2020年灌仏会に際しての教皇庁諸宗教対話評議会から日本へのメッセージ

教皇庁諸宗教対話評議会 「慈悲ときょうだい愛にあふれる文化を共に築く」 2020年花祭りに際してのメッセージ バチカン市国 親愛なる仏教徒の皆様 1. 教皇庁諸宗教対話評議会を代表して、世界中の仏教徒の皆様にこころより灌 […]

教皇庁諸宗教対話評議会
「慈悲ときょうだい愛にあふれる文化を共に築く」
2020年花祭りに際してのメッセージ
バチカン市国


親愛なる仏教徒の皆様

1. 教皇庁諸宗教対話評議会を代表して、世界中の仏教徒の皆様にこころより灌仏会のお祝いとお慶びを申し上げます。これまでの24年間、当評議会はこの喜ばしい機会にメッセージを送らせていただきました。その記念すべき25回目にあたる今年、わたしたちは皆様が属するさまざまな宗派との友情と協力のきずなを新たにしたいと願っています。

2. 今年は、「慈悲ときょうだい愛にあふれる文化を共に築く」というテーマについて、皆様方とご一緒に考えたいと思います。そして、わたしたちのそれぞれの宗教が、霊的なものを探求し、傷ついた人類と地球を明らかにしつつそれらに奉仕する中で、慈悲ときょうだい愛を高く評価していることを心にとめたいと思います。

3. 「世界平和のための人類のきょうだい愛に関する共同宣言書」(イスラム指導者との共同声明、アブダビ、2019年2月4日)に記されているように、「宗教の真の教えは、わたしたちが平和のさまざまな価値に深く根差した状態でいるようにと招き、また相互理解、人類きょうだい愛、仲のよい共生といった価値を擁護するよう招いています」。昨年11月にタイで行われた仏教最高指導者との会合において、教皇フランシスコは次のように述べています。「わたしたちは良き『隣人』として共に成長し、共に生きることができます。そうすることによって、とくに貧しい人々とひどく傷つけられているわたしたちの共通の家に関して、きょうだい愛の生き方の中で具体的なイニシアティブを生み、増やしていくことのできる、新しい慈善的プロジェクトを互いの信者たちの間で推進することができるのです。このようにして、わたしたちは当地だけでなく世界の他の場所でも、慈悲、きょうだい愛、そして出会いの文化を築くことに貢献できるのです」(「仏教最高指導者との会合にて」バンコク、2019年11月21日参照)。

4. 灌仏会は、若き日の釈尊(シッダールタ王子)が髪を剃り、王子としての地位を捨て、智慧(ちえ)を求めて旅に出たことを思い起こさせてくれます。釈尊は、ベナレスシルクの衣服を質素な法衣と交換しました。この崇高な行いは、アシジの聖フランシスコを思い起させます。彼は、髪を剃り、高価な衣服を物乞いの粗末な服と交換しました。それは、「自分を無にして、しもべの身分」(フィリピ2・7)になり、「枕する所も」(マタイ8・20)なかったイエスに倣いたいと望んだからです。釈尊とフランシスコ、そして彼らの弟子たちの模範は、もっとも大切なことは何であるかを考えながら、解脱の生活をするようわたしたちを駆り立てています。だからこそ、わたしたちは、人類と環境の痛みを和らげるために、慈悲ときょうだい愛の文化をより自由に推し進めることに邁進できるのです。

5. あらゆるものが互いにかかわり合っています。相互依存というとき、わたしたちは再び慈悲ときょうだい愛というテーマに戻ります。皆様の友情に感謝しつつ、謹んでお願いいたします。今日の世界で愛にあふれる思いやりときょうだい愛を育むにあたって、キリスト者を兄弟姉妹とみなして彼らとともに歩み、彼らを支えてください。わたしたち、仏教徒とキリスト者が、どうすればもっと周囲に心を配り、思いやりをもてるかを互いに学び合うならば、自分たちの間のつながりを、生きとし生けるものと共通の家である地球への祝福の源とするために、互いに協力する方法を探し続けることができるでしょう。

6. 全世界の連帯を確実に続けるためには、わたしたちが共に「旅」するための順序だてた教育が必要であると、わたしたちは信じています。この目的のために、「教育に関するグローバル・コンパクトの再構築」というテーマのもとに国際的な集いが行われます。「この集いは、辛抱強い傾聴、建設的な対話、よりよい相互理解などを内容とする、より開かれた包括的な教育を求める情熱を、わたしたちの中に新たにかき立てることによって、若者のために、そして若者とともに献身するよう、わたしたちを再び燃え立たせることでしょう」(教皇フランシスコ、「教育に関するグローバル・コンパクトの発表にあたってのメッセージ」2019年9月12日)。個人としても皆さんの宗派でも、新たなヒューマニズムを育むこの取り組みを推し進めるために、すべての人と力を合わせようではありませんか。世界のさまざまな場所で仏教徒とキリスト者が、揺るぎない価値観をいかしつつ、社会悪の原因を根絶するために共に働いていることを知って、大変嬉しく思います。

7. 新型コロナウイルスの感染拡大によって苦しんでいるすべての人と、治療に携わる方々のために祈りましょう。この困難なときを、希望と慈悲と愛をもって過ごすよう、わたしたちの信者たちを励ましましょう。

8. 親愛なる友人である仏教徒の皆様、友情と協力の精神をこころに抱きつつ、あらためて平和で喜ばしい花祭りをお祝い申し上げます。

教皇庁諸宗教対話評議会議長
ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿

同評議会次官
インドゥニル・ジャナカラトネ・コディトゥワック・カンカナマラゲ神父

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