2019年灌仏会に際しての教皇庁諸宗教対話評議会から日本へのメッセージ

教皇庁諸宗教対話評議会 「ともに人類兄弟愛を促す仏教徒とキリスト者」 日本の花祭りに際して 教皇庁諸宗教対話評議会からのメッセージ 親愛なる日本の仏教徒の皆様 1.釈尊の生誕を記念する灌仏会、花祭りが4月8日に祝われるに […]

教皇庁諸宗教対話評議会
「ともに人類兄弟愛を促す仏教徒とキリスト者」
日本の花祭りに際して
教皇庁諸宗教対話評議会からのメッセージ


親愛なる日本の仏教徒の皆様

1.釈尊の生誕を記念する灌仏会、花祭りが4月8日に祝われるにあたり、教皇庁諸宗教対話評議会は、喜びのうちに皆様にご挨拶を申し上げます。皆様ご自身とご家族、そして日本がこころの平和と穏やかさと喜びに包まれますように。

2.今年は、教皇フランシスコとイスラーム・スンニ派最高権威機関アル=アズハルの指導者アフマド・アル・タイーブ師によって2019年2月4日にアブダビで調印された文書、「世界平和と共生のための人類兄弟愛」に示唆を受けて書いております。この重大な宣言の中で両指導者は、「信仰をもつすべての人々の、また信仰を持つか持たないかにかかわりなくすべての人の、そしてすべての善意の人の間の和解と兄弟愛」のために働くようすべての人々に呼びかけています。さらに、次のようにきっぱりと断言しています。「現代世界における危機のもっとも重大な原因の中には、人としての良心が鈍っていること、宗教的価値観から遠ざかっていること、物質主義的な哲学思想を伴った個人主義が広がっていることがあります」。と。

3.大切な友人である皆様、人類兄弟愛がなければ、公正な社会も堅固で持続的な平和も築くことは不可能であることを、わたしたちは皆、知っています。さらに、平和と尊敬の文化を築く努力を結集するためには、広範囲の人々にかかわってもらわなければなりません。だからこそこの「人類兄弟愛」の宣言は、「すべての人の救いのよりどころとして、平和、正義、善、美、そして兄弟愛と共生の価値がいかに重要であるかを確認し、それらの価値をあらゆるところで促進するために、知識人、哲学者、宗教者、芸術家、メディア関係者、世界中の文化人に対して、それらの価値を再発見するよう」要請しているのです。

4.わたしたち、仏教とキリスト教の信者は、人類兄弟愛に基づく世界を実現させるために、すべての人、とりわけ困窮している人々の霊的、物的なニーズに対処しなければなりません。物的な貧しさは、多くの場合、こころの貧しさと結びついています。だからこそ、それぞれの霊的な歩みの中で、互いに平等で尊敬し合う関係をはぐくむ必要があるのです。この意味で、因縁生――「わたしたちは皆、互いに結びついている」――という仏教の中心的な教えと、「わたしたちは皆、唯一の神、御父の子どもであり、兄弟姉妹である」というキリスト教の教えは、助け合いと対話の文化を促すための確固たる基盤となっています。わたしたちに課せられた課題は、自分たちの内面に関する教えとわざを、実生活にどのように生かすかです。

5.仏教徒の皆様、わたしたちは長年にわたる友情と対話を通して、兄弟愛に満ちた世界を築くために、それぞれの霊的な宝を日常生活に提供することができました。真の兄弟姉妹としての愛をすべての善意の人のうちに育むようともに尽力してくださったことを、皆様方に心から感謝いたします。しかしながら、まだ長い道のりが残されています。この目的を達成するために極めて重要なことは、この宣言に含まれる原則をすべてのレベル――地方、国、地域、国際――で広め、すべての人にとって相互尊敬の文化を推し進めるための指針となるよう、わたしたちが力を合わせることです。

6.皆様の花祭りが、両極端に分かれ傷ついたこの世界をいやす手だてとして、人類兄弟愛を再発見し促す機会となりますよう、お祈りいたします。こうした思いのうちに、平和で穏やかな生活を祈念しつつ、あらためてお祝いのことばを申し上げます。

花祭り、おめでとうございます。

2019年4月8日
バチカン市国

教皇庁諸宗教対話評議会次官
ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット司教

PAGE TOP