2014年度定例司教総会、終了

6月16日から、東京・江東区潮見の日本カトリック会館で開かれていた、2014年度の定例司教総会は、19日に無事全日程を終了しました。全国の16教区から17人の司教が集まり、その他男女修道会の代表らと事務局の担当者が出席し […]

6月16日から、東京・江東区潮見の日本カトリック会館で開かれていた、2014年度の定例司教総会は、19日に無事全日程を終了しました。全国の16教区から17人の司教が集まり、その他男女修道会の代表らと事務局の担当者が出席しました。

主な審議事項として、典礼に関して、「公式祈願」の一部、「叙階の祈り」の旋律について、典礼委員会からの提案について話し合われました。前者は、修正意見を加味して教皇庁へ提出することが承認され、後者は修正意見を加味した上で、10月の特別臨時司教総会で再度検討されることになりました。

 また、『司牧の手引き』編纂特別委員会で作成中の、司祭が用いる『司牧に関する法規の手引き』についても、その内容が検討され、修正意見が加味され、承認されました。

 その他、列聖列福特別委員会が、常設委員会に変更され、「列聖推進委員会」(英語名はCommittee for Promoting Canonization)と改称されることが承認、また2013年度の決算も承認されました。

■司教の集い■
3日目には「司教の集い」が行われました。テーマは、「1936年布教聖省指針『祖国に対する信者のつとめ』に関する歴史的経緯と問題点の復習」でした。この指針は戦前に出されたもので、政府軍部から国民に強制されていた神社参拝を、カトリック信者も行うことを許すよう指示したものです。現代の日本の状況の中でこれをどう捉え直すかを課題として、これまでも司教団は検討研究を続けています。

 3人の講師は、この指針が出された歴史的背景を皆がよく理解できるよう、それぞれ発題しました。3つの発表は、1)戦前の軍国主義当時の歴史的状況、2)中国を含めた祖先崇拝とカトリック典礼との調和の問題、さらに3)社会司教委員会が「信教の自由と政教分離」の諸課題をこれまで考察してきた経緯、という切り口からのものです。

 3者の議論の中で、この布教聖省指針が出されたのは、当時の日本国内の状況の中で、政府軍部からの信者と教会への弾圧を防ぐ意味、また世界的には共産主義を危惧していた教会の姿勢から、という面を強調する議論、逆に、インカルチュレーション(文化内開花)の意味で東アジアにおいてキリスト教が受肉していく観点からこの指針の意義があるという議論と、大きく二つに分かれました。

 また日本の司教団の歩みとして、20世紀を振り返る聖ヨハネ・パウロ二世教皇使徒的書簡『紀元2000年の到来』(1994年)から示唆を受け、『歴史から何を学ぶか~カトリック教会の戦争協力・神社参拝』(1999年)『いのちと国家と民族と教会と~2002年度社会司教委員会勉強会資料集』(2003年)『信教の自由と政教分離』(2007年)を発表してきたことが確認されました。司教たちの姿勢として、先の戦争の時の状況を教会全体であらためて学び、反省すべき点は反省し、平和のために働く教会となるよう歩みを続けているわけです。

 参加者からは、教皇庁の過去の指針にとらわれる必要はもはやないのでは、という意見も出ました。つまり、第2バチカン公会議以降、各地方教会(教区)固有の状況に対する独自の判断行動が尊重されるようになり、戦前の神社参拝から連なる日本特有の課題に関し、司教団はこれまでの研究考察の積み重ねの上に立って、自信をもって信者を導いていけばいいと司教らを励ましていました。

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