2021年灌仏会に際しての教皇庁諸宗教対話評議会から日本へのメッセージ

教皇庁諸宗教対話評議会 「知恵と希望をもってCOVID-19パンデミックに立ち向かう仏教徒とキリスト者」 2021年花祭りに際しての仏教徒の皆様へのメッセージ 親愛なる仏教徒の皆様 教皇庁諸宗教対話評議会を代表して、日本 […]

教皇庁諸宗教対話評議会
「知恵と希望をもってCOVID-19パンデミックに立ち向かう仏教徒とキリスト者」
2021年花祭りに際しての仏教徒の皆様へのメッセージ


親愛なる仏教徒の皆様

  1. 教皇庁諸宗教対話評議会を代表して、日本の仏教諸宗派の皆様に、こころより灌仏会のお祝いを申し上げます。わたしたちは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックによるひどい苦しみを乗り越え、日常を取り戻すことを切に望みつつ、年に一度のこの祝いがその希望の支えとなるよう祈ります。

  2. 昨年25回目を迎え、今や毎年恒例となったこの灌仏会の挨拶を通して、わたしたちは各自の宗教共同体の生活における重要な出来事に対する考え方を分かち合ってきました。今年は、パンデミックの広範囲にわたる影響に今もなお向き合う中で、この重大な局面にわたしたちの宗教の教えがもたらす知恵と希望について考えたいと思います。

  3. このパンデミックは、健康危機の範囲を超え、甚大な苦しみをもたらす危機の連鎖を引き起こしています。先日、教皇フランシスコが述べたように、「昨年は、恐怖と不安、絶望、さらには無数のいのちを失った悲しみを残しました。そのため、隔離と相互不信に基づく考え方がはびこり、国々の間に壁が築かれました。これまで慣れ親しんできた互いに結びついた世界が、分裂した世界に再び取って代わられました。しかしながら、このパンデミックの影響そのものはグローバルであって、世界中の国と人に及び、わたしたちの生活のさまざまな側面に作用し、『気候、食糧、経済、移民の危機といった、相互に深く関連する危機』をさらに悪化させています」(教皇フランシスコ、外交団へのあいさつ、2021年2月8日)。

  4. 大切な友である仏教徒の皆様、皆様は苦しみに立ち向かい、苦しみから解き放たれるためには、釈尊が説かれた四聖諦を思い起こし、苦を滅する道を歩まなければならないと確信しておられます。苦しみは元来、人間の中に浸透し、混乱をもたらすものですが、希望と知恵の道として示された教えに従えば、苦しみから解放されることができます。わたしたちキリスト者は、イエスがご自分のいのちと死と復活によって、わたしたちにいのちを豊かに与えてくださったと確信しています。イエスが正しくこの世に来られたのは、わたしたちがいのちを豊かに受けるためだからです(ヨハネ10・10参照)。

  5. 友人である皆様、苦境にある今こそ、宗教は、いつまでも価値のあるもの、つまり、それだけで真の希望の基礎であるもの、独自のかたちですべての人の善に貢献するために欠かせない勇気を注いでくれるものを、あかししなければなりません。「人間の条件の秘められた謎は昔も今も人間の心を奥深く揺さぶるものであるが、人々はこの謎についてさまざまな宗教に答えを願い求めている」(『キリスト教以外の諸宗教に対する教会の態度についての宣言』1)のです。真の宗教と知恵は、希望をもち続けるための助けとなるのです。

  6. わたしたちの間で長年、培ってきた友情が、パンデミックというこの試練に際して力を合わせるための、また、無数の人が被っているこの苦しみに対して宗教がとるべき措置を見いだすための、励みとなりますように。互いに力を合わせれば、教皇フランシスコのことばにもあるように、「だれも見捨てられたり、忘れられたりしない」(「外交団へのあいさつ」2021年2月8日)社会のために尽くすことができるでしょう。

  7. 皆様の灌仏会の祝いが、知恵と希望の力を再び見いだす機会となるよう、また、このパンデミックに立ち向かうわたしたちを力づけてくれる宗教の助けにあらためて目を向ける機会となるよう祈ります。2021年の花祭りにあたり、皆様のご多幸を願いつつ、あらためてお祝いのことばを申し上げます。

教皇庁諸宗教対話評議会議長
ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿

同評議会次官
インドゥニル・ジャナカラトネ・コディトゥワック・カンカナマラゲ神父

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