多宗教世界における平和教育 ~キリスト者の観点からの考察~

多宗教世界における平和教育 ~キリスト者の観点からの考察~ 前文  「平和を実現する人々は幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。(マタイ5・9)」平和の構築者になるようにと、イエス・キリストの弟子たちすべてに向けて発 […]

多宗教世界における平和教育
~キリスト者の観点からの考察~

前文
 「平和を実現する人々は幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。(マタイ5・9)」平和の構築者になるようにと、イエス・キリストの弟子たちすべてに向けて発せられたこの呼びかけは、わたしたちキリスト者にとっての名誉であり、召命であり、挑戦でもあります。キリストの山上の垂訓の冒頭という重要な位置にこの言葉がくることで、その重要性は強調されています。すべての宗教と精神的伝統に属する人々がこの世で平和の構築者となるよう招かれていますが、この呼びかけの緊急性と普遍性には疑いの余地がありません。

 今日、目の当たりにする暴力には、貧弱な統治、汚職、セクト主義、過激な世俗主義、排他的国粋主義、人民主義運動、地方主義的支配、世界的経済的不平の高まりなど、様々な要因があります。現代における衝突の特定的側面のひとつとしてあるのは、「暴力」と「宗教」の間にある、明らかな、そして時に驚くような関連です。宗教は、世界の様々な地域で、対立、侵略、意図的殺人を正当化するために操られ、悪用されています。しかし、真の宗教の本質は、平和を促進するものです。そのため真正な宗教は、問題の一部ではなく、解決策のひとつなのです。

 こうしたことを受けて、また、この現実に対応するために協働するキリスト者、宗教の異なる人々、すべての善意ある人々の倫理的責任を認識したため、教皇庁諸宗教対話評議会(PCID)と世界教会協議会(WCC)の諸宗教・対話と協働部門は、本文書を作成することにしました。本文書は、多様なキリスト教伝統の代表として、わたしたちが持つ共通財産を利用しながら、教育をとおして、この多宗教世界における平和構築に建設的な貢献をすることを目的としています。

 人命の損失、家屋の破壊、財産とインフラ、移民と難民の危機、環境への影響、世代全体のトラウマ化、そして教育と開発を犠牲にしながら有限資源を浪費する武器の備蓄の促進――。こうした問題に特徴づけられた、わたしたちが置かれている今日の状況では、平和教育は緊急な義務となっています。マスメディアによる暴力に関する報道が増え、人々の中に恐れや嫌悪が駆り立てられるといった状況の中で、この任務はますます重要になってきています。

 本文書の目的は、教会とキリスト教団体が、世界平和の崩壊につながっていった構造的要因を熟考すること、また教育と平和構築に関して彼らが現在取り組んでいる慣行と優先事項を見直すことを奨励することです。 それと同時に本文書が、宗教の異なる人々やこの多宗教世界で社会的・政治的に活躍する人々とともに――特定の歴史的・文化的文脈を考慮に入れながらも――平和教育について、より幅広い会話をするための助けとなることを願っています。

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