、「ごめんなさい」。この三つのことばをいい、夫婦が互いに祈り合い、一日の終わりに必ず仲直りすることによって、結婚は前に進みます。三つの魔法のことばと、祈りと、必ず仲直りすることです。主が皆さんを祝福されますように。わたしのためにもお祈りください。

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