カリタスジャパン:菊地功大司教 国際カリタス総裁に選任

「忘れ去られる人」いない世界を  国際カリタス(本部・バチカン)は5月13日、第13代総裁に菊地功大司教(64/東京教区)を選出した。  国際カリタスは、1951年に当時の教皇ピオ十二世が認可した国際NGOで、災害や戦争 […]

「忘れ去られる人」いない世界を

 国際カリタス(本部・バチカン)は5月13日、第13代総裁に菊地功大司教(64/東京教区)を選出した。
 国際カリタスは、1951年に当時の教皇ピオ十二世が認可した国際NGOで、災害や戦争、貧困、迫害などによって困難な立場にある人々を、人種や宗教を問わず援助している。
160を超える国の司教協議会が認める各国のカリタスによる連盟組織であり、カリタスジャパンもその一員。
 国際NGOとしては国際赤十字に次ぐ大規模な組織で、総裁は、この連盟組織の運営責任を担う。任期は一期4年。
 選出されたことについて菊地大司教は、「率直に言って本当に驚きました」と話す。
 選挙はローマで開かれた国際カリタスの総会の中で、各国カリタスがノミネート(指名)した候補者に対して行われた。菊地大司教は台湾のカリタスから指名を受けていた。
 2回の投票を経ても決まらず、決戦投票によって決着した。
 国際カリタスは昨年11月、「運営や手続き」に不備が見られたとして、事務局長ら執行役員が、教皇フランシスコによって解任されている(本紙2022年12月11日付既報)。
その後は暫定的な管理者の運営下に置かれてきた。
「この混乱をどうするかが最初の課題になるかと思います」と菊地大司教は話す。
 菊地大司教はこれまで、カリタスジャパンのボランティアとして旧ザイール(現コンゴ民主共和国)の難民キャンプで働いたほか、神言修道会司祭としてアフリカ西部のガーナに8年間派遣された経験を持つ。
またカリタスジャパン責任司教、カリタスアジア総裁、国際カリタス理事を歴任。
東日本大震災の後は復興支援担当司教を務めた。
 現在は、東京教区大司教、日本カトリック司教協議会会長、アジア司教協議会連盟(FABC)事務局長などの役割を担っている。
今後も拠点は東京に置き、理事会などが開かれる機会にローマに行く。
必要に応じて各国のカリタスが働く現場も訪ねる。
 カリタスについて菊地大司教は、「単なるプロフェッショナルの人道支援組織ではなく、あくまでも教会の愛の業を実行する組織です」と強調する。
 「時に災害や紛争の現場で、プロフェッショナルであることばかりが強調されて、福音的な価値観が忘れ去られることがあります。カリタスが常に教会の愛の業を実現しているものであることを心に留め、信仰における一致が具体的に目に見える組織にしていきたいと思います」と抱負を語る。
 「教皇様がしばしば強調されるように、命の危機に直面する中で、『忘れ去られる人がいない世界』を実現するよう努めたいと思います」
(カトリック新聞5月28日付)

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