2014年灌仏会に際しての 教皇庁諸宗教対話評議会から日本の仏教徒の皆様へのメッセージ

灌仏会に際しての教皇庁諸宗教対話評議会からのメッセージ 「兄弟愛に満ちた社会を築くために協力する仏教徒とキリスト教徒」 親愛なる日本の仏教徒の皆様 1. 釈尊の生誕を記念する灌仏会(花祭り)が4月8日に祝われるにあたり、 […]

灌仏会に際しての教皇庁諸宗教対話評議会からのメッセージ
「兄弟愛に満ちた社会を築くために協力する仏教徒とキリスト教徒」

親愛なる日本の仏教徒の皆様

1. 釈尊の生誕を記念する灌仏会(花祭り)が4月8日に祝われるにあたり、教皇庁諸宗教対話評議会は、皆様一人ひとりに友情を込めて心から喜びのご挨拶を申し上げます。年に1度のこの仏教行事を通して、皆様の家族や日本のあらゆる仏教宗派の方々に喜びと平和がもたらされるようお祈り致します。

2. わたしたちが皆様とともに喜び、多くの信念を共有するのには数々の理由があります。たとえば、人間が兄弟姉妹として互いにかかわり合う世界を築きたいという強い願いも共有しています。教皇フランシスコは、次のように述べています。「すべての人の心のうちには完全ないのちへのあこがれが宿っています。このあこがれには兄弟愛への抑えがたい望みも含まれます。兄弟愛はわたしたちを他者との交わりへと駆り立てます。こうしてわたしたちは、他者を敵や競争相手としてではなく、受け入れ抱き合う兄弟姉妹として見いだすのです」(2014年世界平和の日教皇メッセージ、1)。わたしたちは、仏教徒の皆様がより公正で兄弟愛に満ちた社会を築くために貢献してきたことを、感謝のうちに思い起こします。日本の人々は、仏教徒とキリスト教徒の間のいのちと活動の対話は、国内だけでなく全世界における平和的共存と兄弟愛につながると信じ、平和に向けたさまざまな取り組みに積極的に参加しています。

3. 皆様は、兄弟愛に満ちた社会を築くための主な方法として、内からの解放への道をつねに重要視しておられます。『ダンマパダ』には次のように記されています。「戦場において百万人に勝つとしても、ただ一つの自己に克つ者こそ、実に最上の勝利者である」(103)。イエスは「目が澄んでいれば、あなたの全身が明るい」(マタイ6・22)と教えています。平和は人間の心の中で始まりもすれば、失われもします。教皇フランシスコは「心が何千ものかけらに砕けてしまったら、社会で真の平和を構築するのは容易ではありません」(使徒的勧告『福音の喜び』229)と述べています。キリスト教や仏教を信じるわたしたちには異なる点もありますが、人間の心の純粋さは兄弟愛に満ちた社会に欠かせないことを共に信じています。

4. したがって、仏教徒でありキリスト教徒であるわたしたちは、他宗教の信徒や善意の人々と協力して、平和な社会を育むために協力する必要があります。教皇フランシスコが断言しているように、「すべての戦争、紛争、双方が相容れない未解決の問題は、対話の欠如によるものです」(2013年8月21日、西武学園文理中学校の生徒と教師への挨拶)。

5. 親愛なる仏教徒の皆様、こうした思いのうちに、あらためて心からお祝いを申し上げるとともに、皆様が平和で安らかな生活を送られるようお祈り致します。

灌仏会、おめでとうございます。

諸宗教評議会議長
ジャン=ルイ・トーラン枢機卿
同次官
ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット神父

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