正平協会長声明「沖縄県東村 米軍北部訓練場ヘリパッド工事の強硬な再開は人権侵害です」

正平協会長声明「沖縄県東村 米軍北部訓練場ヘリパッド工事の強硬な再開は人権侵害です」

2016年7月28日

内閣総理大臣 安倍晋三 様
防衛大臣 中谷元 様
内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当) 島尻安伊子 様
沖縄防衛局局長 中島浩一郎 様

日本カトリック正義と平和協議会会長
勝谷太治 司教

沖縄県東村 米軍北部訓練場ヘリパッド工事の強硬な再開は人権侵害です

 カトリック教会は、人間の権力は、神の望まれた限界を越えてはならないものと考えています(『教会の社会教説綱要』382)。そして、キリストは、権力を絶対化しようとするあらゆる力に勝つ栄光の小羊であると、信じています。

 沖縄県東村にある米軍北部訓練場では、2007年以降、東村高江の集落を囲むように6基のヘリパッドの建設の計画が進んでいます。すでに2基のヘリパッドが完成し、オスプレイの昼夜を問わない離発着訓練、低空飛行訓練が始まっています。高江の住民は、オスプレイの低周波騒音と高い事故率への不安に平和な生活を脅かされながら、ヘリパッド(オスプレイパッド)の建設にねばり強く抵抗し、工事はこの2年あまり中断していました。

 しかし、7月10日の参議院選挙から一夜明けた11日の早朝午前6時、住民160人に満たないこの小さな村に、機動隊約100人、民間警備員約20人が押し寄せ、工事用資機材の基地内への搬入が始まりました。

 その後、警官・機動隊は県外からも動員が行われて500人にまで増員され、工事に反対する市民を排除するため、現場周辺の県道70号を封鎖、検問所が設置されました。工事に反対する市民が県道区域に設置したテントや備品、車両も撤去、没収されました。このように極めて強引な形で、22日、工事が再開されました。

 この間、住民、支援する市民と警察との間にはげしいもみ合いが起こり、複数の怪我人が救急搬送されました。

 今回のこのような、突然の襲撃ともいえるヘリパッド工事の再開、警官・機動隊の大量投入に対して、沖縄県議会は7月21日、工事の即時中止を要求する決議を行いました。わたしたち日本カトリック正義と平和協議会もまた、これら一連の出来事は、住民を恐怖に陥れ、かつ、集会、結社、表現の自由という、憲法で保障された国民の権利の行使を不当に弾圧する、深刻な人権侵害であると考えます。わたしたちは、今回の沖縄県議会の決議に全面的に同意し、政府、沖縄防衛局が県議会と住民の要求を聞き入れ、工事を即刻中止するよう、要求します。

 併せて、沖縄県議会が2016年5月26日に発表した「元海兵隊員の米軍族による女性死体遺棄事件に関する意見書」の要求する諸項目、特に「在沖米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小」の要求にも、わたしたち日本カトリック正義と平和協議会が同意することをここで確認し、日本政府は沖縄県議会の要求に応じ、オスプレイ訓練を行う米海兵隊の、沖縄からの全面撤退をただちに実現するよう、強く要求します。

平成28年7月21日 沖縄県議会米軍北部訓練場ヘリパッド建設に関する意見書
http://www.pref.okinawa.jp/site/gikai/documents/2806heriikennsho.pdf

平成28年5月26日 元海兵隊員の米軍属による女性死体遺棄事件に関する意見書
http://www.pref.okinawa.lg.jp/site/gikai/documents/h285gatu26nitiikensyo.pdf

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