2023年神道の皆さまへの教皇庁諸宗教対話省の新年のご挨拶

神道の皆様への新年のごあいさつ 2023年(令和5年) 世界平和を祈るキリスト信者と神道信奉者 親愛なる神道の皆さま 世界の国々においてそれぞれの伝統や希望のことばで祝う新年を迎え、神道の皆様お一人おひとりにご多幸をお祈 […]

神道の皆様への新年のごあいさつ
2023年(令和5年)

世界平和を祈るキリスト信者と神道信奉者


親愛なる神道の皆さま

  1. 世界の国々においてそれぞれの伝統や希望のことばで祝う新年を迎え、神道の皆様お一人おひとりにご多幸をお祈り申しあげます。神道の皆様、そして平和と繁栄を願い神社に参拝される日本の皆様に、心からごあいさつ申し上げます。年始に教皇がおこなう世界平和の祈りには世界のカトリック信者も心を合わせて共に祈ります。
  2. 折あるごとに教皇フランシスコは、世界の惨状に関心をもつように呼びかけます。今日多くの人々が、気候変動や新型コロナウイルス感染症の世界的流行により引き起こされる身体的、精神的、経済的、社会的な打撃に苦しんでいます。その上、戦争が世界に重くのしかかっています。「兄弟姉妹の皆さん。今なおわたしたちは、民が民に対して蜂起するのを目の当たりにし、紛争の激化、戦争の災禍――多くの罪なき人の死、憎しみの増大――を、苦しみのうちに目撃しています」(教皇フランシスコ「第6回貧しい人のための世界祈願日ミサ説教、2022年11月13日」)。
  3. 日本人は、戦争で極めて悲惨な経験をされましたが、その後、平和を憲法に定めて、世界に平和を強く訴えてこられました。古来、和の心を重んじ、安寧の恵みを繰り返し奏上する神道の祈禱文(祝詞)からも知られるように、日本の人々は祖先から平和の精神を受け継ぎ、世界平和の思いを、共有しておられます。また神道の代表者は、1986年10月27日にアッシジ(イタリア)で開催された諸宗教による世界平和の祈りの集いに参加して以来、アッシジの精神を受け継いで毎年ローマの聖エディジオ共同体がヨーロッパ各都市で主催する世界の諸宗教代表者による平和の祈りの集いや、天台宗比叡山が毎年主催する世界平和を願う宗教サミットに参加しておられます。
  4. 親愛なる友人である皆様。世界の諸宗教の共生は、現在の世界の危機に対する解決策の一つです。「信仰によって信者は、他者の中に、支えるべき、愛すべき兄弟を見るようになる」(共同文書「世界平和と共生のための人類の兄弟愛、2019年2月4日」1)からです。わたしたち、キリスト教信者と神道信奉者が、全人類家族のために、なかでも、戦争、テロ、地域性の貧困により不安定な状況に置かれている人々のために、平和への強い決意を固めることはふさわしいことです。普遍の友愛の文化と精神をはぐくむために、わたしたちの豊かな宗教的伝統を生かそうではありませんか。紛争の原因を取り除き、対話の橋を架け、虐げられた人々のために声を上げ、いやしと和解のために共に働こうではありませんか。
  5. 「愛と平和、兄弟愛と連帯、助け合いと相互受容の新たな地平に向けて進むために、皆で協力しましょう。他の人々、とりわけもっとも弱い立場にある人に無関心でいようとする誘惑に負けないように、目を背けることに慣れないようにしましょう。そうではなく、『互いを受け入れ、互いに助け合う兄弟姉妹から成る共同体を築く』ために、具体的な努力を日々、重ねていきましょう」(教皇フランシスコ「2021年世界平和の日教皇メッセージ」)。
  6. 年頭にあたり、このような希望と平和への決意をもって手を携えながら、あらためてお祈り申し上げます。平和が実現し、平和が生み出すすべての善に恵まれますように。
    明けましておめでとうございます。 

教皇庁諸宗教対話省
長官ミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿
同次官インドゥニル・ジャナカラトネ・コディトゥワック・カンカナマラゲ神父

PAGE TOP