2020年神道の皆さまへの教皇庁諸宗教対話評議会の新年のご挨拶

2020年神道の皆さまへの教皇庁諸宗教対話評議会の新年のご挨拶 「すべてのいのちをともに守る神道とキリスト教の信者」 親愛なる神道の皆さま 新天皇が即位され、「令和」という新元号を迎えて初めて、教皇庁諸宗教対話評議会は神 […]

2020年神道の皆さまへの教皇庁諸宗教対話評議会の新年のご挨拶
「すべてのいのちをともに守る神道とキリスト教の信者」


親愛なる神道の皆さま

  1. 新天皇が即位され、「令和」という新元号を迎えて初めて、教皇庁諸宗教対話評議会は神道の皆様に年に一度のご挨拶を申し上げます。新しい時代が「美しい平和」の時代となるようわたしたちが心から願っていることを、天皇陛下と日本の皆さまにお伝えいたします。
  2. 神道の皆さまへのご挨拶と分かち合いを新年に際して再び新たにするにあたり、わたしたちは、日本のカトリック教会が先日の教皇フランシスコ訪日のために選んだテーマ、「すべてのいのちを守るため」からインスピレーションを受けました。「いのち」、とりわけ人間のいのちは、その神秘的な起源と本質、美しさ、そしてこの上もないその価値ゆえに、神道の宗教性にとっても、キリスト教の信仰にとっても根本的な要素となっています。
  3. 人間のいのちを守り保護するためには、戦争を終わらせ、核軍縮を推し進める必要があることは、わたしたち皆が深く認識しているところです。この点について教皇フランシスコは、軍縮を通していのちを守るために協力するよう、日本、そして世界中の人々に強く呼びかけています。「皆さんの国は、戦争がもたらす苦しみについて、よく知っています。人類の歴史において核兵器による破壊が二度と行われないよう、皆さんとともに祈ります。核兵器の使用は、倫理に反します」(『日本訪問前のビデオメッセージ』2019年11月18日)。
  4. 神道の皆さま、人間のいのちは人間自身がもたらした悪によって、あまりにも多くの状況において日々脅威にさらされています。不健康な食ベ物の生産と流通、医療支援への妨害、始まったばかりのいのちを受け入れることの拒否、自然死の前にいのちを絶つという独断的な選択、自死という絶望的な行為、暴力や防ぎ得たはずの事故による死など枚挙にいとまがありません。健全な環境は、自然界におけるいのちを支えます。残念ながら地球の健全性は、気候変動の影響によって脅かされ続けています。侵入生物種、病気、汚染、洪水など、その他にも多くのものがあらゆるかたちでいのちを危険にさらしています。
  5. わたしたちには、すべてのいのちをはぐくみ守りたいという共通の願いと生まれながらの本能があります。すべてのいのちを守るために、それぞれの宗教の教えに根底から励まされながら、相互尊重と出会いの道をともに力を合わせて進みましょう。そのためにも、対話と兄弟愛の文化をはぐくみ続けましょう。
  6. 日本文化に深く根付いたこの厳かで喜びに満ちた新年の祝いが、いのちを真に祝う機会、「いのちの祝賀」となりますように。


教皇庁諸宗教対話評議会議長
ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿
同次官
インドゥニル・ジャナカラトネ・コディトゥワック・カンカナマラゲ神父

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