2015年カトリック教会から神道への新年のご挨拶

教皇庁諸宗教対話評議会 「平和と調和のために祈るキリスト教と神道」 親愛なる神道の皆様  日本の皆様、とりわけ神道の皆様の大切な祝日である新年に際し、教皇庁諸宗教対話評議会は再度、心からご挨拶申し上げます。明けましておめ […]

教皇庁諸宗教対話評議会
「平和と調和のために祈るキリスト教と神道」

親愛なる神道の皆様

 日本の皆様、とりわけ神道の皆様の大切な祝日である新年に際し、教皇庁諸宗教対話評議会は再度、心からご挨拶申し上げます。明けましておめでとうございます。

 新しい年の始めに、ほとんどの日本の人々は、素晴らしい古来の伝統に従って神道の神社を参拝します(初詣)。今年は、日本をはじめとする多くの国々にとって、第二次世界大戦終戦70周年にあたります。このことを思い起こしつつ、このメッセージを通して、世界の平和と調和のために皆さんと共に祈りたいと思います。日本は、戦争の残虐さを心に刻み、二度と戦争をしないという固い決意のもとに焼け跡から復興しました。そして、平和と繁栄の時代を築くために、平和を中心に掲げた新しい憲法のもと、かつてないほど皆が一つになって協力しました。

 キリスト教としても、神道としても、私たちはすべての争いの起源は最終的には人間の心にあると確信しているのではないでしょうか。戦争では避けられない悲惨な残虐行為は、抑えることのできない人間の心の闇を反映しています。悲しいことに今日でも、私たちの世界は、戦争、暴力、差別、疎外といった悪から解放されていません。教皇フランシスコは、過去と現在の紛争について次のように述べています。「戦争は狂気です。……戦争には理性がありません。その唯一の目的は破壊することです。戦争は破壊することによって拡大します。……そして、涙と嘆き、悲しみが生じます」(教皇フランシスコ、レディプーリア軍事基地での説教、2014年9月13日)。

 皆様の宗教的伝統は、日本という国を築いていく中で、宗教には一致と調和をもたらす力があることを認識していました。大和の国は、「平和に満ちた」国であり、その最初の憲法、「十七条憲法」は和を尊ぶ偉大な条文で始まります。神道の皆様をはじめとする多くの日本の人々は、神社で平和を祈願し、正月を祝います。1968年に福者パウロ六世教皇が、元旦に「平和の日」を記念すると宣言したことを、私たちは喜びのうちに思い起こします。平和を求める心は、人間の本性に深く根ざしており、すべての宗教に見られます。祈りは、祈る人に静寂をもたらし、愛と調和と連帯を生み出します。私たちキリスト者も新しい年の夜明けに皆様と共に平和のために祈り、全世界の平和のために働くことを約束します。

 今日の世界は、対話と平和を熱い心で伝える使者を緊急に必要としています。したがって、日本と連合国の間の終戦に結ばれた平和条約の後、幾年の年月を経ても、私たちの共通の使命はその緊急性と重要性を失わないことを強調したいと思います。第二次世界大戦終戦70周年にあたり、私たちは次のことばを思い起こします。「戦争は人間の仕業です。戦争は人間の生命の破壊です。戦争は死です。過去を振り返ることは、将来に対する責任を担うことです。広島を考えることは、核戦争を拒否することです。広島を考えることは、平和に対しての責任をとることです」(聖ヨハネ・パウロ二世教皇、広島平和公園、1981年1月25日)。

 親愛なる神道の皆様。現代、そして未来の世界の平和を育むために、祈りと対話のうちに歩み続けましょう。その平和が、新年の間だけでなくいつも皆様と皆様の家族の上にありますように。

諸宗教評議会議長
ジャン=ルイ・トーラン枢機卿
同次官
ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット神父

PAGE TOP