教皇フランシスコ、2015年1月4日「お告げの祈り」でのことば 平和への道

2015年1月4日、教皇フランシスコは、サンピエトロ広場に集まった大勢の信者とともに、教皇公邸書斎の窓から「お告げの祈り」をささげました。以下は祈りの前に教皇が述べたことばの全訳です。 「お告げの祈り」の後、教皇は20名 […]

2015年1月4日、教皇フランシスコは、サンピエトロ広場に集まった大勢の信者とともに、教皇公邸書斎の窓から「お告げの祈り」をささげました。以下は祈りの前に教皇が述べたことばの全訳です。

「お告げの祈り」の後、教皇は20名の新しい枢機卿の名前を発表しました。そのうち15名が80才未満の現役の枢機卿です。新枢機卿はバチカンで行われる枢機卿会議において、2月14日に正式に任命されます。

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親愛なる兄弟姉妹の皆さん、こんにちは。

 新しい年に素晴らしい主日を迎えました。とても美しい日です。

 聖ヨハネは、今日、朗読された福音書に次のように記しています。「ことばの内にいのちがあった。いのちは人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。……その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らすのである」(1・4-5、9)。人は光のことを多く語りますが、その一方で人を惑わす闇の静けさを好むときがあります。わたしたちは平和について多くを語りますが、その一方で、しばしば戦争を起こしたり、沈黙のうちに共謀することを選んだり、平和を築くための具体的行動を何もしなかったりします。実際、聖ヨハネは記しています。「ことばは自分の民のところへ来たが、民は受け入れなかった。」(ヨハネ1・11)。「光が世に来たのに、人々はその行いが悪いので、光よりも闇の方を好んだ。それが、もう裁きになっている。悪を行う者は皆、光を憎み、その行いが明るみに出されるのを恐れて、光の方に来ないからである」(ヨハネ3・19-20)。人の心は、光によって自分の悪い行いが明らかになるために、しばしば光を拒み、影を好みます。悪を行う者は光を嫌います。悪を行う者は平和を嫌います。

 数日前、わたしたちは神の母の名のもとに新しい年を迎えました。そして、「もはや奴隷としてではなく、兄弟姉妹として」というテーマのもとに世界平和の日を祝いました。わたしは、人間による人間の搾取が無くなるよう望みます。こうした搾取は、対人関係を阻害し、敬意と正義と愛に基づく交わりの生活を妨げる社会の病です。あらゆる人、あらゆる民族が平和を渇望しています。したがって、平和を築くことが緊急に求められています。

 平和は単に争いのない状態ではなく、人が自分自身、自然、そして他者と調和している総合的な状態です。それが平和です。そして、兵器を使わず、紛争の温床を無くすことが、世界各地で平和への道を歩み始めるために不可欠です。わたしは、世界の多くの地域で、今でも戦争のために流血が起きていること、さまざまな家庭や共同体が緊迫した状態にあることを考えます。一方、多くの家庭、共同体、小教区の中にも争いが起きています。また、町や都市の中でも、異なる民族、さまざまな文化、宗教をもつ人々の間で口論が起きています。わたしたちは、あらゆる段階、あらゆる状況において、調和は可能であることを、それと相反する状況にあっても確信していなければなりません。平和への見通しと計画のないところに未来はありません。平和がなければ未来は訪れません。

 旧約聖書の中で、神は約束しておられます。預言者イザヤは言います。「彼らは剣を打ち直してすきとし、槍を打ち直してかまとする。国は国に向かって剣を上げず、もはや戦うことを学ばない。」(イザヤ2・4)これは素晴らしいことです。平和は、神からの特別なたまものとして、救い主の誕生のうちに告げられました。「地には平和、み心にかなう人にあれ」(ルカ2・14)。このたまものを、絶えず祈り求めなければなりません。この広場にあった「祈りは平和の源」と書かれた標識を思い出しましょう。わたしたちは、どんな状況にあっても、このたまものを祈り求め、日々の努力を通してそれを受け入れなければなりません。この新しい年の夜明けに、わたしたちは心の中に希望の炎を新たに燃え立たせ、その炎を平和に向けた具体的な活動に生かさなければなりません。「あなたはこの人と仲たがいをしていますか。」「平和を築いてください。」「家にいますか。」「平和を築いてください。」「自分の共同体の中にいますか。」「平和を築いてください。」「職場ですか。」「平和を築いてください。」平和のために、そして和解と兄弟愛のために働いてください。隣人、とりわけ家庭内の不和やあらゆる紛争を経験している人々に、わたしたち一人ひとりが兄弟愛に満ちた行いをしなければなりません。そうしたささやかな行いには強い力があります。それは希望をもたらす種となり、平和への道と展望を切り開くのです。

 平和の元后であるマリアに祈り求めましょう。マリアは地上での生涯において、日々の生活でたびたび困難に直面しましたが、神の恵みに自らを完全にゆだねることによって得られる心の平和を決して失いませんでした。全世界に愛と平和への確かな道を示してくださるよう、わたしたちの母である、いつくしみ深いマリアに願い求めましょう。

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